文献情報
文献番号
200838013A
報告書区分
総括
研究課題名
違法ドラッグの依存性等に基づいた乱用防止対策に関する研究
課題番号
H18-医薬・一般-017
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
花尻(木倉) 瑠理(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
- 合田 幸広(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
- 高山 廣光(千葉大学大学院 薬学研究院)
- 栗原 正明(国立医薬品食品衛生研究所 有機化学部)
- 飯田 修(独立行政法人医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター 種子島研究部)
- 豊岡 利正(静岡県立大学 薬学部)
- 裏出 良博(財団法人大阪バイオサイエンス研究所 分子行動生物学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
8,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
薬事法に制定された指定薬物制度に対応し,指定薬物として規制すべき物質及び植物の規制範囲を検討すると共に,根拠となる科学的データを提示することを目的とする.
研究方法
新規市場流通違法ドラッグ成分の構造決定,分析法の開発を行うと共に,分析用標品の製造を行った.また,薬理活性未知化合物について3種類の活性評価法を検討した.生体内で麻薬成分が生成する可能性が指摘され問題となっているN-OH MDMAについて,物性を検討すると共に,ラット及びヒト肝における代謝を検討した.さらに,植物製品の遺伝子解析による基原種調査を行った.代表的な植物系違法ドラッグについては,標準となりうる植物資源の確保を行った.
結果と考察
新規流通違法ドラッグの単離同定・分析データの整備,違法ドラッグ成分のHPLC-CADを用いた高感度一斉分析法の開発を行った.植物製品中から新しいタイプの違法ドラッグ成分として,強いカンナビノイド受容体アゴニスト活性を示す2合成化合物を単離同定した.コンピューターシュミレーションによる活性予測法,Gタンパク質共役型受容体とCa2+感受性発光蛋白エクオリンを安定に共発現する組換え細胞を用いた活性測定法,動物の脳波変化から薬物の薬理学的効果を判定する手法を用いて,活性未知違法ドラッグ成分の中枢活性を検討した.N-OH MDMAについて,塩基性条件下での分解メカニズムを検討すると共に,ラット及びヒト肝における代謝を検討し,規制化の判断根拠となりうる科学的データを収集した.植物系違法ドラッグ製品の基原植物を解明するために,ロータス,シニクイチ及びファラリスに着目して遺伝子分析による検討を行った.市場流通Voacanga africanaの根皮から,既知アルカロイド16種,新規アルカロイド11種を単離構造決定し,幻覚性物質のイボガインの存在を確認した.さらに,基原植物の収集・栽培及び同定を行い,標準となりうる植物資源の確保を行った.
結論
本研究成果は,平成20年8月に行われた薬事・食品衛生審議会指定薬物部会及び依存性薬物検討会の審議資料として用いられ,平成21年1月に施行された指定薬物指定及びN-OH MDMA麻薬指定の判断材料となった.今後も,問題となる薬物・植物を随時指定薬物として指定し規制していくことになるが,本研究結果はこれらの規制化に有用な情報を提供し,国の監視指導行政に直接貢献するものである.
公開日・更新日
公開日
2009-04-09
更新日
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