医療依存度の高い在宅療養者に対する医療的ケアの実態調査および安全性確保に向けた支援関係職種間の効果的な連携の推進に関する検討

文献情報

文献番号
200835067A
報告書区分
総括
研究課題名
医療依存度の高い在宅療養者に対する医療的ケアの実態調査および安全性確保に向けた支援関係職種間の効果的な連携の推進に関する検討
課題番号
H20-医療・一般-021
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
川村 佐和子(聖隷クリストファー大学大学院 看護学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 小倉 朗子(東京都神経科学総合研究所)
  • 本田 彰子(東京医科歯科大学大学院)
  • 中山 優季(東京都神経科学総合研究所)
  • 佐藤 美穂子(日本訪問看護振興財団)
  • 上野 桂子(全国訪問看護事業協会)
  • 三上 裕司(日本医師会)
  • 小川 忍(日本看護協会)
  • 平林 勝政(國學院大學法科大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、医療処置を有する在宅者の在宅療養の安全性に焦点をあて、在宅療養者の医療処置実施状況とヒヤリハット事象や連携状況に関する調査から、安全な医療処置実施および関係職種間の連携に関する条件を抽出し、それらを、医療処置の実施に関わる安全性確保に向けた連携ツールとして提示することで、支援関係職種間の効果的な連携を推進し、医療依存度の高い在宅者における療養の安全性の向上に資することである。
研究方法
本研究では、以下の3つの調査研究を行った。
A) .在宅療養者の医療処置実施状況と療養環境に関する実態調査
郵送質問紙法による全国調査(介護支援専門員対象)と地区調査(地区医師会員対象)を行った。
B). 医療処置実施中の在宅療養者におけるリスクマネージメントに関する質的検討
痰の吸引、経管栄養、人工肛門の医療処置に関して、訪問介護職と訪問看護職に対する面接調査から抽出した問題事例と院内で生じた在宅でも起こりうる問題事例について、P-mSHELLモデルを用いた分析を行い、予防策を検討した。
C).医療処置の実施に関わる安全性確保に向けたプロトコールの検討
1)既存の文献検討、2)B)における訪問介護職および訪問看護職の面接調査資料に基づく、現在行っている予防策及び関係職種との連携状況の抽出及び分析、3)関係職種連携に関する法律学的検討により、「医療処置の実施に関わる安全性確保に向けた連携プロトコール(素案)」の検討を行った。
結果と考察
全国調査は、回収率11.4%で、1877名(利用者合計のうち医療処置実施者14.7%)の在宅療養者の概況が寄せられた。医療処置は、経管栄養、吸引の順に実施者が多く、訪問看護利用者は、1,276 名(68.0%)、訪問介護の利用者は、972名(51.7%)であった。
痰の吸引、経管栄養、人工肛門に関する計1,066事象のリスク要因分析により、各医療処置の健康問題の危険性及び主要因、健康問題予防策が明かになった。健康問題の回避に看護職の果たす役割が大きいことが示唆された。これを受け、健康問題の発生予防のために必要な環境整備事項や発生時の対応方法、痰の吸引に関する看護職・介護職の連携などを含めたプロトコールの検討を行った。
結論
医療処置の実施に関する実態調査とヒヤリハット事例の分析ならびに、安全な医療処置実施のための関係職種間連携の条件を検討し、安全な医療的ケアの提供法として、「医療処置の実施に関わる安全性確保に向けた連携プロトコール(素案)」を作成した。今後の課題は、素案の精選と運用に向けた基盤整備の検討であり、次年度実施していく。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-