じん肺健康診断におけるエックス線デジタル撮影画像の活用に関する研究

文献情報

文献番号
200836005A
報告書区分
総括
研究課題名
じん肺健康診断におけるエックス線デジタル撮影画像の活用に関する研究
課題番号
H19-労働・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
村田 喜代史(国立大学法人滋賀医科大学 放射線医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 相澤 好治(北里大学 医学部)
  • 岸本 卓巳(岡山労災病院)
  • 坂谷 光則(近畿中央胸部疾患センター)
  • 日下 幸則(福井大学 医学部)
  • 志田 寿夫(府省共通研究開発管理システム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 じん肺健康診断に用いられる胸部エックス線写真は、アナログ画像からCR,DRといったデジタル画像に急速に変わり、また観察法もフィルムからモニターになりつつある。そこで、アナログシステムとの整合性を保ちながら、デジタル胸部画像にも対応したじん肺健康診断システムを確立するための基礎的な検討を行い、同時にデジタル症例集を作成することを目的とした。
研究方法
 まず、生データと画像データを含めたじん肺デジタル胸部画像データの収集を分担研究者および研究協力者施設で継続して行った。この作業と平行して、現在用いられている種々のマトリックスサイズのモニター、あるいは白黒とカラーモニターによるじん肺診断の違いの有無を検討するために読影実験を行った。さらに、デジタルじん肺画像の活用に関する国際的動向の調査研究を行うとともに、読影実験評価の新しい方法の検討も行った。
結果と考察
 じん肺デジタル画像として、4施設から815症例が集積されたが、エックス線分類やじん肺の種類に偏りがあることから、症例集作成のためには来年度にさらに追加して症例収集を行う必要があると考えられた。モニターの検討では、マトリックスサイズが異なる2M,3M,5Mのモニターにおいて、じん肺の病型分類や所見判定における読影者間の一致度は良好で、モニター間の比較においても、2元配置分散分析で、ほとんどの項目において有意な差を認めなかった。さらに、異なった読影者および症例で行った、2つのメーカーのモニター間および3M白黒およびカラーモニター間において比較検討した読影実験においても、じん肺エックス線分類判定の一致率は高く、これらのモニター間に有意の差は認められなかった。したがって、一定レベルの高精細モニターであれば、モニターの種類にかかわらずじん肺評価が可能であると考えられた。国際的にもデジタル画像の活用は進みつつあり、ILOではデジタルモニター判定に対応したCDを発刊予定であり、米国厚生省安全衛生研究所でもじん肺スクリーニングにデジタル画像を用いる方向で検討を始めていることが明らかになった。さらに、項目反応理論として一般に知られる項目特性モデルに、独自に考案した(葛藤―平衡)モデルを組み合わせたじん肺分類密度分析法を考案し、じん肺分類の医師間変動を顕在化できることを示した。
結論
じん肺健康診断におけるデジタル画像とモニター診断システムの活用の方向性が示された。

公開日・更新日

公開日
2009-03-26
更新日
-