文献情報
文献番号
200837056A
報告書区分
総括
研究課題名
微生物産生毒素のハイリスクグループへの慢性的な健康影響に関する研究
課題番号
H20-食品・若手-019
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
井上 薫(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
真菌産生毒素(マイコトキシン)は,日常的に摂取する穀類やベビーフード等の食品を汚染し,乳幼児期からの慢性的な摂取は,長時間経過した後に毒性や腫瘍など健康被害の原因となることが考えられる。しかしながら,マイコトキシンに対する耐容一日摂取量など国内外での基準値の設定は不十分であり,特に乳幼児を対象とした基準値の設定のための科学的データは乏しいため,評価系の確立が必要である。そこで,本研究は,幼児および小児腎疾患患者等のハイリスクグループへのマイコトキシン(特に基準値が未設定であるニバレノール)の健康被害を評価する系を構築することを目的とした。
研究方法
ヒトのネフローゼ症候群のモデルとなるICGNマウスと,その遺伝的ベースとなっているICRマウスをハイリスクグループのモデルとして用いた。3週齢の雄性ICGNマウスと3週齢および8週齢の雄性ICRマウスに各々0(対照群), 6, 12, 24 ppmの用量で4週間混餌投与した。検索項目として,体重,腎臓重量,尿中蛋白質量,血清生化学的検査(総蛋白,アルブミン,総コレステロール,クレアチニン,尿素窒素),ELISA法による血清中IgA濃度,腎臓の病理組織学的・免疫組織化学的(IgA, PCNA, alpha-smooth muscle actin: α-SMA)検索を実施した。
結果と考察
幼若ICGNマウスを用いた検索において,ニバレノール投与によりメサンギウム領域の拡大やα-SMA陽性活性化メサンギウム細胞を認める腎糸球体数の増加傾向や,血清中IgA濃度の増加が認められた。
また,ICRマウスを用いた検索では,3週齢群ではニバレノール投与により血清中IgA濃度の増加のみが認められ、8週齢群ではニバレノール投与によりメサンギウム領域の拡大を認める腎糸球体数に増加傾向がみられた。
また,ICRマウスを用いた検索では,3週齢群ではニバレノール投与により血清中IgA濃度の増加のみが認められ、8週齢群ではニバレノール投与によりメサンギウム領域の拡大を認める腎糸球体数に増加傾向がみられた。
結論
幼若ICGNマウスはハイリスクグループの小児モデルとして糸球体傷害の検出に感度の良いモデルである可能性が示唆された。
また,幼若ICRマウスは微生物産生毒素に対し必ずしも高感度感受性ではないことが示唆された。
また,幼若ICRマウスは微生物産生毒素に対し必ずしも高感度感受性ではないことが示唆された。
公開日・更新日
公開日
2009-04-07
更新日
-