「健康食品」の安全性・有効性情報データベースを活用した健康食品の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
202124040A
報告書区分
総括
研究課題名
「健康食品」の安全性・有効性情報データベースを活用した健康食品の安全性確保に関する研究
課題番号
21KA2002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
千葉 剛(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 種村 菜奈枝(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部)
  • 鎌尾 まや(神戸薬科大学 エクステンションセンター)
  • 荒木 通啓(医薬基盤・健康・栄養研究所 AI栄養PJ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
13,411,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康食品の利用による健康被害が散見され、なかでも医薬品と健康食品との併用による相互作用は重篤な健康被害をもたらす可能性がある。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所では「健康食品」の安全性・有効性情報サイト(以下、HFNet)を介して、健康食品の情報提供を行っている。本研究は、健康食品の利用による健康被害の未然・拡大防止のため、以下の3つの課題を実施する。
研究1)「健康食品」の安全性・有効性情報の活用
研究2)アドバイザリースタッフ・認定薬剤師の現状把握および活用の検討
研究3)医薬品との相互作用検索システムの構築
研究方法
研究1)
1. 医師、薬剤師、管理栄養士、アドバイザリースタッフ(AS)3,246名を対象に、HFNet利活用の実態調査を行った。また、日本医師会、日本薬剤師会、日本保険薬局協会、日本栄養士会、アドバイザリースタッフ研究会の代表者とHFNet認知向上に向けた取り組みに関して意見交換を行った。
2. 20歳以上の消費者700名を対象に、緑茶摂取に伴うCOVID-19予防効果について言及した健康情報に関する記事に対する反応について調査した。また、消費者団体とHFNet利活用に関して意見交換を行った。
3. 医薬品、健康食品の利用状況の異なる者および新型コロナウイルス感染症の予防目的のため健康食品を利用している者各2000名を対象に、HFNetの認知度を調査した。
研究2)
1. NR・サプリメントアドバイザー、食品保健指導士、健康食品管理士、健康食品領域研修認定薬剤師686名を対象に、専門資格の有益性、健康食品の相談経験等について調査を行った。
2. 20歳以上の消費者を対象に、健康食品の専門資格の認知・相談経験、健康食品について相談したい相手・内容等について調査した。
研究3)
1. KEGG DRUG情報から医薬品とその代謝に関する代謝酵素データを抽出、リスト化した。
2. HFNet、PubMedから健康食品素材と薬物代謝酵素(CYP)に関する情報を網羅的に取得し、健康食品の日本語、英語、学名でリスト化し、健康食品・代謝酵素とPubMed IDの対応付けを行った。
3. 1, 2の結果を用い、医薬品と健康食品の相互作用の検索システム、webツールのプロトタイプを構築した。
4. PubMedおよび医学中央雑誌より、健康食品に用いられる素材・成分に関連するヒトにおける医薬品との相互作用の症例、および薬物代謝への影響を検討した研究論文を収集した。
結果と考察
研究1)
1. 医師、薬剤師、管理栄養士、ASにおいて、今回の調査で初めてHFNetを知った者は59.8%であり、特に、日本薬剤師会、日本保険薬局協会でその割合が大きく、HFNet普及啓発の必要性が明らかとなった。
2. 正しい情報の選択と理解のためには消費者に対する誤った健康情報の見分け方に関するリテラシー教育に加えて、ベネフィット認知に配慮したベネフィットコミュニケーションデザインが必要であると考えられた。消費者団体との意見交換において、HFNetに期待する役割について助言を頂いた。
3. 消費者におけるHFNetの認知度は7%程度であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症予防目的での健康食品を利用している者においては、33%がHFNetコロナ情報サイトを認知していたことから、消費者に活用されている実態が明らかとなった。
研究2)
1. AS及び健康食品領域研修認定薬剤師において、約7割が健康食品に関する相談応需経験があった。相談内容は「有効性」が4割、「安全性」が1割、「健康被害」はわずかであった。健康被害のうち健康食品等の摂取と関連が疑われるものは約半数であった。
2. 健康食品の専門資格保有者の存在を認知している消費者は6%程度であった。専門資格保有者の存在を認知している者のうち、約4割は専門資格保有者への相談経験があり、そのうち9割以上が相談により、健康食品の問題が解決したと回答した。
研究3)
1. KEGG DRUG情報から、医薬品代謝に関する代謝酵素に関するデータを抽出した。
2. HFNet、PubMedから健康食品素材によるCYPへの影響について網羅的にスクリーニングを行った。
3. 医薬品と健康食品の相互作用の検索システム、webツールのプロトタイプを構築した。
3. PubMedおよび医学中央雑誌を検索し、50件(33素材)の情報をHFNetに追加した。
結論
HFNetの認知度は消費者だけでなく、医師、薬剤師、管理栄養士、ASにおいても十分ではないことから、今後は各団体と協力し、認知度を向上していく必要がある。また、消費者におけるASの認知度も低い一方で、ニーズは高いことが示されたため、今後はASの活躍の場を検証する必要がある。また、相互作用情報についても引き続き、情報提供の在り方を検証する。

公開日・更新日

公開日
2022-09-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-09-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202124040Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
17,434,000円
(2)補助金確定額
17,179,000円
差引額 [(1)-(2)]
255,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,240,665円
人件費・謝金 4,935,669円
旅費 0円
その他 5,980,493円
間接経費 4,023,000円
合計 17,179,827円

備考

備考
827円は研究者の自己負担により対応

公開日・更新日

公開日
2023-06-27
更新日
-