ヘモビジランスのための病院内輸血副作用監視体制に関する研究

文献情報

文献番号
200838044A
報告書区分
総括
研究課題名
ヘモビジランスのための病院内輸血副作用監視体制に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-030
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 康彦(山口大学 医学部附属病院輸血部)
研究分担者(所属機関)
  • 浅井 隆善(静岡赤十字血液センター)
  • 佐竹 正博(東京都西赤十字血液センター)
  • 下平 滋隆(信州大学医学部附属病院輸血部)
  • 田崎 哲典(東京慈恵会医科大学附属病院輸血部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヘモビジランスの実現には、病院内の副作用調査の標準化が重要である。本研究は、輸血副作用調査を通じて、病院内での輸血副作用の原因検索方法の標準化を検討し、これらに基づき輸血の安全性向上のために「輸血療法の実施指針」の改善への提案を行なうことを目的とした。
研究方法
輸血・細胞治療学会認定施設を中心とした定点観測が可能となるシステムにより輸血副作用調査を実施した。これまでの研究成果に基づき、望ましいヘモビジランスのあり方を作成した。全国大学病院輸血部会議副作用ワーキングと共同で、赤十字血液センターの集約化による輸血業務への影響調査を行った。安全な輸血療法の実施体制のあり方を検討した。
結果と考察
未照射製剤の輸血が6.9%の医療機関で行われていたことから、輸血・細胞治療学会に働きかけて輸血後GVHD対策小委員会を再度編成し、放射線照射ガイドラインVの原案を作成した。望ましいヘモビジランスのあり方について報告した。以上の検討結果に基づき、「輸血療法の実施指針」および「血液製剤の使用指針」の改善提案を行った。
結論
本研究は、輸血副作用監視体制の改善だけでなく、輸血療法の実施指針等の改定に寄与するものであり、各都道府県単位で実施されている合同輸血療法委員会等を通じて広く普及することにより、輸血医療の安全性向上に寄与するものである。

公開日・更新日

公開日
2009-04-02
更新日
-

文献情報

文献番号
200838044B
報告書区分
総合
研究課題名
ヘモビジランスのための病院内輸血副作用監視体制に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-030
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
藤井 康彦(山口大学 医学部附属病院輸血部)
研究分担者(所属機関)
  • 浅井 隆善(静岡赤十字血液センター)
  • 佐竹 正博(東京都西赤十字血液センター)
  • 下平 滋隆(信州大学医学部附属病院輸血部)
  • 田崎 哲典(東京慈恵会医科大学附属病院輸血部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヘモビジランスの実現には、病院内の副作用調査の標準化が重要である。本研究は、輸血副作用調査を通じて、病院内での輸血副作用の原因検索方法の標準化を検討し、これらに基づき輸血の安全性向上のために「輸血療法の実施指針」の改善への提案を行なうことを目的とした。
研究方法
H19には輸血・細胞治療学会、輸血関連厚生労働省研究班により実施された2004?2006年ABO不適合輸血調査から輸血過誤の防止対策の検討を行なった。全国輸血会議副作用WGが行った1998年から2007年までの「全国大学病院輸血部」を対象とした輸血副作用調査の総合的な再解析を共同で実施した。
H20には輸血・細胞治療学会認定施設を中心とした定点観測が可能となるシステムにより、輸血副作用調査を実施した。これまでの研究成果に基づき、望ましいヘモビジランスのあり方を作成した。全国大学病院輸血部会議と共同で、赤十字血液センターの集約化による輸血業務への影響調査を行った。安全な輸血療法の実施体制のあり方を検討した。
結果と考察
H19は、ABO不適合輸血調査の解析から、根本的な発生原因が、病院内の輸血医療体制の不備にあることを明らかにした。輸血部会議副作用ワーキングとの共同調査では、重篤な輸血副作用の頻度は1/2500(実輸血患者数)であり、国内での患者数は年間約400人(実患者数)と推定した。病院内の副作用監視体制の標準化のために「輸血副作用の原因検索リスト」、「臨床医・看護師向け輸血副作用説明資料」を作成した。
H20は未照射製剤の輸血が6.9%の医療機関で行われていたことから、輸血・細胞治療学会に働きかけて輸血後GVHD対策小委員会を再度編成し、放射線照射ガイドラインVの原案を作成した。望ましいヘモビジランスのあり方について報告した。以上の検討結果に基づき、「輸血療法の実施指針」および「血液製剤の使用指針」の改善提案を行った。
結論
本研究は、輸血副作用監視体制の改善だけでなく、輸血療法の実施指針等の改定に寄与するものであり、各都道府県単位で実施されている合同輸血療法委員会等を通じて広く普及することにより、輸血医療の安全性向上に寄与するものである。

公開日・更新日

公開日
2009-04-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200838044C

成果

専門的・学術的観点からの成果
輸血・細胞治療学会と共同調査を実施し、2007年に未照射製剤の輸血を行なったことがあると回答した医療機関が6.9%存在することを指摘した。また、全国大学病院輸血部会議副作用ワーキング等との共同調査から、重篤な輸血副作用の頻度は1/2500(実輸血患者数)であり、国内での患者数は年間約400人(実患者数)と推定した。
臨床的観点からの成果
病院内の副作用監視体制の標準化のために、輸血副作用の標準的な原因究明方法を検討し「輸血副作用の原因検索リスト」を作成すると伴に、輸血副作用の最新の知識を一般臨床医、看護師向けに平易に解説した「臨床医・看護師向け輸血副作用説明資料」を作成した。また、輸血・細胞治療学会と共同でABO不適合輸血調査結果の再解析を行い、その発生の原因は医療従事者個人ではなく、病院内の輸血医療体制の不備にあることを明らかにした。
ガイドライン等の開発
未照射製剤の輸血防止対策として、輸血・細胞治療学会に働きかけて輸血後GVHD対策小委員会を編成すると伴に、放射線照射ガイドラインV(原案)を作成した。未照射製剤の輸血防止対策・輸血療法の管理体制確立を含めた病院内の副作用監視体制の標準化の検討を行い、「輸血療法の実施に関する指針」・「血液製剤の使用指針」の改善提案を行なった。これらは、平成21年2月20日開催の血液事業部会運営委員会で審議され、同月に実施された両指針の一部改定に反映された。
その他行政的観点からの成果
医療機関側の視点から期待されるヘモビジランスのあり方について報告を行なった。赤十字血液センター等で実施されているヘモビジランスに加えて、異型輸血や溶血性輸血副作用、あるいはニアミス、ヒヤリ・ハット事例も集積されることが重要である。実現のためには、輸血医療での過誤に関する情報の発信の方法、社会の対応の在り方を含めた検討が必要である。さらに、血液製剤の不活化の円滑な導入のために、一般に開放されたシステムの構築が急務であり、輸血効果を測る指標のデータ集積が重要である。
その他のインパクト
共同調査を行なった全国大学病院輸血部会議副作用ワーキングと協力し、メーリングリストを利用し、「輸血副作用の原因検索リスト」「臨床医・看護師向け輸血副作用説明資料」を全国の大学病院に配信し、研究成果を普及した。また、各都道府県で開催されている合同輸血療法委員会を利用して研究成果を広く普及することを企画し、平成20年度は香川県、山口県の合同委員会で研究成果の解説を行なった。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
4件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
12件
学会発表(国際学会等)
8件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
「輸血療法の実施に関する指針」・「血液製剤の使用指針」の一部改訂
その他成果(普及・啓発活動)
3件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
藤井康彦、他
ABO不適合輸血の発生原因による解析
日本輸血細胞治療学会誌 , 53 (3) , 374-382  (2007)
原著論文2
藤井康彦
わが国における輸血副作用の現状
臨床検査 , 52 (2) , 201-204  (2008)
原著論文3
藤井康彦、浅井隆善、下平滋隆、他
重篤な急性輸血副作用に関する多施設共同研究
日本輸血細胞治療学会誌 , 54 (3) , 406-410  (2008)
原著論文4
下平滋隆、藤井康彦
「全国大学病院における輸血副作用調査体制」、平成18年度全国大学病院輸血副作用調査体制の報告
第19回北海道輸血シンポジウム プロシーディングス , 19 , 406-410  (2008)

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
-