新しい無菌医薬品製造技術の無菌性評価に関する研究

文献情報

文献番号
200838006A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい無菌医薬品製造技術の無菌性評価に関する研究
課題番号
H18-医薬・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
棚元 憲一(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 次雄(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)
  • 那須 正夫(大阪大学大学院 薬学研究科)
  • 曲田 純二(日本ミリポア株式会社)
  • 小久保 護(澁谷工業株式会社)
  • 渡辺 恵市郎(日揮株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)前厚労科研費で作成した無菌医薬品関連の2つの指針のフォローアップ研究、2)ヒトの介在しない無菌製造技術の無菌性評価に関する研究、3)無菌操作法で製造する無菌医薬品へのパラメトリックリリース適用に関する研究、4)微生物の迅速モニタリングシステムの開発や微生物の迅速計測法の日局導入に関する研究、以上を展開する。
研究方法
ISO TC198/WG9の国際会議等を通じ、国際規格を作成した。新しい無菌性管理概念『最重要区域(SA空間)』の構成要素を検討し、状態評価と最重要区域境界の外乱に対する堅牢性を評価によって無菌性保持レベルを評価するSA状態分析法を検討した。アイソレータ内部の無菌性の潜在リスク、除染のリスク評価を行い、対応策とその後の再評価を行った。水質の低下が見られたRO水製造システムの細菌数変化の測定、細菌群集構造変化、細菌種の決定、遺伝子情報によるRO膜上の細菌の可視化を行った。
結果と考察
ヘルスケア製品の無菌操作法の国際規格案が発効された。日本の指針改正につながる。「最重要区域」という概念の提示と解析を行い、製造方法に拘わらず同じ評価軸上で評価できる客観的なSA状態分析法を開発し、リスクに応じた管理方法を提案した。論理的・普遍的な無菌性の議論が可能となる。アイソレータの無菌性維持に関する潜在的なリスク対策を検討し、客観的に評価できないリスクへの対応策を講じることにより、10-6に限りなく近い無菌保証レベルが維持できることを示した。パラメトリックリリース、より高度な無菌医薬品の安定製造に寄与するものである。RO水製造システムにおける細菌の動態解析法を種々開発した。これらの手法を用いた解析は、RO水製造工程における安全管理と、安全な医薬品製造用水の確保につながるものである。
結論
1)ISO TC198/WG9に参加し、ヘルスケア製品の無菌操作法の最終国際規格案の作成に係わった。2)無菌医薬品製造方法に関係なく、同じ評価軸上で評価できるSA状態分析法を開発し、リスクに応じた管理方法を提案した。3)アイソレータの無菌性維持に関する潜在的なリスク対策により、10-6に限りなく近い無菌保証レベルが維持できることを示した。4)日本における最新の無菌操作法技術を紹介した。5)開発した諸技術によるRO水製造システムの細菌の動態解析により、RO水製造システムの適切な維持管理が可能となることを示した。

公開日・更新日

公開日
2014-05-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200838006B
報告書区分
総合
研究課題名
新しい無菌医薬品製造技術の無菌性評価に関する研究
課題番号
H18-医薬・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
棚元 憲一(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 次雄(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)
  • 那須 正夫(大阪大学大学院)
  • 曲田 純二(日本ミリポア株式会社)
  • 小久保 護(澁谷工業株式会社)
  • 渡辺 恵市郎(日揮株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)前厚労科研費で作成した無菌医薬品関連の2つの指針のフォローアップ、2)ヒトの介在しない無菌製造技術の無菌性評価、3)無菌操作法で製造する無菌医薬品へのパラメトリックリリース適用、4)微生物の迅速モニタリングシステムの開発や微生物の迅速計測法の日局導入、以上の研究を展開する。
研究方法
無菌医薬品の製造指針の作成と、改正への準備としてヘルスケア製品の無菌操作法の国際規格案作成を行った。「最重要区域」という概念の提示と解析を行い、製造方法に拘わらず同じ評価軸上で評価できるSA状態分析法を開発し、リスクに応じた管理方法を提案した。論理的・普遍的な無菌性の議論が可能となる。アイソレータの無菌性維持に関する潜在的なリスク対策を検討し、客観的に評価できないリスクへの対応策を講じることにより、10-6に限りなく近い無菌保証レベルが維持できることを示した。パラメトリックリリース、より高度な無菌医薬品の安定製造に寄与するものである。細菌数測定での誤差要因を解析し、条件の最適化を図るとともに、RO水製造工程における安全管理と、安全な医薬品製造用水の確保のための細菌の動態解析法を種々開発した。
結果と考察
無菌医薬品製造の指針について、日米欧および国際規格比較を行った。新しい無菌性管理概念『最重要区域(SA空間)』の構成要素を検討し、状態評価と最重要区域境界の外乱に対する堅牢性を評価によって無菌性保持レベルを評価するSA状態分析法を検討した。アイソレータ内部の無菌性の潜在リスク、除染のリスク評価を行い、対応策とその後の再評価を行った。細菌の迅速検出法確立に向け、サンプリングの統計解析、RO水製造システムの細菌数変化の測定、細菌群集構造変化、細菌種の決定、遺伝子情報によるRO膜上の細菌の可視化を行った。
結論
1)「最終滅菌法による無菌医薬品の製造指針」を作成し監視指導麻薬対策課より発出した。ヘルスケア製品の無菌操作法の国際規格案作成に携わった。2)無菌医薬品製造方法に関係なく同じ評価軸上で評価できるSA状態分析法を開発し、リスクに応じた管理方法を提案した。3)アイソレータの無菌性維持に関する潜在的なリスク対策により、10-6に限りなく近い無菌保証レベルが維持できることを示した。4)細菌測定の統計的な考察と適切なサンプリング、菌の動的解析により、RO水製造システムの適切な維持管理が可能となることを示した。

公開日・更新日

公開日
2014-05-27
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200838006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
無菌医薬品製造の指針について、日米欧および国際規格比較を行った。新しい無菌性管理概念『最重要区域(SA空間)』の構成要素を検討し、状態評価と最重要区域境界の外乱に対する堅牢性を評価によって無菌性保持レベルを評価するSA状態分析法を検討した。アイソレータ内部の無菌性の潜在リスク、除染のリスク評価を行い、対応策とその後の再評価を行った。細菌の迅速検出法確立に向け、サンプリングの統計解析、RO水製造システムの細菌数変化、細菌群集構造変化、細菌種の決定、遺伝子情報によるRO膜上の細菌の可視化を行った。
臨床的観点からの成果
直接結びつく成果はないが、無菌性に関する研究、試験法の開発は高度無菌製品の製造に寄与するものであり、無菌製品による事故防止の観点からの貢献は大きい。
ガイドライン等の開発
最終滅菌医薬品へのパラメトリックリリースの適用促進を目指して「最終滅菌法による無菌医薬品の製造指針」を作成した。平成19年6月4日付で監視指導・麻薬対策課より発出された。さらに指針の英語版を作成した。本指針は最終滅菌医薬品へのPRの適用促進を目指しての作成であるが、規制当局が本指針を参考に最終滅菌医薬品へのPR導入を積極的に推進することが実行上重要であると思われる。
その他行政的観点からの成果
従来評価自体非常に困難であった無菌製造工程における最重要区域についてリスク解析の新規評価系の確立に関する成果は、行政当局および品質保証部門に寄与する製造設備の無菌性リスク、さらには新技術や新規設備の事前評価において、高い客観性を持つ簡単な評価を可能とするものである。
その他のインパクト
平成19年10月29日(月)、江戸川区総合区民ホールにおいて「無菌医薬品の製造に関する国際調和と国内外の規制動向」シンポジウムを開催した。参加者は約500名と大盛況であり、関心の高さがうかがわれた。

発表件数

原著論文(和文)
15件
原著論文(英文等)
49件
その他論文(和文)
13件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
30件
学会発表(国際学会等)
14件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2014-05-27
更新日
-