文献情報
文献番号
202120010A
報告書区分
総括
研究課題名
MSMに対する有効なHIV検査提供とハイリスク層への介入に関する研究
課題番号
20HB1006
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
塩野 徳史(大阪青山大学 健康科学部 看護学科)
研究分担者(所属機関)
- 金子 典代(公立大学法人 名古屋市立大学 大学院看護学研究科 国際保健看護学)
- 和田 秀穂(川崎医科大学 血液内科学)
- 健山 正男(琉球大学大学院医学研究科感染病態制御学講座 分子病態感染症学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
16,728,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ゲイコミュニティが存在し、当事者を中心としたCBOと行政、医療者、研究者との協働体制が構築されている地域、あるいはその可能性が高い地域(北海道、東北、東京都・神奈川県・首都圏、愛知県・東海、大阪府・近畿、岡山県・中国、愛媛県・四国、福岡県・九州、沖縄県)で、より感染リスクの高い層やこれまで介入が届きにくかった層を対象とした検査機会を提供することとしていたが、自粛の影響をふまえ、保健所などの検査機会の現状を共有し、各地域で新たなに有効な検査手法を検討し、その効果評価の体制を整備することとした。特に令和2年2月からの新型コロナ感染症拡大に伴い、保健所での検査提供は7割以上減少となっている。この減少を埋めるためにも新たな検査機会での補完が急務となった。そこで各地域では、郵送検査キットを配布する取り組みを開始した。各地域の状況に合わせて、対面配布とWEB配布する方式を組み合わせて実施した。
研究方法
ゲイコミュニティが存在し、当事者を中心としたCBOと行政、医療者、研究者との協働体制が構築されている地域、あるいはその可能性が高い地域(北海道、東北、東京都・神奈川県・首都圏、愛知県・東海、大阪府・近畿、岡山県・中国、愛媛県・四国、福岡県・九州、沖縄県)で、より感染リスクの高い層やこれまで介入が届きにくかった層を対象とした検査機会を提供する.
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響をふまえ、保健所などの検査機会の現状を共有し、各地域で新たな有効な検査手法を検討した。郵送検査やクリニック検査等、CBOが介在する保健所以外の検査機会利用前後には無記名自記式のアンケート調査をWEB上および紙面で実施し、その後の結果と一致させ、効果評価を行うことにした。
啓発介入で展開する検査提供が、意図した対象に提供されていたかを評価するために、受検機会を利用した人を対象に質問紙調査の準備を進め、受検経験・性行動などの受検者特性の把握および地域間比較、一部地域では保健所受検者との比較し効果を検討した。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響をふまえ、保健所などの検査機会の現状を共有し、各地域で新たな有効な検査手法を検討した。郵送検査やクリニック検査等、CBOが介在する保健所以外の検査機会利用前後には無記名自記式のアンケート調査をWEB上および紙面で実施し、その後の結果と一致させ、効果評価を行うことにした。
啓発介入で展開する検査提供が、意図した対象に提供されていたかを評価するために、受検機会を利用した人を対象に質問紙調査の準備を進め、受検経験・性行動などの受検者特性の把握および地域間比較、一部地域では保健所受検者との比較し効果を検討した。
結果と考察
初年度、各地域の連携のもと、郵送検査キットを1,053キット配布し、受検者アンケートに回答した人は1,048人であった。このうち、実際に利用した人は769人であり、配布数に占める利用者の割合は73.0%であった。このうち、結果画面を視認したと考えられる人は736人(95.7%)であった。新規のHIV陽性率は推定で1.8%、新規の梅毒陽性率は推定で5.6%であった。本年度は、郵送検査キットを1,893キット配布し、受検者アンケートに回答した人は2,016人であった。このうち、実際に利用した人は1,305人であり、配布数に占める利用者の割合は68.9%であった。このうち、結果画面を視認したと考えられる人は1,259人(96.5%)であった。新規のHIV陽性率は推定で0.9%、新規の梅毒陽性率は推定で3.6%であった。
その他、保健所以外の検査機会としては東海、近畿、中四国、沖縄地域でクリニックと協働した検査キャンペーンを実施し、現時点で、東海では3クリニック、年間総計57人が利用した(HIVの陽性2人、梅毒陽性は既往歴と新規感染合わせて12人)。近畿では12クリニック、年間総計233人が利用した(HIV陽性者4人、梅毒陽性は既往歴と新規感染合わせて51人、B型肝炎陽性者1人)。岡山では6クリニック、50人が利用した(HIV陽性6人、梅毒陽性は既往歴と新規感染合わせて14人)。沖縄では5クリニック、26人が利用した(HIV陽性1人)。また大阪ではコミュニティセンターで検査を年6回実施し、検査利用者は144人で、HIV新規陽性者2人、梅毒陽性者20人であった。
その他、保健所以外の検査機会としては東海、近畿、中四国、沖縄地域でクリニックと協働した検査キャンペーンを実施し、現時点で、東海では3クリニック、年間総計57人が利用した(HIVの陽性2人、梅毒陽性は既往歴と新規感染合わせて12人)。近畿では12クリニック、年間総計233人が利用した(HIV陽性者4人、梅毒陽性は既往歴と新規感染合わせて51人、B型肝炎陽性者1人)。岡山では6クリニック、50人が利用した(HIV陽性6人、梅毒陽性は既往歴と新規感染合わせて14人)。沖縄では5クリニック、26人が利用した(HIV陽性1人)。また大阪ではコミュニティセンターで検査を年6回実施し、検査利用者は144人で、HIV新規陽性者2人、梅毒陽性者20人であった。
結論
各地域の取り組みは、年に数回コミュニティセンターやMSM ALL JAPAN.会議において、その成果を還元してきた。そのため、先行事例である診療所・クリニックと連携した検査機会や郵送検査を活用した検査プログラムの手法については実践可能な状況であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、予定していた対面での打合せ等が進まず、進行が遅くなった。そのため、これまでに提供できた検査件数は目標を下回る結果となった。一方でコミュニティの状況やHIV/AIDSや検査に対する意識も変化していることが指摘されている。各地域の行政も対応に追われており、MSMコミュニティにおけるHIV検査の機会は減少している。またエイズ発症割合も高くなっていると報告されており、検査ニーズはより高まっていると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2022-06-09
更新日
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