心臓外科手術成績の質の向上を目的とする客観的評価法確立のための日本成人心臓血管外科手術データベースプロジェクト(JACVSD)

文献情報

文献番号
200835082A
報告書区分
総括
研究課題名
心臓外科手術成績の質の向上を目的とする客観的評価法確立のための日本成人心臓血管外科手術データベースプロジェクト(JACVSD)
課題番号
H18-医療・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
高本 眞一(東京大学医学部心臓外科・呼吸器外科)
研究分担者(所属機関)
  • 村上新(東京大学医学部心臓外科)
  • 本村昇(東京大学医学部心臓外科)
  • 月原弘之(東京大学医学部医療品質評価学講座)
  • 宮田裕章(東京大学医学部医療品質評価学講座)
  • 岡田昌史(筑波大学医学部医療情報学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高度に進歩し細分化・複雑化している心臓血管外科手術成績の現状を、一施設だけでなく日本国家全体の問題、かつエビデンスに基づいた医療問題として詳細に把握するため、国際的にも通用する全国的かつ国際的なネットワークでデータベースを構築しこれを有効利用することによりこれまで以上に良好かつ好成績な心臓外科手術を国民に提供していくことを目的とする。
研究方法
 現在177の施設でデータ収集を開始している。当初年間75例以上の心臓手術症例を持つという条件で公募し集まった施設であり、全ての症例が集まると年間約20000例となる。それぞれの施設が各1名のデータマネージャー(DM)を選出しDMがデータ収集とvalidationに責任を持つ。DMはそれぞれUMIN-IDを有しており(日本胸部外科学会あるいは日本心臓血管外科学会会員であれば自動的に所有している)、これに事務局からデータ収集専用のパスワードを発行し、この二つを始めに入力することによりインターネットのデータ入力サイト(http://www.jacvsd.umin.jp/top.html)にアクセスし、入力する。必須項目に入力がなされないと「入力未完了」との警告が表示され、欠損値が予防できる。入力されたデータは中央のサーバーに自動的に送られる。事務局では各データにJACVSD独自のIDを添付し病院ごとのIDは削除し個人の特定が全く不可能となった状態で統計処理担当者(岡田昌史講師・宮田裕章助教、分担研究者)にファイルを転送し、統計処理を行う。現時点で総症例数が60000例であり、術前重症度補正死亡率(risk adjusted mortality)も算出可能となった。また、入力フォームの不具合、項目の定義の微調整、入力プログラムの改良、といったハード面のメンテナンスを並行して行う。
結果と考察
 7133例の単独CABG手術症例を使用。糖尿病が47%、緊急手術は14%、末梢血管病変を伴っていたのが16%あった。30日死亡率は2.0%で、30日病院死亡率は2.7%であった。死亡率を上昇させる代表的な危険因子は、緊急手術(オッズ比3.7)、術前クレアチニン3.0mg/dl以上(オッズ比3.59)であった。
結論
 これまでの我々のデータからすると我が国の心臓血管外科手術成績は極めて良好で、欧米に全く引けをとらずむしろより良好であるともいえる。このデータを国内・国際的にも学術的な場面で公表し、日本の心臓外科手術領域の優秀性を広めていきたい。また、我が国の心臓外科手術の優秀性を広く一般国民にも理解していただきたく一般向けにも広報活動を進めていきたい。

公開日・更新日

公開日
2010-04-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-01-26
更新日
-

文献情報

文献番号
200835082B
報告書区分
総合
研究課題名
心臓外科手術成績の質の向上を目的とする客観的評価法確立のための日本成人心臓血管外科手術データベースプロジェクト(JACVSD)
課題番号
H18-医療・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
高本 眞一(東京大学医学部心臓外科・呼吸器外科)
研究分担者(所属機関)
  • 木内貴弘(東京大学医学部大学病院情報センター長教授)
  • 小林廉毅(東京大学医学部公衆衛生 教授)
  • 村上新(東京大学医学部心臓外科 准教授)
  • 本村昇(東京大学医学部心臓外科 講師)
  • 岡田昌史(筑波大学医学部人間総合科学研究科  講師)
  • 月原弘之(東京大学医学部医療品質評価学講座  助教)
  • 宮田裕章(東京大学医学部医療品質評価学講座  助教)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本心臓血管外科手術データベース(Japan Cardiovascular Surgery Database;以下,JCVSD)は,国民の医療の質向上に向け,心臓血管外科手術前の医学的身体状況と行われた手術およびその結果を調査し,これをデータベースとして情報収集し全国的に集計することにより,日本の心臓血管外科学の進歩、ひいては国民全体の福祉健康の増進に寄与することを目的としている
研究方法
米国胸部外科学会データベースとほぼ同等の記入項目をインターネットを介して収集し、中央施設にて統計解析を行う。術前重症度に応じた手術危険率を計算し全国の施設にインターネットを通じて出力する。日本の心臓外科手術成績が術前重症度補正された状態で明らかとなり国民にとっても重要な情報が獲得可能となる。参加施設の拡大を学会を通じて収集データを増大する。また、質の高いデータを集めるためにデータの収集とvalidationを専門とする人員(データマネージャー)を育成し、正確な情報をインターネットを通じて収集・公表する。また、正確なデータ入力がなされているか100%症例入力がなされているかを検証する。
結果と考察
 7133例の単独CABG手術症例を使用。糖尿病が47%、緊急手術は14%、末梢血管病変を伴っていたのが16%あった。30日死亡率は2.0%で、30日病院死亡率は2.7%であった。死亡率を上昇させる代表的な危険因子は、緊急手術(オッズ比3.7)、術前クレアチニン3.0mg/dl以上(オッズ比3.59)であった。
4707例の大動脈手術症例を使用。男性が68%、緊急手術は26%、破裂もしくは臓器血流障害を伴っていたのが10%あった。30日死亡率は6.7%で、手術死亡率は8.6%であった。手術死亡率を上昇させる代表的な危険因子は、緊急手術(オッズ比3.7)、術前クレアチニン3.0mg/dl以上(オッズ比3.0)であった。
結論
 これまでの我々のデータからすると我が国の心臓血管外科手術成績は極めて良好で、欧米に全く引けをとらずむしろより良好であるともいえる。このデータを国内・国際的にも学術的な場面で公表し、日本の心臓外科手術領域の優秀性を広めていきたい。また、我が国の心臓外科手術の優秀性を広く一般国民にも理解していただきたく一般向けにも広報活動を進めていきたい。
 また、これらのデータから、各外科医は国内での自分の位置づけを理解し,医療の質向上に向けた努力を進めていく。臨床医が主体となった自主的な取り組みは,長期的な医療の質向上を考える上は最も重要である.これがひいては国民全体の福祉向上につながる。

公開日・更新日

公開日
2010-04-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-01-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200835082C