質効率向上と職業間連携を目指した病棟マネジメントの研究

文献情報

文献番号
200835030A
報告書区分
総括
研究課題名
質効率向上と職業間連携を目指した病棟マネジメントの研究
課題番号
H19-医療・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 敏彦(日本医科大学 医療管理学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 昌範(東京医科大学 医療情報学講座医療情報学・内科)
  • 加藤 尚子(国際医療福祉大学 医療管理学/医療人類学)
  • 中山 茂樹(千葉大学 工学部デザイン工学科)
  • 平尾 智広(香川大学医学部 医療政策・公衆衛生)
  • 嶋森 好子(京都大学医学部附属病院・看護部)
  • 坂本 すが(東京医療保健大学・医療保健学部看護学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本の急性期病院では、この約10年で経営環境が激変、病棟の業務負担が極めて増大し、若年医師の離職すなわち「立ち去り型サボタージュ」及び看護師のバーンアウトの増加など崩壊の危機に瀕している。本研究は実証的、定量的な職員の「活動の分析」、医師、看護師の教育と合わせた「労働組織」、職種間「コミュニケーション」、「病棟設計」の四分野から病棟マネジメントの分析を行い、より安全で効率のよい病棟経営の提言を試みた。
研究方法
公的、歴史的統計の収集と分析、病院医師並びに施設への自記式アンケート、院内IT情報の収集と分析などの定量的分析手法に加えて、インタビュー、ケーススタディ、フォーカスグループ等の質的研究を組み合わせて、病院経営の転換の実情を把握分析した。また分析に際して関連領域における論文、成書のレビューを行った。
結果と考察
「病院機能編成の歴史的分析」、「医療情報システムのデータ分析による病棟業務の可視化に関する研究」、「急性期病院における看護マネジメントの研究」、「医師業務調査」、「医師の業務改善に関する参加型研修手法の開発」、「職種間、及び医療者と患者の法律的側面におけるコミュニケーションの研究」、「病院における5S研究」から、以下のような結果を得た。
現在の病院経営の破綻、いわゆる病院崩壊は現象論的には医師数の不足がきっかけと捉えられている。しかし、政策や経営の効率化の影響で平均在院日数が短縮し、職員全体に大きな負荷がかかり、それが定性的にも病院や組織全体に変革をもたらしていることが判明した。結果として、かつて病棟を単位とし、患者の病態や職種間の機能が比較的未分化な病棟から、効率向上のために機能が特化した各部門に転換しつつあり、その転換に失敗した病院が破綻している可能性が示唆された。
結論
今後は未分化であった病棟機能がどのように分化し、院内の各部門もしくは院外の他施設で担われていくのか、入院から退院まで患者中心に診療プロセスを分析、新しい病院の組織と機能を再構築する必要があると考えられる。更に「職種間コミュニケーション」「法的支援」「ITによるサポート」「新たな建築空間」を、新しい病院のあり方に対応して捉え直す必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
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