化学物質の国際調和分類基準(GHS)に対応した感作性化学物質リスト作りとその応用による化学物質の安全使用

文献情報

文献番号
200836015A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質の国際調和分類基準(GHS)に対応した感作性化学物質リスト作りとその応用による化学物質の安全使用
課題番号
H20-労働・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
日下 幸則(福井大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 青山 公治(鹿児島大学 医学部)
  • 上田 厚(熊本大学 医学部)
  • 原田 幸一(熊本大学 医学部)
  • 大槻 剛巳(川崎医科大学 医学部)
  • 竹下 達也(和歌山県立医科大学 医学部)
  • 柴田 英治(愛知医科大学 医学部)
  • 山下 邦彦(ダイセル化学工業(株))
  • 土橋 邦生(群馬大学 医学部)
  • 皆本 景子(熊本大学 医学部)
  • 佐藤 一博(福井大学 医学部)
  • 梅村 朋弘(福井大学 医学部)
  • 田村 太朗(福井大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,020,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
化学物質の危険・有害性の絵表示やMSDSの交付が、2008年度からGHS(国際調和分類基準)により世界的に統一された。(独)製品評価技術基盤機構(NITE)が行なった絵表示やMSDSを交付すべき1500の化学物質の分類作業のうち、感作性物質については我々の作成した感作性物質リスト(職業・環境アレルギー誌;12(1):95-97, 2004)が和文英文とも判定基準に採用されている。
 日本産業衛生学会による感作性物質の分類基準では、その根拠としてヒトの報告(症例、疫学、検査)のみを採用しており、動物実験の結果を根拠として採用しておらず検討が必要である。ヨーロッパの基準は動物実験の結果も採用しており、調査検討が必要である。 
 
研究方法
皮膚・気道感作性物質の日本のエキスパートである班員による班会議を重ね、動物実験結果を取り入れた新しい感作性分類基準を作成し、我国の感作性物質リストを再分類する。
 化学物質の分類において、世界で最も進んでいるドイツ学術振興協会(DFG)のMAK(許容濃度委員会)が作成した感作性物質リストの一部を我々が作成した分類基準で分類してみる。また、それに当ってはMAKの事務局と交流を深める。 QSARソフトに関しては、富士通(株)側からソフトに関する情報を得つつ、今年度皮膚感作性予測モデル作成に着手する。
結果と考察
班会議により、皮膚・気道感作性物質とも動物実験結果を取り入れた分類基準(案)を作成しそれに基づいて既存の感作性物質を再分類を終了した。本年5月に公開する予定である。
 MAKの感作性物質リストの28物質について新しい分類基準で分類した所、4物質が根拠となる文献が見付からず分類不能で、FreisingのMAK事務局を訪問しGreim事務局長、Greim委員長等と交流を深めることでと共に上記4物質の文書を得た。4物質のうち2物質は分類可能である事が判明した。BerlinでのMAK委員会にオブザーバー参加するとともに、MAKの感作性に関するチーフであるゲッテインゲン大学のSchnuch教授から感作性に関してその他情報を入手した。皮膚感作性予測モデルのQSARソフトの開発に着手した。
結論
我国の感作性物質分類基準・リストをほぼ改訂した。MAKの感作性物質リストを我々の分類基準で分類することが可能であり、我国の感作性物質リストを増やすことは可能である。それによりQSARソフトの皮膚感作性予測モデルだけでなく、気道感作性予測モデルの精度が上がる。そのためにも、ドイツMAK事務局・委員会、ゲッテインゲンの感作性の委員との交流も今後さらなる重要である。

公開日・更新日

公開日
2009-06-23
更新日
-