新規及び既存の放射線診療に対応する放射線防護の基準策定のための研究

文献情報

文献番号
202122002A
報告書区分
総括
研究課題名
新規及び既存の放射線診療に対応する放射線防護の基準策定のための研究
課題番号
19IA1004
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
細野 眞(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 一郎(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 高橋 健夫(埼玉医科大学 医学部)
  • 赤羽 正章(国際医療福祉大学 医学部放射線医学)
  • 東 達也(国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 量子医学・医療部門  放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部)
  • 松原 孝祐(金沢大学 医薬保健研究域 保健学系 量子医療技術学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
3,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和3年度(2021年度)において、本研究は、放射線診療が国民の健康と命に大きな利益をもたらしている一方で、高度化・複雑化している現状に対応して、さまざまな新規および既存の放射線診療を安全かつ有効に実施するための放射線防護の基準や指針を明確に示すことを目的として実施した。
研究方法
医療における放射線防護について国内外のデータを収集・調査して解析し、新しい放射線診療の導入、既存の放射線診療への対応に必要な基準や指針を検討した。取り組んだ課題は次の通りである。1-1 ルテチウム-177標識PSMA特異的リガンド(Lu-177-PSMA-617)の治験適正使用に関する検討、1-2 国内におけるTh-227を用いた診療用放射性同位元素の安全利用に関する検討、2 医療放射線防護の国内実態に関する研究 -1) 粒子線治療施設での位置決め用X線CT装置の利用に関する検討、-2) 放射線治療時に用いるエックス線装置等を操作する場所の規定のあり方、-3) 核医学放射線診療での排水管理、-4) X線CT装置の遮へい計算、-5) 放射化した部品を含む医療機器の法令適用の課題に関する検討、3-1 診療用放射線照射装置の使用室(RALS室)に併設されたCTエックス線装置の単独使用についての研究、3-2 診療用高エネルギー放射線発生装置使用室・診療用放射線照射装置使用室に併設されるエックス線装置及びCTエックス線装置(IGRT装置)の漏えい線量測定の必要性ついて、4 放射線診断・IVRにおける放射線防護の基準策定、5 アスタチン-211(211At)標識MABG療法:転移性悪性褐色細胞腫に対する新規核医学治療(RI内用療法)における安全管理に関する研究、6 多職種の放射線診療従事者への効果的な研修プログラムに関する検討。
結果と考察
アルファ核種を含めた核医学治療(RI内用療法)の退出基準と適正使用マニュアル、放射線診療の国内実態における諸課題、RALS室に併設されたCTエックス線装置の単独使用、IVR従事者の水晶体線量の低減、などの課題について基準・指針を検討し、多職種の放射線診療従事者に対する研修プログラムとコンテンツを作成・公開した。 
結論
放射線診療が発展している中で、放射線防護の基準や指針はますます重要であることが認識された。放射線防護の整備に向けて本研究班でさまざまの分野の専門家が連携して多角的な視点から取り組んだことは極めて意義が大きいと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2022-06-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-05-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202122002B
報告書区分
総合
研究課題名
新規及び既存の放射線診療に対応する放射線防護の基準策定のための研究
課題番号
19IA1004
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
細野 眞(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 一郎(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 高橋 健夫(埼玉医科大学 医学部)
  • 赤羽 正章(国際医療福祉大学 医学部放射線医学)
  • 東 達也(国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 量子医学・医療部門  放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部)
  • 松原 孝祐(金沢大学 医薬保健研究域 保健学系 量子医療技術学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、令和元年度(2019年度)から令和3年度(2021年度)の3か年度において、放射線診療が発展し高度化・複雑化している現状に対応して、さまざまな新規および既存の放射線診療を安全かつ有効に実施するための放射線防護の基準や指針を明確に示すことを目的として実施した。
研究方法
放射線診療に関わる放射線防護について国内外のデータを収集・調査して解析し、国際的な基準や指針とのハーモナイゼーションも考慮して、新しい放射線診療の導入や既存の放射線診療への対応に必要な基準や指針を検討した。アルファ核種とベータ核種を含めた核医学治療(RI内用療法)の退出基準と適正使用マニュアル、放射線診療の国内実態における諸課題、放射線治療における基準線量計の点検と校正の課題や診療用放射線照射装置の使用室(RALS室)に併設されたCTエックス線装置の単独使用についての課題、IVR従事者の水晶体を含めた被ばくの低減、多職種の放射線診療従事者に対する研修プログラムとコンテンツなどの課題などに取り組んだ。
結果と考察
核医学治療(RI内用療法)の基準・指針として退出基準と適正使用マニュアルを検討した。放射線診療の国内実態における諸課題について、国内法令や国際的な基準や指針を考慮して対策の案を示した。放射線治療における課題について施策につながる資料を示した。IVR従事者の被ばくの低減について具体的な対策につながるデータを示した。放射線診療従事者に対する研修プログラムとコンテンツを提供し広く活用していただいた。
結論
放射線防護の基準や指針を示し周知と運用を促すことにより、放射線診療の手法が安全に有効に活用されると考えられた。このような放射線防護の整備に向けて本研究班でさまざまの分野の専門家が連携して多角的な視点から取り組んだことは極めて意義が大きいと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2023-05-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-22
更新日
2022-11-04

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202122002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
新規および既存の放射線診療を安全かつ有効に実施するための基準や指針を示すために、さまざまの診療用放射線の手法を対象にして検討した。分担課題で扱ったα線放出核種アスタチン-211(211At)を用いた核医学治療は国内で開発されたものであり、そのような革新的な放射線手法を医療の場に導入するにあたって、拠るべき基準や指針をデータと理論に基づいて示すことができたのは意義があった。
臨床的観点からの成果
α線核種アスタチン-211を用いた核医学治療は国内で開発されたものであり、これを含めて革新的な放射線手法を医療に導入するにあたって基準や指針を提供した。X線CT装置の遮蔽評価法などをはじめ、さまざまな状況での放射線防護上の課題が日々顕在化している。放射線治療において、RALS室に併設されたCTエックス線装置の単独使用について検討した。IVR術者の眼の水晶体の等価線量評価の課題は、放射線診療従事者全般の被ばくの低減につながる。多職種の放射線診療従事者への研修プログラムは医療現場で有効に活用される。
ガイドライン等の開発
α線放出核種アスタチン-211の臨床試験における適正使用マニュアル、ルテチウムオキソドトレトチド(177Lu)の上市後の適正使用マニュアルなどを開発した。
その他行政的観点からの成果
本研究の成果の一部は「放射性医薬品を投与された患者の退出等について」(令和3年8月19日医政地発0819第1号)(神経内分泌腫瘍に対するルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)(ルテチウム-177標識ソマトスタチンアナログ)の退出基準)、「医療法施 行規則等の一部を改正する省令」(令和4年4月1日厚生労働省令第 75 号)、「病院又は診療所における診療用放射線の取扱いについて」の一部改正について(令和4年6月17日医政発0617第2号)等に資料として用いていただくことができた。
その他のインパクト
診療用放射線の安全管理の動画は日本医師会のYouTubeサイトに掲載され10万を超えるアクセスをいただいた。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
52件
その他論文(和文)
5件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
「病院又は診療所における診療用放射線の取扱いについての一部改正について」(医政発0323第21号令和5年(2023年)年3月23日 厚生労働省医政局長)(RALS室のCT単独撮影)
その他成果(普及・啓発活動)
2件
ホームページ

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Hosono M, Takenaka M, Monzen H et al
Cumulative radiation doses from recurrent PET/CT examinations
British Journal of Radiology , 94 (20210388) , 1-5  (2021)
10.1259/bjr.20210388
原著論文2
Watabe T, Hosono M, Kinuya S et al
Manual on the proper use of sodium astatide ([211At]NaAt) injections in clinical trials for targeted alpha therapy (1st edition)
Annals of Nuclear Medicine , 35 (7) , 753-766  (2021)
10.1007/s12149-021-01619-2
原著論文3
Ukon N, Higashi T, Hosono M et al
Manual on the proper use of meta-[211At] astato-benzylguanidine ([211At] MABG) injections in clinical trials for targeted alpha therapy (1st edition)
Annals of Nuclear Medicine , 36 (8) , 695-709  (2022)
10.1007/s12149-022-01765-1
原著論文4
Nagaike K, Hayashi S, Yakushijin T, et al.
Radiation dose and factors related to exceeding the diagnostic reference level in 496 transnasal ileus tube placement procedures from the REX-GI study
British Journal of Radiology , 96 (1146) , 20230086-  (2023)
10.1259/bjr.20230086
原著論文5
Watabe T, Namba M, Yanagida S, et al
Manual on the proper use of the 211At-labeled PSMA ligand ([211At]PSMA-5) for clinical trials of targeted alpha therapy (1st edition)
Annals of Nuclear Medicine , 38 (5) , 329-336  (2024)
10.1007/s12149-024-01916-6

公開日・更新日

公開日
2022-06-23
更新日
2024-06-12

収支報告書

文献番号
202122002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,000,000円
(2)補助金確定額
4,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,297,326円
人件費・謝金 864,857円
旅費 138,870円
その他 785,768円
間接経費 923,000円
合計 4,009,821円

備考

備考
4,009,821円のうち、9,821円は自己資金より支出

公開日・更新日

公開日
2022-12-01
更新日
-