文献情報
文献番号
202118056A
報告書区分
総括
研究課題名
同行援護の担い手となる支援者の養成のための研究
課題番号
21GC2004
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
森 浩一(国立障害者リハビリテーションセンター)
研究分担者(所属機関)
- 中野 泰志(慶應義塾大学 経済学部)
- 前田 晃秀(独立行政法人国立病院機構東京医療センター・臨床研究センター 聴覚・平衡覚研究部)
- 與那嶺 司(神戸女学院大学 文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
9,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
障害者総合支援法の自立支援給付である同行援護は、視覚障害者に対して移動時の援護及び情報支援を行うサービスである。従業者の養成カリキュラムは一般課程(20時間)と応用課程(12時間)に分かれ、資格要件は一般課程の受講のみであるが、サービスの質の確保という点から研修が不十分ではないかとの意見がある。
一方、平成30年度に同行援護に盲ろう者支援加算が新設された。同行援護と盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業は、それぞれ別の研修の受講が要件となっているが、両者には視覚障害者の移動支援という共通点があり、一定の互換性を図ることで研修の効率化が図られるのではないかとの意見もある。
本研究では、先行研究(平成29・30年度障害者総合福祉推進事業)や他の支援制度の分析等をした上で、効果的・効率的、かつ実現可能性が高い養成カリキュラム案を作成するとともに、盲ろう者向け通訳・介助員が同行援護従業者資格を取得するにあたっての免除科目案を設定することを目的とする。
一方、平成30年度に同行援護に盲ろう者支援加算が新設された。同行援護と盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業は、それぞれ別の研修の受講が要件となっているが、両者には視覚障害者の移動支援という共通点があり、一定の互換性を図ることで研修の効率化が図られるのではないかとの意見もある。
本研究では、先行研究(平成29・30年度障害者総合福祉推進事業)や他の支援制度の分析等をした上で、効果的・効率的、かつ実現可能性が高い養成カリキュラム案を作成するとともに、盲ろう者向け通訳・介助員が同行援護従業者資格を取得するにあたっての免除科目案を設定することを目的とする。
研究方法
先行研究と他の援護従業者養成研修の比較調査、全国の同行援護従業者養成研修事業所への調査、日本視覚障害者団体連合と同行援護事業所等連絡会との協議等にて検討し、同行援護従業者養成研修の新カリキュラム案を作成した。これに基づいて、同行援護従業者養成研修の講師らによる試行研修を実施した。参加者は、実施可能性を確認するために同行援護従業者養成研修会を受けたことがない者と、研修内容が同行援護業務を開始するのに必要十分であるか判断ができる同業務の従業者とし、受講後にアンケート調査と講師のインタビューを実施した。講義部分はオンライン研修で50名の参加としたが、演習部分は、新型コロナ感染症まん延防止等重点措置が解除されなかったため、中止となった。盲ろう者向け通訳介助員が同行援護従業者養成研修を受講する時の免除科目案は、文献調査と先行研究や当事者団体(実務者)へのヒアリング等を踏まえて作成した。
結果と考察
6都道府県と9研修事業所に聞き取り調査を実施した。従業者養成研修は、障害の性質(特に障害対応の個別性の大小)により研修に含める範囲が異なり、また、免除科目の設定も業務の共通度に応じて様々な程度(全免除、科目免除、科目内部分免除等)があった。
全国の同行援護従業者養成研修事業所(344か所)に調査票を発送し、220事業所から回答を得た。研修実施状況および免除科目者の受入れ意向等について把握した。過半数の事業者が、応用課程の演習を一般課程に取り込むか、一般・応用合併受講をさせるなどして一般課程の演習を補っている実態が明らかになった。また、同行援護が必要とされることが多い場面等についても調査し、演習内容の策定に参考とした。
作成した新カリキュラム案は、一般課程修了者の能力向上を図るため、現行の応用課程にある演習をすべて一般課程に移して必要な技能習得ができる内容とし、研修時間を現行の20時間から28時間とした(講義1.5日、演習2.5日相当)。応用課程はサービス提供責任者に必要な内容を基本とし、現行の12時間から6時間とした(講義1日相当)。新カリキュラム案による一般課程(講義)の試行研修後のアンケート結果から、未受講者にも実施可能で、受講後のサービスの質の改善も図れることが示唆された。演習の試行はできなかったが、内容的には現在行われている演習がほとんどのため、実施上の問題はない。
盲ろう者向け通訳・介助員が新カリキュラム案の養成研修受講時の免除科目案について、実務担当者等へのヒアリングを実施し、先行研究結果も踏まえ、合計6科目9時間の免除科目案を作成した。
全国の同行援護従業者養成研修事業所(344か所)に調査票を発送し、220事業所から回答を得た。研修実施状況および免除科目者の受入れ意向等について把握した。過半数の事業者が、応用課程の演習を一般課程に取り込むか、一般・応用合併受講をさせるなどして一般課程の演習を補っている実態が明らかになった。また、同行援護が必要とされることが多い場面等についても調査し、演習内容の策定に参考とした。
作成した新カリキュラム案は、一般課程修了者の能力向上を図るため、現行の応用課程にある演習をすべて一般課程に移して必要な技能習得ができる内容とし、研修時間を現行の20時間から28時間とした(講義1.5日、演習2.5日相当)。応用課程はサービス提供責任者に必要な内容を基本とし、現行の12時間から6時間とした(講義1日相当)。新カリキュラム案による一般課程(講義)の試行研修後のアンケート結果から、未受講者にも実施可能で、受講後のサービスの質の改善も図れることが示唆された。演習の試行はできなかったが、内容的には現在行われている演習がほとんどのため、実施上の問題はない。
盲ろう者向け通訳・介助員が新カリキュラム案の養成研修受講時の免除科目案について、実務担当者等へのヒアリングを実施し、先行研究結果も踏まえ、合計6科目9時間の免除科目案を作成した。
結論
同行援護従業者養成研修事業所への実態調査結果等を踏まえ、同行援護従業者養成研修カリキュラムの改正案(一般課程28時間、応用課程6時間)を作成した。新カリキュラムによる同行援護従業者養成試行研修の講義部分のアンケートや講師聞き取り調査等から、新カリキュラムの有用性と実施可能性が裏づけられた。演習部分の試行が新型コロナウイルス感染症のまん延により実施できなかったが、ほとんどは現行の一般と応用研修で実施されている内容のため、一般課程としての実施に問題は起きないと思われる。本研究で提案する新カリキュラムは、同行援護従業者養成研修カリキュラム改正の基礎資料となることが期待され、採用されれば、利用者のニーズを踏まえた研修の実施と、サービスの質の向上が期待される。また、新カリキュラム案は応用課程を同行援護サービス提供責任者向けの内容に特化・充実させることで、サービス提供の管理・監督の質の向上が期待される。
盲ろう者向け通訳・介助員が同行援護従業者養成研修受講時の新カリキュラム案における免除科目案(免除科目6科目9時間)についても作成した。免除科目設定の基礎資料となることが期待される。
盲ろう者向け通訳・介助員が同行援護従業者養成研修受講時の新カリキュラム案における免除科目案(免除科目6科目9時間)についても作成した。免除科目設定の基礎資料となることが期待される。
公開日・更新日
公開日
2022-09-02
更新日
-