持続可能で良質かつ適切な精神医療とモニタリング体制の確保に関する研究

文献情報

文献番号
202118031A
報告書区分
総括
研究課題名
持続可能で良質かつ適切な精神医療とモニタリング体制の確保に関する研究
課題番号
20GC2003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
竹島 正(大正大学 地域構想研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 立森 久照(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神保健計画研究部)
  • 杉山 直也(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部)
  • 福田 正人(国立大学法人 群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 高瀬 顕功(大正大学 社会共生学部)
  • 吉田 光爾(東洋大学 ライフデザイン学部生活支援学科生活支援学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
35,075,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、良質かつ適切な精神医療の持続的な確保のための要件を明らかにすることを目的とする。また、その促進を図るモニタリングの体制と、医療計画における指標および基準病床算定式を提案することを目的とする。
研究方法
①現行算定式の変更の要否を検討のうえ次期算定式案をまとめた。
②精神保健医療福祉のモニタリングの改善について検討した。
③各都道府県の精神保健福祉主管課にアンケート調査を実施し、指標例案をまとめた。
④精神医療の提供のモニタリングを目的とした全国調査(630調査)を実施した。またその長期データを分析した。
⑤研究会議等による討論、看護職員を対象とした実態調査、精神保健福祉資料を活用したモニタリング体制の構築、都道府県単位の行政主導による普及モデルの確立、エキスパートオピニオンによるさらなる最小化手段の探索を実施し、追加的に普及活動の実践を試みた。
⑥精神疾患のための重症度指標の手引き案の検討、フィージビリティスタディの実施、結果の解析を行った。
⑦レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を活用して、精神医療の提供に関する既存のモニタリング指標の算出を行った。
⑧精神医療保健アンメットニーズの中高年における背景要因を探索した。
⑨地域精神保健医療福祉資源分析データベース(ReHMRAD)を発展させ、より洗練された形での「見える」化システムの開発を進めた。
➉日本病院会の会員病院の管理者に対するアンケート調査、かかりつけ医に半構造化面接を行い、内容を質的に分析した。
結果と考察
①現行算定式の変更の要否を検討のうえ次期算定式案をまとめた。次期算定式は、現行算定式の構成を引き継ぎつつ、問題点を解消する必要があると考えられた。2014年、2017年の患者調査の特別集計(都道府県ごと、1歳階級)を用いて2029年の推計入院患者数23.9万人を算出した。政策的な変化量をm(認知症以外)とd(認知症)で表す次期算定式案をまとめ、m値とd値の最小値を示した。
②精神保健医療福祉のモニタリングと可視化について、令和3年度630調査の調査過程、ReMHRADによるモニタリングの改善意見をまとめた。
③都道府県精神保健福祉主管課へのアンケート調査をもとに「予防・相談支援」、「医療(全般、合併症・リエゾン診療・精神科と一般科の連携、拠点機能・専門医療、精神科救急、難治性精神疾患への対応)」、「地域支援」によって構成されるストラクチャー、プロセス指標例案をまとめた。またアウトカム指標案をまとめた。
④令和3年度630調査について、外来機能やリエゾン機能など、調査項目の調整を行った。調査データでは、在院患者数はほぼ一貫して減少していた。特に在院患者数が多い認知症等(F0)と統合失調症等(F2)の患者数別にみると,F0とF2はちょうど真逆の動態を示していた。
⑤行動制限最小化活動を推進するため、都道府県単位の行政主導による普及モデル「確立した行動制限最小化方策による政策パッケージ(案)」を策定した。
⑥エキスパートオピニオンにもとづく改訂を経た精神科医療ニーズ(P-M)22 項目と精神科心理社会支援ニーズ(P-S)12 項目とその評価の手引き案を作成した。フィージビリティスタディの結果から、幅広い特性の患者や病状や人員配置について評価が可能で、重症度についてGAF 得点とは別の側面を評価できることが示された。
⑦NDB分析の結果、アウトカム指標について単月のデータを用いることは、偶然誤差の影響が大きいことが示された。診療行為/医薬品情報に基づく指標として、「入院・外来における治療抵抗性統合失調症治療薬」など38指標の結果を公表した。傷病名情報に基づく指標として、「統合失調症」など11指標の結果を公表した。
⑧中高年における精神医療保健アンメットニーズの背景要因として、個人要因(対象者個人、家族)、システム要因(身体医療関連要因、精神医療関連要因、社会福祉関連要因、システム間の連携)が見いだされた。
⑨地域精神保健医療福祉資源分析データベース(ReHMRAD)について、情報のアップデート、新機能の追加(グレースケール印刷機能の搭載、政令指定都市の集計に関する追加機能の実装)を行った。
➉調査の結果、一般病院における精神科医のニーズは高いことが明らかになった。精神科医療との連携に期待することとしては、迅速・確実な精神科医療、)かかりつけ医と精神科医療との連携の強化、併診システムの推進が挙げられた。
結論
良質かつ適切な精神医療の持続的な確保のために、行動制限最小化方策である政策パッケージ(案)をまとめた。また精神科入院患者の重症度の評価研究を進め、精神医療と一般医療の連携強化の必要性を明らかにした。また、精神医療のモニタリングの改善を行なうとともに、次期医療計画における基準病床数算定式案と指標例案を提案した。

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202118031B
報告書区分
総合
研究課題名
持続可能で良質かつ適切な精神医療とモニタリング体制の確保に関する研究
課題番号
20GC2003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
竹島 正(大正大学 地域構想研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 立森 久照(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神保健計画研究部)
  • 北村 立(石川県立高松病院)
  • 杉山 直也(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 地域・司法精神医療研究部)
  • 福田 正人(国立大学法人 群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 高瀬 顕功(大正大学 社会共生学部)
  • 吉田 光爾(東洋大学 ライフデザイン学部生活支援学科生活支援学専攻)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
良質かつ適切な精神医療の持続的な確保のための要件を明らかにし、またその促進を図るモニタリング体制と医療計画における基準病床数算定式案と指標例案を提案することを目指す。
研究方法
①第7次医療計画の精神病床の基準病床数算定式(現行算定式)の変更の要否を検討のうえ第8次医療計画の精神病床の基準病床数算定式案(次期算定式案)をまとめた。また第6 期障害福祉計画で定める長期入院患者数及び基盤整備量の目標値を計算するワークシートを開発した。さらに精神保健医療福祉のモニタリングの改善について検討した。②精神疾患以外の4疾患の指標例の構成、先行研究の成果、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会」の検討等を踏まえ、都道府県精神保健福祉主管課にアンケート調査を実施して指標例案をまとめた。③精神医療の提供のモニタリングを目的とした全国調査(以下、630調査)を改訂・実施した。またその長期データを分析した。④一般病院の管理者及びかかりつけ医の精神科医療への期待等を明らかにするため日本病院会会員病院の管理者へのアンケート調査、かかりつけ医への半構造化面接を行った。⑤行動制限最小化活動を推進するため、研究会議等による討論、看護職員を対象とした実態調査、精神保健福祉資料を活用したモニタリング体制の構築、都道府県単位の行政主導による普及モデルの確立、エキスパートオピニオンによるさらなる最小化手段の探索を実施し、追加的に普及活動の実践を試みた。⑥精神疾患の重症度指標の手引き案の検討、フィージビリティスタディの実施、結果の解析を行った。⑦NDBを活用して、精神医療の提供に関するモニタリング指標の算出を行った。⑧精神保健医療のアンメットニーズと中高年における背景要因を検討した。⑨地域精神保健医療福祉資源分析データベース(ReMHRAD)を発展させ、より洗練された形での「見える」化システムの開発を進めた。
結果と考察
①次期算定式は、現行算定式の構成を引き継ぎつつ、問題点を解消する必要がある。2014年、2017年の患者調査の特別集計を用いて2029年の推計入院患者数23.9万人を算出した。政策的な変化量をm(認知症以外)とd(認知症)で表す次期算定式案をまとめ、m値とd値の最小値を示した。平成29 年度に開発された1.2 版を改修する形でワークシートを完成させた。令和3年度630調査の調査過程、ReMHRADの改善意見をまとめた。②アンケート調査をもとに「予防・相談支援」「医療」「地域支援」によって構成されるストラクチャー、プロセス指標例案をまとめた。またアウトカム指標例案をまとめた。③令和3年度630調査において調査項目の調整を行った。630調査の長期データでは、在院患者数はほぼ一貫して減少していること、認知症等(F0)と統合失調症等(F2)の患者数はちょうど真逆の動態を示していることを明らかにした。④一般病院における精神科医のニーズは高く、迅速・確実な精神科医療、かかりつけ医と精神科医療との連携の強化、併診システムの推進が挙げられた。⑤行動制限の実施は精神医療従事者に心的負担であること、わが国の行動制限課題の実態は最小化活動の不足に集約されることが判明し、その要因として人員不足、教育不足、知識不足があり、物理的・環境的な阻害要因を認めた。わが国特有の特徴に相応した対策として、モニタリングという科学的手法を援用し、検証された実効的な最小化活動を推進し、それが可能となるように環境を整えることが合理であることから、都道府県単位の行政主導による普及モデル「行動制限最小化方策による政策パッケージ(案)」を策定した。⑥エキスパートオピニオンにもとづく改訂を経た精神科医療ニーズ(P-M)22 項目と精神科心理社会支援ニーズ(P-S)12 項目とその評価の手引き案を作成した。フィージビリティスタディから、幅広い特性の患者について評価が可能で、重症度についてGAF 得点とは別の側面を評価できることが示された。⑦アウトカム指標に単月のデータを用いることは偶然誤差の影響が大きいことが示された。診療行為/医薬品情報に基づく指標として38指標の結果を公表した。傷病名情報に基づく指標として11指標のを公表した。⑧アンメットニーズの背景要因として、個人要因(対象者、家族)、システム要因(身体医療関連、精神医療関連、社会福祉関連、システム間の連携)が見いだされた。⑨ReHMRADのバージョンアップと情報の更新、新機能の追加を行った。
結論
良質かつ適切な精神医療の持続的な確保の要件として、行動制限最小化の政策パッケージ(案)をまとめ、精神科入院患者の重症度の評価研究を進めた。さらに精神医療と一般医療の連携強化の必要性を明らかにした。精神医療のモニタリングの改善を行い、次期算定式案と指標例案をまとめた。

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202118031C

成果

専門的・学術的観点からの成果
精神疾患のための重症度指標の手引き案の検討、フィージビリティスタディの実施、結果の解析を行い、精神科医療ニーズ(P-M)22 項目と精神科心理社会支援ニーズ(P-S)12 項目とその評価の手引き案を作成した。
臨床的観点からの成果
精神疾患があると思われるが高齢者のケースについての支援者インタビュー調査をもとに、アンメットニーズの背景要因を個人要因とシステム要因に分けて分析した。そして個人要因として(1)対象者の要因(援助希求の困難、妄想性障害)、(2)家族の要因(家族内の不和、家族が関わりを拒否する、家族の援助記入の困難、家族内の複数の事例の集積)を見出した。またシステム要因として、(1)身体医療関連要因、(2)精神医療関連要因、(3)社会福祉関連要因、(4)システム間の連携の不在を見出した。
ガイドライン等の開発
動制限最小化活動を推進するため、研究会議等による討論、看護職員を対象とした実態調査、精神保健福祉資料を活用したモニタリング体制の構築、都道府県単位の行政主導による普及モデルの確立、エキスパートオピニオンによるさらなる最小化手段の探索を実施し、わが国に相応した合理的な対策として、都道府県単位の行政主導による普及モデル「行動制限最小化方策による政策パッケージ(案)」を策定した。
その他行政的観点からの成果
第8次医療計画における基準病床算定式案と指標例案をまとめた。ストラクチャー、プロセス指標例案は、都道府県精神保健福祉主管課へのアンケート調査をもとに「予防・相談支援」、「医療」、「地域支援」によって構成される。アウトカム指標案は、時点退院率、地域平均生活日数、新入院患者の平均在院日数、「1年以上5年未満入院患者数」に対する5年以降入院患者数の比、自殺死亡率によって構成される。
その他のインパクト
630調査、NDB特別抽出等の基幹的調査を行い、精神保健福祉資料、NDB分析、ReMHRADを更新し、現状で最適の精神医療のモニタリングを構築した。レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を活用して、精神医療の提供に関する既存のモニタリング指標の算出を行った。また令和3年度630調査の実施過程やReMHRAD更新の評価を行い、今後のモニタリングと精神医療可視化の充実の示唆を得た。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-05-24
更新日
-

収支報告書

文献番号
202118031Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
36,979,000円
(2)補助金確定額
36,979,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 99,824円
人件費・謝金 2,751,105円
旅費 165,055円
その他 28,059,016円
間接経費 5,904,000円
合計 36,979,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-03-26
更新日
-