食肉食鳥衛生検査における家禽・家畜等のウイルス性疾病検査に関する研究

文献情報

文献番号
200837051A
報告書区分
総括
研究課題名
食肉食鳥衛生検査における家禽・家畜等のウイルス性疾病検査に関する研究
課題番号
H20-食品・一般-014
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
棚林 清(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡崎克則(北海道医療大学 薬学部)
  • 池田秀利(日本獣医生命科学大学 獣医学部)
  • 伊藤壽啓(鳥取大学 農学部)
  • 杉山 誠(岐阜大学 応用生物科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食鳥・食肉検査所でも実施可能なウイルス疾病の検査方法の開発・改良・検証を行い検査体制整備のためのマニュアル案や技術的基盤を提供することおよび食用動物のウイルス感染の実態調査を目的とした。
研究方法
食肉衛生検査所等の協力で廃棄された豚や牛の臓器を収集し、PCRまたはRT-PCR法によるE型肝炎ウイルス(HEV)、ブタサーコウイルス(PCV2)や牛白血病ウイルス(BLV)の検出を実施した。さらに、試作病原体検出マイクロアレイを用いて網羅的な検出を試みた。鳥インフルエンザ(AI)の検査について簡易キット使用時の採材及び検査手順を現地で検証した。ゲノム検出のためのリアルタイムRT-PCRの各種プロトコールを比較した。肉用牛から分離されたA群ロタウイルス(RV-A)株の遺伝子解析やエゾシカ血清中のHEVの検出を試みた。
結果と考察
豚肝臓でHEV及びPCV2が想定される頻度0%(0/120)、32%(38/120) で検出された。牛の腫瘍43検体中41検体(95.3%)でBLVが検出された。改良試作病原体検出用マイクロアレイで廃棄臓器から放線菌ゲノムや化膿連鎖球菌speCが検出された。食鳥のAI検査で検査所ごとに採材手順の違いがあり写真を加えた具体的なマニュアル案を作成した。5種類のWHO推奨プロトコールのうちリアルタイムRT-PCRプロトコール2が良好であった。RV-Aの簡便な全遺伝子解析法で肉用牛から分離された未知RV-A 2株でリアソートメントやリアレンジメントが起きていることが確認された。北海道日高地区の捕獲エゾシカ320頭中1検体にブタ分離HEVに近縁のGenotype 3に属するゲノム断片が認められた。
結論
食肉処理場で廃棄された豚材料でHEVとPCV2の検査をし、想定される頻度で検出されたことは核酸抽出過程から検出に至る手法がほぼ妥当であることが分かった。牛の腫瘍検体からのBLVゲノム検出も良好になされ、検査所で実施可能なウイルス検査モデルとして試行に適すると考えられた。AI検査のマニュアル案をより検査所等で実施しやすく改訂していくことや試作病原体マイクロアレイの改良が必要である。RV-Aの多くの株の解析に有用な簡便な遺伝子解析法ができた。食用にも供されるエゾシカにHEVゲノムが検出された。

公開日・更新日

公開日
2009-04-01
更新日
-