輸入生鮮魚介類および動物生肉のウイルス汚染のサーベイランスに関する研究

文献情報

文献番号
200837014A
報告書区分
総括
研究課題名
輸入生鮮魚介類および動物生肉のウイルス汚染のサーベイランスに関する研究
課題番号
H18-食品・一般-014
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
西尾 治(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 牛島 廣治(藍野大学藍野健康科学センター)
  • 鈴木 宏(新潟大学医歯学総合研究科)
  • 木村 博一(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 山下 和予(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 古屋 由美子(神奈川県衛生研究所)
  • 足立 聡(静岡県環境衛生科学研究所)
  • 大塚 有加(愛媛県立衛生環境研究所)
  • 中川(岡本)玲子(山口県環境保健センター)
  • 松本 知美(山口県環境保健センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国には大量の生鮮魚介類および動物肉が輸入されているものの、ウイルス学的な安全性は殆ど調べられていない。そこで、生鮮魚介類はノロウイルスおよびA型肝炎ウイルス、動物肉はE型肝炎ウイルスの汚染状況を調査・研究すると共に、日本のノロウイルス、AおよびE型肝炎の患者発生との関連を追及することとし、最終的には生鮮魚介類および動物肉のウイルス汚染状況からこれら食品の取扱いマニュアルを作成することにしている。
研究方法
平成18年4月から平成21年2月に市場に搬入された生鮮魚介類723検体について、ノロウイルス、A型肝炎ウイルスの汚染を、動物生肉の豚肉、牛肉等の264検体(18年110検体、19年104検体、20年50検体)はE型肝炎ウイルスウイルスの汚染状況を調査研究を行った。。
結果と考察
ノロウイルスは生鮮魚介類723検体中107検体(14.8%)から検出された。産地別では中国、韓国、フイリピン、ベトナム、北朝鮮からはいずれも高い検出率であった。種類別ではハマグリ、タイラギ、アカガイ、加熱用カキ、エビ類に高い汚染が見られたが、生食用カキは汚染が低かった。わが国には生鮮魚介類を介して、多様な遺伝子型が侵入していているといえる。生鮮魚介類からのA型肝炎ウイルス検出は生鮮魚介類710検体中3検体から検出され、遺伝子型は1a型で、アジアに広く分布しているものであった。動物肉の豚肉、牛肉はE型肝炎ウイルスが全て陰性で、検査した限りにおいてはウイルス学的には安全と考えられた。
結論
 生鮮漁魚介類のうち二枚貝の15%程度にノロウイルスが、0.4%程度にA型肝炎ウイルスに汚染されている。
実際に、ノロウイルスによる食中毒事件は刺身、寿司あるいは生鮮魚介類を介してと推察されるものが多発している。また、A型肝炎ウイルスによる食中毒事件は寿司店および生鮮漁魚介類を扱っている調理従業員が感染し、その感染者が調理する際に食材にA型肝炎ウイルスを付着させることにより起きている。
そこで、本研究で得られた成果を基に、生鮮魚介類および動物生肉の取扱いマニュアルを作成し、広報することにしている。

公開日・更新日

公開日
2009-04-01
更新日
-

文献情報

文献番号
200837014B
報告書区分
総合
研究課題名
輸入生鮮魚介類および動物生肉のウイルス汚染のサーベイランスに関する研究
課題番号
H18-食品・一般-014
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
西尾 治(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 牛島 廣治(藍野大学藍野健康科学センター)
  • 鈴木 宏(新潟大学医歯学総合研究科)
  • 古屋 由美子(神奈川県衛生研究所)
  • 足立 聡(静岡県環境衛生科学研究所)
  • 大塚 有加(愛媛県立衛生環境研究所)
  • 中川(岡本)玲子(山口県環境保健センター)
  • 松本 知美(山口県環境保健センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 わが国には大量に生鮮魚介類および動物肉類が輸入されているものの、これら食品の輸出国ではノロウイルス、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス等の検査がほとんど行われていない。そこで、本研究においては、輸入生鮮魚介類では、ノロウイルス及びA型肝炎ウイルス、動物肉ではE型肝炎ウイルスの汚染状況を国別、材料別にサーベイランスを行う。
研究方法
 輸入魚介類は主にアジア地域からのカキ、ハマグリ、アサリ等の二枚貝およびエビ類150件程度(2006年5?11月に市販されていた723件について、リアルタイムPCR法により、ノロウイルスおよびA型肝炎ウイルスの検出を定量的に行っている。またRT-PCR法により遺伝子を増幅して遺伝子配列を決定する。
また、動物肉はブタ肉を主として260件(2006年7?11月についてE型肝炎ウイルスの検出をRT-PCR法により実施し、遺伝子が増幅されたものは遺伝子配列を決定する。
結果と考察
 ノロウイルスは生鮮魚介類723検体(18年291検体、19年220検体、20年212検体)中107検体(14.8%)から検出された。産地別では中国、韓国、フイリピン、ベトナム、北朝鮮からはいずれも15%以上の高い検出率であった。種類別ではハマグリ、タイラギ、アカガイ、加熱用カキ、エビ類に高い汚染が見られたが、生食用カキは汚染が低かった。ノロウイルスは多くの遺伝子型が検出された。
生鮮魚介類からのA型肝炎ウイルス検出は生鮮魚介類710検体中3検体から検出され、遺伝子型は1a型で、アジアに広く分布しているものであった。
動物生肉は肝炎ウイルスが全て陰性で、検査した限りにおいてはウイルス学的には安全と考えられた。
結論
 生鮮漁魚介類のうち二枚貝の15%程度にノロウイルスが、0.4%程度にA型肝炎ウイルスに汚染されている。動物生肉はウイルス汚染が無いと考えられた。二枚貝の取扱いには注意しないとノロウイルス、A型肝炎ウイルスの感染の危険性がある。生鮮魚介類の取扱いマニュアルは総合報告書に掲載した。

公開日・更新日

公開日
2009-04-01
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200837014C

成果

専門的・学術的観点からの成果
輸入生鮮魚介類を介して、ノロウイルスの多様な遺伝子型がわが国に侵入していている。生鮮魚介類から検出されたノロウイルスの遺伝子型はGIが4つの遺伝子型および片山らの分類に属さないクラスターが3つ、型別不能が検出され、GIIでは10遺伝子型および異なった遺伝子型の存在が認められた。わが国には生鮮魚介類を介して、多様な遺伝子型が侵入していているといえる。最も多かったの近年日本で大流行している遺伝子型であった。
臨床的観点からの成果
特になし。
ガイドライン等の開発
ノロウイルスによる食中毒事件は刺身、寿司あるいは生鮮魚介類を介してと推察されるものが多発している。また、A型肝炎ウイルスによる食中毒事件は寿司店および生鮮漁魚介類を扱っている調理従業員が感染し、その感染者が調理する際に食材にA型肝炎ウイルスを付着させることにより起きている。
そこで、本研究で得られた成果を基に、生鮮魚介類および動物生肉の取扱いマニュアルを作成し、広報することにしている。
その他行政的観点からの成果
二枚貝の中腸腺、貝類が吐き出した液中にウイルスが存在していることが多い。さらに中腸腺がノロウイルス汚染された貝類は殻の表面にもウイルスが付着していると考え、取り扱うことが感染防止の上から重要である。また、活かしとして、海水パックされ詰めされた海水もウイルスに汚染されることなどであるので、感染源となりうること。エビ類はいわゆる背綿と呼ばれている腸管を除去することである。
その他のインパクト
日本食品衛生協会主催の平成19年度 厚生労働科学研究(食品の安心・安全確保推進研究)シンポジウムで「輸入食品のウイルス汚染、その現状」を平成19年11月27日 沖縄、平成20年2月19日横浜市で講演した。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
5件
学会発表(国内学会)
8件
学会発表(国際学会等)
8件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Nakagawa-Okamoto R, Arita-Nishida T, Toda S.et al
Detection of multiple sapovirus genotypes and genogroups in oyster-associated outbreaks.
Jpn J Infect Dis, , 62 (1) , 63-66  (2009)
原著論文2
Sakano C, Morita Y, Shiono M, Yokota Y.et al
Prevalence of Hepatitis E virus (HEV) infection in wild boar and Pigs in Gunma Prefecture, Japan.
J Vet Med Sci , 71 (1) , 21-25  (2009)
原著論文3
西尾治, 秋山美穂
輸入食品のウイルス汚染の実態とその対策
食品衛生研究 , 58 (10) , 23-31  (2008)
原著論文4
西尾治, 中川(岡本)玲子
ノロウイルス感染症と海産物の安全性
臨床とウイルス , 36 , 305-311  (2008)

公開日・更新日

公開日
2013-05-27
更新日
-