遺伝子組換え医薬品等のプリオン安全性確保のための検出手法の標準化及プリオン除去工程評価への適用に関する研究

文献情報

文献番号
200838027A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝子組換え医薬品等のプリオン安全性確保のための検出手法の標準化及プリオン除去工程評価への適用に関する研究
課題番号
H19-医薬・一般-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 川崎 ナナ(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 生田 和良(大阪大学 微生物病研究所)
  • 堀内 基広(北海道大学大学院 プリオン病学講座)
  • 菊池 裕(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
遺伝子組換え医薬品等の製造工程での異常プリオン(PrPSc)の混入/迷入リスクを低減化するための検出法やPrPSc除去/不活能評価法の標準化をめざし,1)  PrPSc検出法開発を目指したPrPSc及び正常プリオン(PrPC)構造解析のためのPrPC濃縮法の構築,2) プリオン病の生前診断法としての近赤外分光法の有用性評価,3) 超音波処理PrPScを用いたナノフィルターによるPrPSc除去評価,4) PrPSc変性増幅試験 (PMAC)法を用いた工程評価に適したPrPSc画分の検討,並びに 5)ウシスプライス変異PrPc(PrPSV)の検出法を評価した.
研究方法
1)ハムスター脳PrPCをオクチルグルコシド及びCHAPS及びカラムを用いて濃縮した.
2)プリオン感染マウスの体表からの近赤外分光測定を行った.
3)PrPSc感染脳の超音波処理ミクロゾーム画分をバイオ製剤に添加し,ナノフィルター(15nm)でろ過した.
4)263K株感染ハムスターの10%脳乳剤より調製したPrPScをプラノバ35N(平均孔径35 nm)で濾過し,スパイク用試料とした.また,PMCA装置を用いてPrPScを増幅した.
5)PrPSV mRNA検出のためにexon-exon junction primerを用いたRT-PCR法を用いた.
結果と考察
1)正常ハムスター脳のPrPC濃縮法を検討し,可溶化したPrPCをニッケルカラムとPEIメンブレン処理することが有用なことを見出した.
2)スクレイピー脳内接種マウス体表から得た近赤外スペクトルの多変量解析により,製造工程標準化とプリオン検出高度化のための第一歩となる重要な情報が得られた.
3)PMCAを検出に用いることで,粒子径35 nm以下のPrPSc画分をスパイク用試料として用いた場合でも,103~104の範囲でプロセスバリデーションが実施可能であることを示した.
4)15nmナノフィルターによっても,一部の感染性PrPScは通過することが明らかになり、PrPScリスクを正確に評価するには迅速性感染性測定法の開発が必要と考えられた.
5)ウシ血液及びヒツジ試料のPrPSV mRNAの解析に設計したRT-PCR法が有用なことを確認した.
結論
これらの結果は,製造工程におけるPrPSc高感度検出法の開発やPrPSc除去/不活能評価法の標準化に有用と考えられる.

公開日・更新日

公開日
2009-04-14
更新日
-