医療の質および患者アウトカムの向上に資する、看護ニーズに基づく適切な看護サービス・マネジメント手法の開発

文献情報

文献番号
202122027A
報告書区分
総括
研究課題名
医療の質および患者アウトカムの向上に資する、看護ニーズに基づく適切な看護サービス・マネジメント手法の開発
課題番号
21IA1002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
林田 賢史(産業医科大学 大学病院)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 智弥(名古屋大学 医学部附属病院)
  • 梯 正之(広島大学大学院保健学研究科)
  • 堀口 裕正(独立行政法人国立病院機構 本部 総合研究センター 診療情報分析部)
  • 松田 晋哉(産業医科大学 医学部・公衆衛生学)
  • 森脇 睦子(東京医科歯科大学医学部附属病院 クオリティ・マネジメント・センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
4,632,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、急性期の入院患者を対象に、以下を目的に実施する。
1)国内外の文献レビュー等をもとに、患者アウトカムに影響する看護資源(量・質)の要素について整理し、我が国の看護サービスと看護関連アウトカムの関係において不足しているエビデンスを明示する。
2)看護サービス・マネジメントに活用可能な、患者アウトカムに関連する看護資源指標を開発する。
3)有事における適切な看護資源配分の検討に活用可能な指標について考案する。
これらを通じて、地域や施設における最適な看護提供体制構築に資する政策提言を目指す。
研究方法
1.看護関連アウトカムに影響する看護資源要素についての整理
国内外の文献レビュー等をもとに、医療の質や看護関連アウトカム(転倒転落、30日以内再入院、在院日数、死亡率等)に影響する看護関連要素(提供体制、専門性の高い看護師の配置等)を整理した。
2.解析用データベース(DB)の構築
研究参加病院(約1,000の急性期病院)から2019年度、2020年度のDPCデータを収集し、解析用DBを構築した。また、そのうちの9病院からは、さらに2019年度の看護職の勤務状況や専門性を有する看護師の配置状況に関するデータを収集し、解析用DBを構築した(事業完了予定期日変更により、2022年10月末に完了)。
3.看護ニーズ推計アルゴリズムおよび患者アウトカムに関連する看護資源指標の開発
主にDPCデータ(EFファイルとHファイル)から患者状態を把握し、その患者状態に基づいた看護ニーズ推計アルゴリズムを開発し、患者アウトカムに関連する看護資源指標を検討した。
4.有事における適切な看護資源配分に活用可能な指標の考案
単施設におけるプレスタディーを実施した。指標の候補については、主評価指標として、①普段当該病棟に入院しない診療科や疾患群の患者の入院等で混乱が発生している、②不要不急の患者の割合が減少することで重症患者が相対的に増加している、③重症系病床での療養が望ましい患者が一般病棟へ入院していることを示す指標を設定した。また、さらに詳細な状態が把握できるような副次評価指標も設定し、これらの指標値について病床逼迫前群(2019年度)と病床逼迫時病床逼迫時群(2020年度)を比較した。
結果と考察
1.看護関連アウトカムに影響する看護資源要素についての整理
海外では多くの研究がなされており(多数のレビュー論文やレビュー論文のレビューであるumbrella reviewも存在)、看護関連アウトカムに影響する看護資源要素についての知見がそろっていた。一方、国内での研究については、2段階スクリーニング後に、2006年から2021年までに出版された15件(和文及び英文併せて)が抽出され、わが国での研究はほとんどないことが明らかとなった。国内での看護配置とNursing sensitivity outcomesとの関連を検討した研究においては、使用しているアウトカムが様々かつ結果も一致していない状況であり、国内での研究の必要性が再確認された。
2.解析用データベース(DB)の構築
2019年度と2020年度の DPCデータ、ならびに2019年度の看護職の勤務状況や専門性を有する看護師の配置状況に関するデータを収集し、解析用DBを構築した(事業完了予定期日変更により、2022年10月末に完了)。
3.看護ニーズ推計アルゴリズムおよび患者アウトカムに関連する看護資源指標の開発
看護ニーズ推計アルゴリズムについては、DPCデータ(EFファイルとHファイル)を用いたICU用やHCU用の看護必要度評価のためのマスターを活用して、患者の看護ニーズ推計アルゴリズムの開発を行った。また、患者アウトカムに関連する看護資源指標について検討した。
4.有事における適切な看護資源配分に活用可能な指標の考案
主評価指標として、「診療科カバー率」「急性期医療提供患者割合」「重症患者割合」を設定し、病床逼迫前群と病床逼迫時群で比較したところ、病床逼迫時群で各指標の割合が増加していた。
結論
国内外の文献レビューにより、看護資源と看護関連アウトカムとの関連に関する研究の現状について把握した。また、看護関連アウトカムに影響する看護資源(量・質)の要素について整理し、看護師の適切な配置に資する指標の候補について検討した。
有事における適切な看護資源配分に活用可能な指標については、病棟の不慣れと患者の重症度に焦点を当てその患者像を明らかにした。今回開発した指標は、「忙しい」という主観的に表現された病棟状況を客観的に表現する有用な指標であり、効率的で安全な人員配置や良好な病棟運営の一助になると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2022-06-07
更新日
2022-12-27

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-07
更新日
2022-12-27

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202122027Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,021,000円
(2)補助金確定額
6,021,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,458,876円
人件費・謝金 365,950円
旅費 686,250円
その他 2,120,924円
間接経費 1,389,000円
合計 6,021,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2022-06-07
更新日
2022-12-27