摂食障害に対する標準的な治療方法 心理的アプローチと身体的アプローチ とその研修方法の開発及び普及に資する研究

文献情報

文献番号
202118044A
報告書区分
総括
研究課題名
摂食障害に対する標準的な治療方法 心理的アプローチと身体的アプローチ とその研修方法の開発及び普及に資する研究
課題番号
21GC1013
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
中里 道子(学校法人国際医療福祉大学 医学部精神科)
研究分担者(所属機関)
  • 吉内 一浩(東京大学 医学部附属病院)
  • 河合 啓介(国立研究開発法人国立国際医療研究センター国府台病院心療内科)
  • 作田 亮一(獨協医科大学医学部 越谷病院 子どものこころ診療センター)
  • 竹林 淳和(浜松医科大学 医学部)
  • 安藤 哲也(学校法人国際医療福祉大学心療内科)
  • 小松 英樹(千葉大学医学部附属病院)
  • 原田 朋子(大阪公立大学 医学部)
  • 川崎 洋平(日本赤十字看護大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
11,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、ANに対する標準的治療法である、強化型認知行動療法(CBT-E)、モーズレイ神経性やせ症治療(MANTRA)のランダム化研究を実施し、有効性を実証する。
ANに対する身体治療マニュアルを開発し、多施設前向き研究で治療効果と安全性を検証する。
小児期EDに対する質の担保された治療マニュアルを作成し、効果検証する。これらの治療マニュアルを用いて全国で多職種研修会を実施し、研修効果のアウトカム評価を行う。
研究方法
(1)MANTRAランダム化研究
ANを対象に、MANTRAを用いたランダム化比較試験(RCT)を実施する。
対象患者は、16歳以上65歳以下のAN患者, BMI,14kg/m2以上、目標症例数は、1群31名、2群で62名と設定した。介入群は、MANTRAを週1回、30週間で実施し、心理療法の質の担保のために治療者スーパービジョンを行う。対照群は、通常の治療群(TAU)(心理教育、栄養療法等)。令和5年度にアウトカム評価を行う。主要評価項目は、治療開始から30週後のBMI(kg/m2)変化量、副次評価項目として、ED症状評価尺度の変化等とする。
(2)神経性やせ症に対する強化された認知行動療法(CBT-E)ランダム化研究
ANを対象に、CBT-Eを用いたRCTを多施設共同研究で実施する。令和3年度に研究プロトコル作成、認知行動療法の基盤に沿ったCBT-E治療マニュアルを作成し、多施設の倫理申請、治療者養成研修を実施し、ランダム化比較試験を行う。介入群は、CBT-Eを、BMIの重症度に従って25セッションから40セッションで実施し、対照群は、通常の治療(TAU)を行う。主要評価項目は、治療開始から40週目のBMI(kg/m2)変化量,治療開始後20回(週)の時点で中間評価を行う。副次評価項目として、ED症状評価尺度の変化等とした。
 研究対象者数は、有意水準をα=0.05、検出力を0.8と設定して、脱落率を考慮し、56例(CBT-E群 28例、 TAU群28例)を予定している。
(3)ANの身体治療マニュアルの有用性に関する検討
令和3年度に、全国の医学部附属病院等を対象に、治療マニュアルの活用状況の現状調査を実施する。令和4年度は、ED身体治療マニュアルを作成し、本マニュアルを使用してAN患者を対象とした多施設前向き研究を行い、有効性および安全性を検証する。令和5年度はデータ解析を基にマニュアルの修正を行い、全国の医療機関で使用できるマニュアルを作成する。
(4)小児摂食障害の治療と対応マニュアルの作成および検証
令和4年度に、国内外の小児期ED治療ガイドラインをもとに、Delphi法に基づきWGで吟味し、小児初期治療マニュアル、Family Based Therapy(FBT)に基づく家族対応マニュアルを作成し、全国の小児科、児童精神科医の協力を得て、外来診療におけるマニュアルの効果検証を行う。最終年度に、マニュアルを用いた多職種研修会を開催する。
(5)摂食障害の標準的治療の研修システム構築研究
ANに対するCBT-Eの国内で実施可能な標準的治療マニュアル、MANTRA治療マニュアル、小児摂食障害の治療対応マニュアル、身体治療マニュアルを提言する。上記4研究課題に関して研修会を全国で開催し、アンケート調査を用いたアウトカムを評価する。
結果と考察
1.モーズレイ神経性やせ症治療(MANTRA)ランダム化研究
令和3年度に、研究プロトコル作成し、倫理審査委員会承認、臨床研究実施計画・研究概要公開システム(JRCT)臨床試験登録後、リクルートを開始し、組み入れ件数7例,
有害事象はなく進捗中である。
2.ANに対するCBT-Eランダム化研究
ANに対するCBT-Eランダム化研究認知行動療法の理論的根拠に関する吟味、評価を経てANに対するCBT-Eマニュアルを作成し、研究のプロトコルを作成した。
3.ANの身体治療マニュアルの有用性に関する検討
令和3年度は、国内の医学部附属病院139施設を対象に、神経性やせ症の入院治療に関するマテリアルの使用状況についてアンケート調査を行った。
回答を得た31施設(回答率22.3%)のうち精神科の病床がある24施設を集計の対象とした。身体治療については15施設(62.5%)でマニュアル・クリニカルパスが使用されていた。
4.小児摂食障害の治療と対応マニュアルの作成および検証
小児期ED治療マニュアル作成WG、FBTマニュアル作成WG、教育と医療の連携マニュアル作成WGの研究組織を13名の専門家から構成し、小児ED治療の文献、ガイドラインをレビューし、マニュアル作成の手順、検証方法を吟味した。
結論
本研究は、わが国の摂食障害患者に対する標準的治療のエビデンスを実証し、治療の質の均てん化と普及、多職種治療者の対応力の向上、摂食障害患者の健康向上に寄与する。

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し
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公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202118044Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,950,000円
(2)補助金確定額
14,948,223円
差引額 [(1)-(2)]
1,777円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,351,629円
人件費・謝金 4,655,019円
旅費 66,460円
その他 2,425,115円
間接経費 3,450,000円
合計 14,948,223円

備考

備考
コロナの影響により、小児摂食障害治療ワーキンググループ会議が全てオンライン会議となり、旅費が不要となったため、差額が発生した。

公開日・更新日

公開日
2024-03-26
更新日
-