機械設備に係るリスクアセスメント支援システムの開発

文献情報

文献番号
202123008A
報告書区分
総括
研究課題名
機械設備に係るリスクアセスメント支援システムの開発
課題番号
20JA1003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 剛(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 新技術安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 濱島 京子(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 機械システム安全研究グループ)
  • 芳司 俊郎(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 新技術安全研究グループ)
  • 清水 尚憲(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ)
  • 池田 博康(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 新技術安全研究グループ)
  • 梅崎 重夫(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所)
  • 木村 哲也(長岡技術科学大学システム安全系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
8,327,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では,機械設備の設計段階と使用段階におけるリスクアセスメント(以下,RAという。)について,特に中小零細事業所での普及を促すことを目的に,機械安全に関する知識や経験の限られた設計技術者・生産技術管理者を支援する際の要点を明確化した上で,これを満たすRA支援システムの例を開発し,その過程で得られる知見を通じて今後 ICTを活用して様々なシステムが構築される際に共通に参照される「基本要求仕様」を確立する。
研究方法
設計段階RA支援システムの開発を「項目1」とし,使用段階RA支援システム2種の開発・検証をそれぞれ「項目2」及び「項目3」と設定し検討を進めた。令和3年度(第2年度)は,項目1では複数考案した危険源同定を支援するアプローチを統合する形で,開発する支援システムの機能を明確化し,プロトタイプモデルの要求仕様を策定した。項目2では,選択式簡易RA手法に基づく支援システムの要求仕様を策定してタブレットPCで動作するプロトタイプモデルを試作し,労働安全コンサルタント等による試行を通じて実装した支援機能等を検証した。項目3では,前年度拡充した典型災害事例を応用した簡易RA手法に基づく支援システムについて,機械安全及び労働安全の専門家を対象に評価を行い,その妥当性及び有効性について検討した。
結果と考察
項目1では,設計段階でのRAの各手順で実行すべき必須事項をISO規格や包括指針等に示される原則に遡って検討し,中でも「危険源の同定」が,実施する者の機械安全に関する知識と経験にその成否が大きく依存することから,最も支援が必要な手順であることを明らかにした。さらに,設計段階でメーカが最低限達成すべきリスク低減水準を検討し,昨年度行った市販RA支援ツール等の調査結果も踏まえ,危険源同定を支援するアプローチを複数考案した。そして,これらを統合する形で,すべての機械に共通に適用されるタイプA/B規格の安全要求事項から危険源や危険区域を抽出し,確実に同定すべき範囲と定めて提示するという開発する支援システムの基本機能を明確化し,プロトタイプモデルとなる支援ツールの要求仕様を策定した。現在,その制作を進めている。
項目2では,昨年度に確立した選択式簡易RA手法に基づき,支援システムの要求仕様を策定し,プロトタイプモデルとしてタブレットPCで動作するアプリケーションソフトを試作した。これは,丸のこ盤,旋盤,ボール盤,フライス盤,プレス機械を対象に,それらの危険源・危険状態の同定を支援するものである。さらに,試作したプロトタイプモデルを用いて,理工系大学の学生,職員及び労働安全コンサルタントを対象に実装した支援機能の有効性を検証した。その結果,機械災害の発生過程(災害シナリオ)をイラストで提示する簡易RA手法自体は評価されたが,RAに不慣れな者を対象とする上では改善すべき点もあることが分かった。
項目3では,典型災害事例を応用した簡易RA手法に基づいて,扱える機械を12種に拡充した上でタブレット端末に実装し,RA支援システムを構築した。さらに,現場の写真や動画,作業手順及び専門家のコメントなどを容易に伝達できる点に着目し,遠隔でRAの妥当性を確認する遠隔安全診断を考案し,具体的な支援機能として実装した。開発した支援システムを機械安全及び労働安全の専門家に試行してもらい,実装した機能等の評価を行った。その結果,中小企業にとって,理解し易く,納得して効果の高いリスク低減対策を実施できるようにするツールとして有効性が期待され,RAに対する知識や関心を向上させる上で適切なシステムであるとの評価を得たものの,検討すべき課題も残されていることが分かった。
結論
設計段階RA支援システムについては,危険源の同定に焦点を当てた支援システムの基本機能を明確化し,プロトタイプモデルの要求仕様を策定した。使用段階RA支援システムとして,項目2及び3では,試作したプロトタイプモデルを用いて提案する簡易RA手法や支援機能の有効性を,機械安全・労働安全の専門家等を対象にした試行により検証した。

公開日・更新日

公開日
2023-05-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202123008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,992,000円
(2)補助金確定額
9,879,000円
差引額 [(1)-(2)]
113,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,123,802円
人件費・謝金 8,016円
旅費 57,320円
その他 7,024,979円
間接経費 1,665,000円
合計 9,879,117円

備考

備考
支出のうち、117円は自己資金より負担した。

公開日・更新日

公開日
2023-05-25
更新日
-