認知行動療法の技法を用いた効率的な精神療法の施行と普及および体制構築に向けた研究

文献情報

文献番号
202118021A
報告書区分
総括
研究課題名
認知行動療法の技法を用いた効率的な精神療法の施行と普及および体制構築に向けた研究
課題番号
20GC1016
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
久我 弘典(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センター)
研究分担者(所属機関)
  • 内富 庸介(国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院 支持療法開発部門)
  • 大杉 泰弘(藤田医科大学 連携地域医療学)
  • 岡田 佳詠(国際医療福祉大学成田看護学部)
  • 片岡 弥恵子(聖路加国際大学大学院 看護学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
9,970,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国において認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy; CBT)の有用性が認識され、その有効性を示す結果も一部報告されている。また、厚生労働省認知行動療法研修事業によって、CBTを実施できる専門家が全国規模で育成されてきた。しかしながら、うつ病や不安症の患者数は膨大であり、また、精神科以外の様々な診療科や、地域保健・福祉・産業・教育等の領域でもそのニーズが認められるが、CBTおよびCBTの考え方を用いた支援方法が十分に提供されているとはいい難い。この供給不足の要因の1つとして、わが国で整備されてきたマニュアルでは長時間(一回50-90分)かつ長期間(通常10から16回)の個人療法が求められ、実施負担が大きいという問題点があった。そこで、CBTの技法を用いた精神療法を効率よく提供するための効率型認知行動療法(Streamlined-Cognitive Behavioral Therapy; SCBT)に関して、R3年度は、1.うつ病のSCBTマニュアルおよびマテリアルの作成、2.Webサイトの作成、3.臨床試験によるSCBTのフィージビリティの検証、4.SCBTを用いたセラピスト研修を行うことを目的とした。
研究方法
Ⅰ. 全体の方針デザイン
 本研究は3年計画である。R3年度は、R2年度の社交不安障害、パニック障害のマニュアル作成の成果について班会議で議論した上で、追加してうつ病のマニュアル・マテリアルを作成することとする。また、成果物を公開するWebサイト認知行動療法マップを作成し、SCBTの有効性および実施可能性に関わるパイロットスタディを開始し、R4年度はパイロットスタディを継続する予定である。
II. マニュアル作成
 厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業 「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」における、うつ病の認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアル(以下、「厚労省うつ病マニュアル」とする。)に準じるかたちでうつ病のSCBTマニュアル・マテリアルを作成した。
多職種、および実装科学の専門家らがそれぞれの立場から、臨床現場での適用法を検討し、マニュアル・マテリアルついて意見を述べた。
III. Webサイトの作成
SCBTのためのマニュアルおよび資料・動画などのマテリアルを作成し、素材のプラットホームとなるWebサイト「認知行動療法マップ」を作成した。
Ⅳ. 臨床試験によるSCBTのフィージビリティの検証
国立精神・神経医療研究センター倫理委員会の一括審査にて承認を得て(2021年11月10日、承認番号:B2021-080)、臨床試験を開始し、臨床試験は、国立精神・神経医療研究センターと慶應義塾大学付属病院、桜ヶ丘記念病院、藤田医科大学で実施する。
結果と考察
うつ病のSCBTマニュアルおよびマテリアルの作成 
 前年度の社交不安障害とパニック障害のSCBTマニュアルおよびマテリアル、ヒアリング調査より得られた知見から、本年度はうつ病に対するSCBTの開発を進め、厚生労働科学研究費補助金こころの健康科学研究事業 「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」における、うつ病の認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアルに準じるかたちで1回15分程度の面接を12~16回行ううつ病のSCBTマニュアル・マテリアルを作成した。

Webサイトの作成 
 本研究で作成したマニュアルおよび患者用資料やワークシート、動画などのマテリアルといった素材を掲載するためのプラットホームとなるWebサイト「認知行動療法マップ」を作成し、患者や治療者にとって分かりやすく利用しやすいサイトになるよう、認知行動療法を発展させた第一人者が創設したBeck Institute のWebサイト等を参考に工夫している。

臨床試験の開始
 国立精神・神経医療研究センター倫理委員会の一括審査にて承認を得て(2021年11月10日、承認番号:B2021-080)、臨床試験を開始した。

結論
SCBTマニュアルとマテリアル、Webサイトを作成した。実装科学の観点から、プライマリケアや周産期といった領域、職種においては、医師、看護師、公認心理師等に対してヒアリングを行い、各フィールドにおいて、より使用しやすいマニュアル・マテリアルに改善した。次年度は、エキスパート・オピニオンを得てさらに改善を加える予定である。

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202118021Z