食品製造における食中毒菌汚染防止のための高度衛生管理に関する研究

文献情報

文献番号
200837029A
報告書区分
総括
研究課題名
食品製造における食中毒菌汚染防止のための高度衛生管理に関する研究
課題番号
H19-食品・一般-014
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
品川 邦汎(岩手大学 農学部)
研究分担者(所属機関)
  • 牧野 壮一(帯広畜産大学 畜産学部)
  • 五十君靜信(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
29,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
豚肉、野菜・漬け物類、およびready to eat 食品を対象食品とし、各製造工程における危害分析を行い、有害微生物のコントロール手法を確立するとともに、安全な食品食肉製造におけるHACCPモデルを作成する。
研究方法
国内11道県の食肉処理場に搬入される豚の盲腸内容物を検体としてサルモネラ検査を行った。また、豚枝肉の拭き取り調査を行った。さらに、食肉処理場における豚肉処理工程に関する情報を収集・分析し、危害評価を行った。
 浅漬け製造における危害分析に基づき、HACCPプランを作成した。また、現在食品に汎用されている7種類の抗菌性物質について、リステリア菌の増殖抑制効果を検討した。
 衛生管理における食中毒菌のモニタリング法の開発に関する研究については、食品におけるカンピロバクターの簡易モニター方法を開発するとともに、製造工程におけるリステリア管理について研究を行った。
結果と考察
豚のサルモネラ保有は農場ベースで21.1%であり、汚染農場に対する対策が必要と考えられた。枝肉では骨盤腔で4.4%、胸骨割面で8.8%のサルモネラ汚染が認められた。また、食肉処理場における豚肉処理工程を三種に区分することができた。何れの処理方法でも腸切れは一定頻度で発生が見られ、農場側および処理場側にそれぞれ発生要因が存在することが明らかになった。
 浅漬け工場内にゾーニング及び作業導線を構築し、包洗浄・除菌、塩蔵、金属探知の各工程をCCPに設定し、そのモニタリング方法等について詳細に検討することにより、HACCPプランを構築できた。さらに、7種類の抗菌性物質のうちシュガーエステル、カラシ抽出物およびポリリジンがリステリア菌の防除対策に有効であることが示唆された。
 コラボレイティブスタディにより、市販鶏肉を用いてカンピロバクター簡易モニター法を従来法と比較したところ、簡易法の検出率は低いものの、十分実用に耐えることが明らかになった。簡易法はこれまで不可能であったカンピロバクターのモニター試験に有用であると考えられる。また、塩たらこ製造工場を対象として製造工程に形成されたバイオフィルムについて細菌構成を調べ、その制御方法について研究を進めた。リステリア属菌の食品汚染は製造工程において形成されたバイオフィルムに由来する。
結論
上の調査・研究は、安全で衛生的な食品製造を行うための科学的根拠となるデータを提供するものであり、食品製造における高度衛生管理を行う上で十分に活用されると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-13
更新日
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