地域における効果的な薬剤師確保の取組に関する調査研究

文献情報

文献番号
202125038A
報告書区分
総括
研究課題名
地域における効果的な薬剤師確保の取組に関する調査研究
課題番号
21KC2009
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
安原 眞人(帝京大学 薬学部 地域医療薬学研究室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
2,910,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和3年6月30日に公表された「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会 とりまとめ」では、薬剤師の従事先には業態の偏在や地域偏在があり、偏在を解消するための薬剤師確保の取組が必要であり、特に病院薬剤師の確保は喫緊の課題であることが指摘されている。本研究班では、全国の薬科大学・薬学部と在籍する5・6年生を対象にアンケート調査を実施し、薬剤師の偏在に関係する主に薬剤師教育側の要因を明らかにし、地域における効果的な薬剤師確保に資する提言を⽬指す。
研究方法
地域における効果的な薬剤師確保の取組について、薬科大学・薬学部や薬学生に対する調査事項を研究班内で協議し、アンケート調査票を作成した。令和3年11月22日に5・6年生が在籍する全国の薬科大学・薬学部宛にアンケート調査票を送付し、令和4年1月21日までに寄せられた回答を集計した。大学向けアンケートの送付と同時に、各大学の学長・学部長に薬学5・6年生に対するWebアンケートへの協力依頼を送付し、実施に協力する大学から該当学年の学生に通知されたQRコードもしくはURLを用いて、学生が任意にMicrosoft Formsのアンケートサイトにアクセスし、就職(希望)先やその選択基準、奨学金の利用状況等について回答した(Webアンケート調査期間:令和3年11月25日~12月31日)。なお、学生Webアンケートについては、実施に先立ち帝京大学医学系研究倫理委員会の審査を受け承認を得た。日本医療薬学会、日本薬学教育学会、日本病院薬剤師会、日本薬剤師会の後援を受けて、令和4年2月27日(日)13時~16時、ステーションカンファレンス東京会場とWeb会場のハイブリッド様式にて公開シンポジウムを開催した。参加は事前登録制とし、事前登録者には当日の映像を令和4年3月1日から1か月間オンデマンド配信した。
結果と考察
大学向けアンケートには65校から回答が寄せられた。平成30~令和2年度の卒業生の業態別就職率は、ドラッグストアが増加傾向を示し、3年間の平均値は、病院24%、薬局35%、ドラッグストア21%、製薬企業・卸売業7%、行政3%、大学院3%であった。薬剤師不足県・地域や薬剤師不足の病院・薬局への就業を促す取組や地域医療に関する教育を行っていますかとの問には、44%の大学が「はい」と回答し、このうち地方部の大学が占める割合は71%であった。卒業生の離職状況を把握している大学は5校であった。学生向けWebアンケートには2302人から回答が寄せられ、回答者の35%は奨学金を利用していた。既に就職活動を終了した学生が1072人で、就職先は病院32%、保険薬局35%、ドラッグストア19%、製薬企業・卸売業7%、行政4%、大学院2%であった。就職先決定の決め手は、1位:勤務内容・やりがい、2位:勤務予定地、3位:給与水準であった。初年度の給与水準は300~400万円が53%で、300万円未満が16%であり、300万円未満を業種別に見ると病院が63%であった。実務実習前後で就職希望先が変化した学生は37%であった。全回答者の84%は薬剤師の地域偏在問題を知っており、30%は薬剤師不足地域の薬局や病院に卒業後直ちに就職する意向ありと回答した。回答者の80%は病院薬剤師不足の問題を知っており、卒業後直ちに病院に就職することを希望しない理由の第1位は給与水準であった。令和4年2月27日に公開シンポジウムを開催し、アンケート結果を公表し、関係団体の取組状況が紹介された。
結論
問題解決に向けた課題として、薬剤師の待遇改善、奨学金返済補助、業務改革(ICT、ロボット、非薬剤師の活用)、医療計画における医療従事者の確保、就業・復職支援、地域医療介護総合確保基金の活用、薬剤師のキャリア形成プログラムの整備等が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2022-06-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202125038Z