医療の発展と患者の保護をめぐる倫理・法の現代的課題に関する研究

文献情報

文献番号
200835048A
報告書区分
総括
研究課題名
医療の発展と患者の保護をめぐる倫理・法の現代的課題に関する研究
課題番号
H20-医療・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
岩田 太(上智大学 法学部国際関係法学科)
研究分担者(所属機関)
  • 樋口 範雄(東京大学 大学院法学政治学研究科)
  • 佐藤 恵子(京都大学 大学院医学研究科)
  • 我妻 学(首都大学東京 法科大学院)
  • 木戸 浩一郎(帝京大学 医学部産婦人科学教室)
  • 児玉 安司(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 山口 斉昭(日本大学 法学部)
  • 佐藤 雄一郎(神戸学院大学 法学部)
  • 藤澤 由和(静岡県立大学 経営情報学部公共政策系)
  • 畑中 綾子(東京大学 大学院公共政策連携研究部)
  • 土屋 裕子(東京大学 大学院法学政治学研究科)
  • 秋元 奈穂子(ビンガム・マカッチェン・ムラセ外国法事務弁護士事務所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究においては,医療技術が急速に発展する中,患者の保護をめぐって新たな状況が起こっているとの認識から,医療専門家に求められる倫理とそれに対応する法の役割の批判的検討を行い,将来の患者保護法制のあるべき姿を考察する.
研究方法
 そこで,本研究においては,①国内外の医療倫理と法を巡る議論に関する現代の理論状況の包括的調査(1年度),②国内外の専門家との連携の強化および実態調査(海外調査・研究会(1-2年度),国際ワークショップ(2年度)の開催),③現代日本における医療倫理を巡る医療者および国民・患者の意識についての実証研究の可能性を探る(2年度目)という,3つの柱をたて,医療を巡る倫理・患者保護について理論的・歴史的な研究,および,意識調査の可能性探求により,法の適正な介入のあり方を批判的に再検討しつつ,近い将来わが国においても要請される患者の人権保護法制構築に寄与する基礎資料の充実を目指す.
結果と考察
そこで本年度は,合衆国における医療と法分野の権威であるジョージ・アナスなどの議論を題材としつつ,研究班メンバーおよび協力者が患者の権利をめぐる諸論点について独自の視点から分析を行う研究会を月1回のペース(総計10回)開催した.研究会では,患者の権利をめぐる様々な論点について,基本的な視点の確認やその他の諸論点について活発な議論が行われ,次年度以降の検討のため,研究班全体および各メンバーがさらに探求する論点の絞込みなどが行われた.次年度以降にさらに探求すべき論点としては,例えば,医療をめぐる従来の法のあり方の批判的検討,医療事故被害に対する救済のあり方に関する検討,脳死の再検討や小児医療をめぐる治療拒否の問題の検討など死をめぐる論点の再検討,さらに,患者の権利をめぐる歴史的検討として過去に患者の権利の疎外事例の検討などである.
結論
次年度においては,本年度の議論の深化を目指す.具体的には,引き続き定例の研究会を開催し,諸外国およびわが国における患者の権利,医療と法をめぐる議論を行うと同時に,これまで研究班メンバーが築いてきた海外の研究者とのネットワークの維持活用を重視し,諸外国の専門家との連携を深める.また,可能であれば研究成果の検証を含め可能な限り海外の研究者を招聘しWorkshop開催の可能性を探りたい.さらに,医療倫理をめぐる医療者および国民や患者の意識を探る調査についても,より具体化し,意識調査モデルを構築することを目指す.

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
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