総合診療外来におけるドクターショッピング終息効果の検討

文献情報

文献番号
200835046A
報告書区分
総括
研究課題名
総合診療外来におけるドクターショッピング終息効果の検討
課題番号
H19-医療・若手-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大平 善之(千葉大学 大学院医学研究院先端応用医学研究部門先端応用医学講座臨床診断学)
研究分担者(所属機関)
  • 生坂 政臣(千葉大学 医学部附属病院総合診療部)
  • 馬杉 綾子(千葉大学 大学院医学研究院循環型地域医療連携システム学講座)
  • 高田 俊彦(千葉大学 医学部附属病院総合診療部)
  • 野田 和敬(千葉大学 医学部附属病院総合医療教育研修センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
1,773,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、千葉大学医学部附属病院総合診療部(以下、当部)外来受診後のドクターショッピング患者の受療行動を調査することにより、総合診療外来のドクターショッピング終息効果を明らかにすることである。
研究方法
 2008年7月から2009年9月までの期間、当部外来を紹介状なしで受診した初診患者で、かつ、本研究に同意を得られた者を対象とした。先行研究より、ドクターショッピング患者を「同一の主訴で、大学病院受診以前に2名以上の医師を受診していた患者」と定義し、初診時に行ったアンケート調査より、ドクターショッピング(以下、DS)患者およびハイリスク(以下、HR)患者を抽出した。次に、当部受診後3ヶ月後の受療行動について、郵送法による追跡調査を行った。
結果と考察
 DS患者は136名で、当部外来の紹介なし初診患者における割合は19.9%であった。追跡調査では87名より返信があった。このうち、当部受診後にドクターショッピングを続けていたのは20.7%であり、当部受診後には統計学的に有意にドクターショッピングは終息していた(P<0.001)。ドクターショッピング終息群では、受診後に症状が「良くなった」の割合が有意に高かった(P<0.05)。また、同群では、当部の診療に「満足」「大変満足」と回答した者の割合が高い傾向があった。
 HR患者は、299名で、当部外来の紹介なし初診患者における割合は43.8%であった。追跡調査では、177名より返信があった。このうち、当部受診後に、新たな医療機関に受診していたのは12.4%であり、当部受診後には、ドクターショッピングハイリスク群のドクターショッピング患者への移行が有意に阻止されていた(P<0.001)。また、当部診療への満足度では、新たな医療機関を受診している群以外の群で大変満足・満足の割合が有意に高かった(P<0.05)。
結論
 総合診療外来では、心理社会的問題を含めた臓器横断的なアプローチによる高い診断能力とそれに基づく十分な患者説明により、ドクターショッピングの終息およびドクターショッピングハイリスク群のドクターショッピング患者への移行阻止が可能であることが示唆された。また、これにより、ドクターショッピング患者に行われる不必要な診察・検査の費用の削減が可能になると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200835046B
報告書区分
総合
研究課題名
総合診療外来におけるドクターショッピング終息効果の検討
課題番号
H19-医療・若手-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大平 善之(千葉大学 大学院医学研究院先端応用医学研究部門先端応用医学講座臨床診断学)
研究分担者(所属機関)
  • 生坂 政臣(千葉大学 医学部附属病院総合診療部)
  • 馬杉 綾子(千葉大学 大学院医学研究院循環型地域医療連携システム学講座)
  • 高田 俊彦(千葉大学 医学部附属病院総合診療部)
  • 野田和敬(千葉大学 医学部附属病院総合医療教育研修センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、千葉大学医学部附属病院総合診療部(以下、当部)外来受診後のドクターショッピング患者の受療行動を調査することにより、総合診療外来のドクターショッピング終息効果を明らかにすることである。
研究方法
 2008年7月から2009年9月までの期間、当部外来を紹介状なしで受診した初診患者で、かつ、本研究に同意を得られた者を対象とした。先行研究より、ドクターショッピング患者を「同一の主訴で、大学病院受診以前に2名以上の医師を受診していた患者」と定義し、初診時に行ったアンケート調査より、ドクターショッピング(以下、DS)患者およびハイリスク(以下、HR)患者を抽出した。次に、当部受診後3ヶ月後の受療行動について、郵送法による追跡調査を行った。
結果と考察
 DS患者は203名で、当部外来の紹介なし初診患者における割合は21.0%であった。最終診断の内訳は、生物学的診断が68.5%)、心理社会的診断が31.5%であった。追跡調査では、138名より返信があった。このうち、当部受診後にドクターショッピングを続けていたのは18.1%であり、当部受診後には統計学的に有意にドクターショッピングは終息していた(P<0.001)。DS終息群では、受診後に症状が「良くなった」の割合が有意に高かった(P<0.05)。また、同群では、当部の診療に「満足」「大変満足」と回答した者の割合が有意に高かった(P<0.001)。転帰は、「前医・以前からのかかりつけ医へ逆紹介」が同群で有意に割合が高かった(P<0.05)。
 HR患者は445名で、当部外来の紹介なし初診患者における割合は46.1%であった。最終診断の内訳は、生物学的診断86.3%が心理社会的診断13.7%を大きく上回っていた。追跡調査では、271名より有効な回答が得られた。このうち、当部受診後に、新たな医療機関に受診していたのは11.4%であり、当部受診後には、HR患者のドクターショッピング患者への移行が有意に阻止されていた(P<0.001)。また、当部診療への満足度では、新たな医療機関を受診している群以外の群で大変満足・満足の割合が有意に高かった(P<0.05)。
結論
 総合診療外来では、心理社会的問題を含めた臓器横断的なアプローチによる高い診断能力とそれに基づく十分な患者説明により、ドクターショッピングの終息およびドクターショッピングハイリスク群のドクターショッピング患者への移行阻止が可能であることが示唆された。また、これにより、ドクターショッピング患者に行われる不必要な診察・検査の費用の削減が可能になると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200835046C