文献情報
文献番号
200837036A
報告書区分
総括
研究課題名
貝毒を含む食品の安全性確保に関する研究
課題番号
H19-食品・若手-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
相良 剛史(四国大学短期大学部 生活科学科)
研究分担者(所属機関)
- 谷山 茂人(長崎大学大学院 生産科学研究科)
- 高谷 智裕(長崎大学水産学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、魚介類の食品としての安全性を確保し、国民の健康保護を図ることを目指して、高感度で迅速、かつ簡便な液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)による麻痺性貝毒(PSP)一斉分析法の開発を目的とした。
研究方法
まず、有毒魚介藻類からのPSP成分の精製を行った。次いで、PSP標準品および精製したPSP成分を用いて、LC/MS分析法を検討した。分析条件Ⅰでは、音速噴霧イオン化法(SSI)を採用したイオントラップ型質量分析計HITACHI M-8000により、イオン交換カラムと逆相分配カラムを直列に配置した分離モードを用いてPSP分析を行った。さらに、PSP成分にドウモイ酸(DA)、テトロドトキシン(TTX)、TTX関連成分を加えた分析についても検討を加えた。分析条件Ⅱでは、質量分析計にイオントラップ型のThermo Fisher Science LCQ FLEETを使用し、質量範囲m/z 100-800の条件でデータディペンデントスキャンとフルスキャンMS/MSを併用した分析を試みた。
結果と考察
有毒魚介藻類から15種のPSP成分、DA、TTX、6-epiTTX、4-epiTTX、11-oxoTTXを調製した。また、分析条件Ⅰにおいて、PSP 17成分の一斉分析が可能であること、本法はLC-蛍光(FLD)検出法とMS分析法に有効で、かつ相互に比較検討と補完できる性能を併せ持った手法であること、その分析時間も60分以内と迅速であることが示され、その有用性が示された。さらに、本法ではPSP成分に加え、DA、TTX、TTX関連成分の検出も可能であっことから、PSP-DA-TTXの総合的な一斉分析法への応用が強く期待された。一方、分析条件Ⅱでは、m/z 300、316、332、396、412 のマスクロマトグラムにおいてPSP成分の脱水[M-H2O+H]+、脱硫酸基[M-SO3+H]+ 、脱水脱硫酸基[M-SO3-H2O+H]+などのフラグメントイオンが検出されるピークが得られ、その定量下限値は1 pmolであり、本法は定量性にも極めて優れていた。
結論
本研究において、サキシトキシン(STX)群などの日本国内で未配布のPSP成分を中心とするPSP精製成分を確保するとともに、LC/MSによるPSP一斉分析法を開発した。本法は、高感度で迅速かつ簡便な手法で、今後、そのバリデーションの実施により、本法の実用化が強く期待されるものである。
公開日・更新日
公開日
2009-04-17
更新日
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