気管内投与による化学物質の有害作用とくに発癌性の効率的評価手法の開発に関する研究:迅速化かつ国際化に向けてに関する研究

文献情報

文献番号
202126001A
報告書区分
総括
研究課題名
気管内投与による化学物質の有害作用とくに発癌性の効率的評価手法の開発に関する研究:迅速化かつ国際化に向けてに関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
19KD1001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
津田 洋幸(公立大学法人 名古屋市立大学 津田特任教授研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 伴野 勧(愛知医科大学 医学部)
  • 魏 民(大阪市立大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
14,386,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
事業場における気中物質の安全性の評価と管理は重要である。しかしながら、実際に試験をされた物質は、その施設と安全性を確保するには不十分な数しかない。理由は吸入曝露試験には実施には専用の設備と高額な稼働費用は要求されるからである。その不足を補う目的で、実施容易にして安価な経気管肺内噴霧投与(TIPS)法を開発して国内外において標準的試験法としての採用の提案することにある。
研究方法
in vitroにおける培養液に加えた試験物質の毒性について、A549肺がん細胞のNeutral Redの取り込み量を(死亡細胞は取り込まない)指標としたLD50値から気管内投与(TIPS)によるLD50量を算出して、それを挟む数用量をラットにTIPS投与することによってLD50を得て、既存のLC50との比較検討を行った。今年度では6物質加え計11物質についてTIPS LD50値を得て、既存のLCと比較検証を行った。
結果と考察
使用した検体はすべて計測した特性検査を満たすものであることが証明された。
本方法のNeutral redを用いた肺細胞培養液の検体濃度から細胞のLD50値を求め、得た肺がん細胞の致死量をTIPS投与液の濃度に変換してラットのLD50値を判定する方法の目処がついた。本方法の1時間に1回(0, 1, 2, 3時間経過時)計4回投与してLD50値を得て、さらに生存ラットについては2週間の経過観察をするLD50判定は、R2年度前7物質に加え6物質加えて計11物質に従来の4時間吸入曝露試験によるLC50値の上限と下限の差異の4倍以内(=吸入曝露試験における施設間の差異以内)であり、信頼度の高い試験法であると考える。
以上から、同時に高額な装置と嫁動費用要する吸入曝露を必要としない、安価で実用可能な「吸入曝露」の代替でき得る方法候補として期待できることが分かった。
結論
この方法によって、比較的毒性の強い物質でも首尾良く既存の JBRC等による従来の吸入曝露試験によるLC50(4hr)に近似する値(吸入暴露試験のおよそ4倍以内・吸入暴露試験結果の施設間の差異の範囲))が得られることが分かった。今後Neutral Red 試験の培地の検討と用量の算定方法・TIPS投与回数の改良によってさらに既存の LC50値に近い値の得られる方法に発展させて、OECD ガイドラインへの採用を目指す

公開日・更新日

公開日
2023-04-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-04-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202126001B
報告書区分
総合
研究課題名
気管内投与による化学物質の有害作用とくに発癌性の効率的評価手法の開発に関する研究:迅速化かつ国際化に向けてに関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
19KD1001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
津田 洋幸(公立大学法人 名古屋市立大学 津田特任教授研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 内木 綾(公立大学法人 名古屋市立大学 大学院医学研究科 実験病態病理学)
  • 大西 誠(中央労働災害防止協会 日本バイオアッセイ研究センター)
  • 伴野 勧(愛知医科大学 医学部)
  • 魏 民(大阪市立大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
事業場における気中物質の安全性の評価と管理は重要である。しかしながら、実際に試験をされた物質は、その施設と安全性を確保するには不十分な数しかない。理由は吸入曝露試験には実施には専用の設備と高額な稼働費用は要求されるからである。その不足を補う目的で、実施容易にして安価な経気管肺内噴霧投与(TIPS)法を開発して国内外において標準的試験法としての採用の提案することにある。
研究方法
in vitroにおける培養液に加えた試験物質の毒性について、A549肺がん細胞のNeutral Redの取り込み量を(死亡細胞は取り込まない)指標としたLD50値から気管内投与(TIPS)によるLD50量を算出して、それを挟む数用量をラットにTIPS投与することによってLD50を得て、既存のLC50との比較検討を行った。今年度ではR1年度1物質、R2年度6物質に加え、R3年度にはさらに6物質加えて計11物質についてTIPS LD50値を得て、既存のLCと比較検証を行った。
結果と考察
使用した検体はすべて計測した特性検査を満たすものであることが証明された。
本方法のNeutral redを用いた肺細胞培養液の検体濃度から細胞のLD50値を求め、得た肺がん細胞の致死量をTIPS投与液の濃度に変換してラットのLD50値を判定する方法の目処がついた。本方法の1時間に1回(0, 1, 2, 3時間経過時)計4回投与してLD50値を得て、さらに生存ラットについては2週間の経過観察をするLD50判定は、13物質のうち11物質は従来の4時間吸入曝露試験によるLC50値の上限と下限の差異の4倍以内(=吸入曝露試験における施設間の差異以内)であり、信頼度の高い試験法であると考える。なお、LD50値の得られなかった(挟み込むことのできなかった)キノリンとt-ブチルアルコールについてはようりょうを少しずらすことでLD50値は得られると考える。
以上から、同時に高額な装置と嫁動費用要する吸入曝露を必要としない、安価で実用可能な代替法候補として期待できることが分かった。
結論
この方法によって、比較的毒性の強い物質でも首尾良く既存の JBRC等による従来の吸入曝露試験によるLC50(4hr)に近似する値(吸入暴露試験のおよそ4倍以内・吸入暴露試験結果の施設間の差異の範囲))が得られることが分かった。今後、1)Neutral Red 試験の培地の検討と用量の算定方法、2)TIPS投与回数の改良、3)試験検体をさら増やすことによってこの方法の正確性と信頼性を上げることによって既存の LC50値に近い値の得られる方法に発展させて、OECD ガイドラインへの採用を目指す。

公開日・更新日

公開日
2023-04-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-04-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202126001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
研究成果:A549肺がん細胞のNeutral red取り込みを指標とした in vitro毒性試験で得られたLD50近似値を、ラットの気管内に投与してLD50値を判定する方法を開発した。13物質中11物質は従来の4時間吸入曝露試験の実施施設間の差異の4倍以内であり実用化に問題はないと考えられた。
研究成果の学術的・国際的・社会的意義:高額な装置と稼働費を要する吸入曝露を必要としない、安価で実用可能な「吸入曝露」代替でき得る方法候補として期待できる。さらに実証を重ねてOECDへの採用を目指す。
臨床的観点からの成果
臨床試験ではない。
ガイドライン等の開発
OECD TG 403への採用における重要項目の吸入暴露(暴露限度時間4時間)に矛盾しない方法で、動物数は6〜8匹程度/用量で動物愛護の面で重要な項目に沿ったものであり、実施にかかる費用は吸入暴露費用と比べて桁違いに安価である。厚生労働省の担当部署からの提案による採択可能性は十分期待できる。
その他行政的観点からの成果
厚生労働省の担当部署からのOECDへの提案努力を期待する。
その他のインパクト
実施にかかる費用は吸入暴露費用と比べて桁違いに安価であって、国際的普及は十分期待出来る。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
49件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
28件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
1件
その他成果(特許の取得)
0件
審査中
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Abdelgied M., Tsuda H., et al.
Carcinogenic effect of potassium octatitnate (POT) fibers in the lung and pleura of male Fischer 344 rats after intrapulmonary administration
Particle and Fibre Toxicology , 16 (34) , ---  (2019)
doi.org/10.1186/s12989-019-0316-2
原著論文2
Numano T., Tsuda H., et al
MWCNT-7 administered to the lung by intratracheal instillation induces development of pleural mesothelioma in F344 rats
Cancer Sci. , 110 (8) , 2485-2492  (2019)
DOI: 10.1111/cas.14121
原著論文3
Abdelgied M., Tsuda H., et al.
Pulmonary and pleural toxicity of potassium octatitanate fibers, rutile titanium dioxide nanoparticles, and MWCNT-7 in male Fischer 344 rats
Arch. Toxicol. , 93 (4) , 909-920  (2019)
doi.org/10.1007/s00204-019-02410-z
原著論文4
Elgazzar AM., Tsuda H., et al.
Comparative pulmonary toxicity of a DWCNT and MWCNT-7 in rats
Arch. Toxicol , 93 (-) , 49-59  (2019)
doi.org/10.1007/s00204-018-2336-3
原著論文5
Saleh D., Tsuda H., et al
Comparetive carcinogenicity study of a thick, straight-type and a thin, tangled-type multi-walled by carbon nanotube administered by intra-tracheal instillation in the rat.
Particle and Fibre Toxicology , 17 (48)  (2020)
doi.org/10.1186/s12989-020-00382-y

公開日・更新日

公開日
2023-04-28
更新日
2025-05-27

収支報告書

文献番号
202126001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
18,701,000円
(2)補助金確定額
18,701,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,297,360円
人件費・謝金 6,689,374円
旅費 407,880円
その他 2,991,386円
間接経費 4,315,000円
合計 18,701,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2025-05-27
更新日
-