カビ毒を含む食品の安全性に関する研究

文献情報

文献番号
200837024A
報告書区分
総括
研究課題名
カビ毒を含む食品の安全性に関する研究
課題番号
H19-食品・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小西 良子(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究分担者(所属機関)
  • 熊谷 進(東京大学大学院 獣医公衆衛生学)
  • 佐藤 敏彦(北里大学医学部衛生学公衆衛生学)
  • 杉山 圭一(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
  • 田中 敏嗣(神戸市環境保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、我が国の基準値を設定するに必要な科学的根拠を得ることにある。基準値設定には、毒性評価・汚染実態調査・食品中の減衰率・暴露評価が必須であることから、本研究ではわが国において基準値が未設定のカビ毒についてこれら項目について調査研究を行い、基準値策定の必要性を判断する知見を得ることを目的としている。

研究方法
実態調査は通年と同様オクラトキシンA(OTA)およびフモニシン(FBs)を対象としLC/MS/MSおよびHPLC等を用いて詳細に行った。毒性評価では、LPS誘導性一酸化窒素(NO)産生を指標にしたin vitro免疫毒性高感度検出系を確立し、DON/NIV複合汚染の毒性を検討した。また、新生児ラットにαゼアラレノール等を投与後、成熟後にアフラトキシンを単回経口投与し、その毒性を血液生化学変化により調べた。分析法の確立については、統計学の専門家も参画したカビ毒試験法評価委員会を設立した。暴露評価に関しては、小麦粉におけるOTAのの暴露評価を行った。
結果と考察
OTAおよびFBsの通年暴露評価は、2年目を終え、年度ごとの汚染度に大きな変動があることを見いだしている。毒性評価においては、免疫毒性を示すDONおよびNIVについてLPS誘導性NO産生を抑制することを見いだし、さらに両毒素の共汚染ではLPS誘導性NO産生量は相加的に抑制される傾向を確認した。また、新生時期にαゼアラレノール等を投与されたラットにおいては、成熟後にアフラトキシンの急性毒性に対する感受性が低下することが認められた。分析法の確立については、DON/NIV一斉分析法の妥当性試験評価を行った。
結論
本研究成果より実態調査ではOTAおよびFBsの汚染が比較的広範囲の食品に検出されたが、汚染レベルにおいて諸外国で定められた基準値等を超えるものはなかった。DON/NIVの複合毒性は各々の抑制作用の相加として評価できる可能性が示唆された。OTAの暴露評価では若年層での暴露量が比較的高かったがいずれの層も一日(一週)耐容摂取量以下であった。

公開日・更新日

公開日
2009-04-07
更新日
-