放射線照射食品の検知技術に関する研究

文献情報

文献番号
200837042A
報告書区分
総括
研究課題名
放射線照射食品の検知技術に関する研究
課題番号
H20-食品・一般-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
宮原 誠(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 棚瀬正和(放射線利用振興協会)
  • 武川哲也(原子燃料工業株式会社)
  • 増水章季(崇城大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
38,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 当研究班の研究の成果として、照射香辛料を対象とする①TL法がいわゆる公定法となった。照射食品全般に渡り、種々の検出技術(②微生物法、③電子スピン磁気共鳴法(ESR法)や④GC法(HC(炭化水素)法とCB(シクロブタノン)法))を可及急的速やかに実用化し、違法な照射食品の輸入を監視することにより、我が国における輸入食品の衛生向上に資する。
研究方法
 ①TL法については放射線利用振興協会のほか、2登録検査機関が64試料の検討を行った。②微生物法について、照射食品検知の確定試験法を作成し、試験室間試験(8試験室)をおこなった。③ESR法は、乾燥果実、骨付き肉、セルロースを含む食品を対象とし、サプリング方法、測定条件が検知に与える影響について検討した。④炭化水素法は、原子力試験研究(H10-13年)で主な点は検証済なので、登録検査機関に依頼し、問題点がないか確認した。CB法については、GCのピーク純度向上の試みを行った。
結果と考察
①TL法は、加工食品や生鮮野菜などにTL法が適用可能であることをあきらかにし、適用食品拡大作業を終了した。②微生物法に関して、B.、メガテリウム等の放射線耐性菌を指標とする試験法を用いると70%以上の試料について確定検知可能であった。③単一試験室における試験を実行し、再現性の高い測定条件や検知の判定基準等の設定を行った。④炭化水素法については照射豚肉や照射鶏肉等を問題なく検知できると分かった。これについて、さらなる検討は不要で、速やかに通知法とすることが望ましい。CB法の結果は不十分で、根本的に分析法を検討し直す必要がある。
結論
①TL法について、原試験法を今回拡大された食品を用いて複数の試験機関で評価したので、直ちに行政試験として運用が可能である。②生物学的検知法は特別な機器を用いることなく,微生物の試験だけで、より広範囲な食品について検知可能で、確定法として利用できる。八試験機関でこのことを確認したので行政目的に利用可能である。③ESRについては、必要な検討は終了したが、より再現性の高い測定方法の確立をめざし、検討を続ける必要がある。④GC法のうち、炭化水素法については原子力試験研究の結果を再度検討したところ、問題なく運用でき、本法も直ちに行政目的での使用が可能である。一方、現在のCB法は試験法として採用するにはさらに検討を必要とする。しかし、CB法の検知対象食品は炭化水素法と完全に重複し、本法が必要か議論の余地があるだろう。

公開日・更新日

公開日
2010-07-28
更新日
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