職域での歯科口腔保健を推進するための調査研究

文献情報

文献番号
202123016A
報告書区分
総括
研究課題名
職域での歯科口腔保健を推進するための調査研究
課題番号
21JA1005
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
上條 英之(東京歯科大学 歯科社会保障学)
研究分担者(所属機関)
  • 品田 佳世子(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 口腔疾患予防学分野)
  • 杉原 直樹(東京歯科大学 衛生学講座)
  • 恒石 美登里(公益社団法人 日本歯科医師会 日本歯科総合研究機構)
  • 大山 篤(東京医科歯科大学 口腔疾患予防学分野)
  • 澁谷 智明(日立製作所京浜地区産業医療統括センタ 新川崎健康支援センタ)
  • 吉野 浩一(東京歯科大学 衛生学講座)
  • 江口 貴子(東京歯科大学短期大学 歯科衛生学科(東京歯科大学本館14階))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
5,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
事業所での健康増進を進めるため策定されたTHP(トータル・ヘルス・プロモーション・プラン Plan)指針が2020年度に約30年ぶりに見直され、歯科口腔保健の指導が明確化されたため、歯・口の保健指導等が職場で進められている事例を集め、事業所で普及のための事例集作成を行っていくことが本研究の目的である。
研究方法
この研究目的を達成するため、
1)歯・口の健康保持に携わっている関係団体(全国健康保険協会、歯科医師会、歯科衛生士会等の地方組織)及び産業歯科保健の学識経験者(日本産業衛生学会等の会員)に対し事例収集のための質問紙調査を行った。
2)アンケート会社のモニターの協力で保健行動や就業先での歯・口の健康保持に関する取組等を調査した。
3)国が事業所の健康増進を進めるために策定された指針に関連する事項について文献調査を行った。
結果と考察
1) 歯・口の健康保持に携わっている関係団体の調査結果
(1) 全国健康保険協会の都道府県支部のうち約3分の2は歯科口腔保健サービスに関する事業を実施しており、このうち、歯科健康診査の実施が最も多く、15支部で実施され、他の調査でも同様の傾向であった。
(2) 全国健康保険協会支部、都道府県歯科医師会及び歯科衛生士会の調査から新型コロナウイルス感染症の蔓延で事業を中止・延期したケースが6~7割認められるとともに実施方法を工夫する場合も見受けられた。
(3) 集団歯科健診実施時に、効率的実施のため特定健診制度との併催により行うケースがかなり認められた。
2) 事業所での歯・口の健康保持に従事している産業歯科保健の学識経験者への調査結果
(1) 今後、事業所での歯・口の健康保持を進めていく上で、改善すべき点として、
・「無関心層へのアプローチが難しい」、「歯科健診の時間確保(特に中小企業)」、「法的根拠があいまいなため歯科事業の継続が困難」、「健診のみで保健指導を行わない」、「正しく特殊健診ができる歯科医師が少なく需要に応えられていない」などの意見があった。
(2)事業所での歯・口の健康保持に関するサービスを普及定着のための評価指標については、
 「ヘルスリテラシーやセルフケアの割合」、歯科健診の参加率、歯科治療の受診率、歯科医療費、労働の損失の状況、従業員の満足度などが多くの学識経験のある者の意見としてあげられた。
3)大手アンケートモニターでの事業所勤務者の調査の結果について
(1) 金融業の従事者に調査を行った結果、新型コロナウイルス感染症の影響で、歯科受診の「受診頻度が減った」、「受診を我慢した」者が2割近くの者で認められ、職域で歯科健診についても中止例の存在が判明した。
(2) 事業所勤務者での調査で在宅勤務の状況やWeb会議システムの活用状況を調査したところ、正規雇用労働者の方が非正規より在宅勤務を行っている割合が男女ともに高かった。また現場では、対面での産業保健サービスが主流ですが、Web会議システムによる産業保健サービスのオンライン化で在宅勤務職種がサービスを受ける機会を増やすことが示された。
4)事業所での健康増進を図るTHP指針関連の文献調査等の結果について
研究目的にも示しましたTHP指針に関連しての文献検索を行いましたところ、運動をテーマとする解説・総説論文が多く見受けられ、口腔保健や栄養管理についての文献は少ないのが実状であった。
結論
関係者への質問紙調査、事業所勤務者のWEB調査の結果、新型コロナ感染症による事業実施等や受診行動に一定の影響がありましたが、全国健康保険協会や都道府県歯科医師会、歯科衛生士会等の調査から、多くの地域で、事業所に対する歯科口腔保健に関するサービスが、実施されつつある状況であることが判明しました。
 また、事業実施にあたっては、事業所で特定健診が実施されている場合に、併催して行う等、効率的な実施環境の整備がされている場合が認められ、結果的に多職種連携での試みが有用になると考えられた。
なお、サービスの推進にあたり、Web会議システムの活用による産業保健サービスのオンライン化が、在宅勤務が行われている職種にとって、サービスを受ける機会を増やす有効なオプションとなり得ると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2023-05-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202123016Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,560,000円
(2)補助金確定額
5,560,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 179,520円
人件費・謝金 160,530円
旅費 56,140円
その他 3,880,810円
間接経費 1,283,000円
合計 5,560,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-05-25
更新日
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