ギャンブル等依存症の治療・家族支援に関する研究

文献情報

文献番号
202118006A
報告書区分
総括
研究課題名
ギャンブル等依存症の治療・家族支援に関する研究
課題番号
19GC1016
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
松下 幸生(独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 白川 教人(横浜市こころの健康相談センター)
  • 森田 展彰(国立大学法人筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 神村 栄一(新潟大学 人文社会科学系)
  • 宮田 久嗣(東京慈恵会医科大学 精神医学講座)
  • 宋 龍平(岡山県精神科医療センター 臨床研究部)
  • 佐久間 寛之(独立行政法人国立病院機構さいがた医療センター 精神科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
12,758,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)専門外来を受診するギャンブル障害(GD)の治療効果や予測因子を検討する、2)精神保健福祉センター職員を対象とした研修効果を検証し支援状況を調査する、3)自助グループや民間支援団体への支援のための課題抽出を行う、4)PNFの効果の検証を行う、5)GDの精神科併存疾患の実態を調査し、治療への影響を検討する、6)スマートフォンを利用した簡易介入プログラムの効果を検証する、7)治療プログラムの研修会を実施して普及を図る。8)連携マニュアルを作成する。
研究方法
1)対象者登録および追跡調査を開始した。効果判定にはギャンブル行動、治療の継続等を用いる。
2)SAT-Gプログラムの研修を実施し、アンケートや評価尺度により効果を検証した。また、全国の精神保健福祉センターに、相談件数、指定相談機関の選定、治療プログラムの実施等について調査した。
3)GAおよびギャマノンのスタッフ、利用者にインタビューを実施した。また、民間回復施設入所者を対象に自記式のアンケート調査を行い、入所時、就労や職場復帰への移行時、その後3ケ月の3回の変化を追跡する。
4)ウェブ調査によりPGSIスコア3点以上の参加者を募集し、ランダムにPersonalized normative feedback (PNF)を受ける介入群と評価のみの対照群に割り付けて効果を評価する。
5)専門医療機関の受診患者を対象に、受診時の調査と追跡調査を行う。調査項目はギャンブル行動、精神科併存症の有無などであり、併存疾患がGDの治療におよぼす影響、GDの治療に特別な修正を必要としたか調査する。
6)スマートフォンによる簡易介入プログラムを作成し、PNFおよび認知行動理論に基づいたチャットボットプログラムを設計、開発する。その効果をスクリーニングテストによるギャンブル問題で何らかの問題が疑われるものを対象に評価する。
7)GDの治療プログラムの研修会を実施して治療プログラムの普及と均霑化を図る。
8)各地域でのギャンブル障害の連携を調査し、実現可能な連携マニュアルを作成する。
結果と考察
1.ギャンブル外来を有する20施設の協力を得て、外来受診者の調査への組み入れを開始した。200名を超える対象者が登録され、6カ月後調査まで報告した。
2.支援技術の向上を認めた。ギャンブル依存の相談件数や回復プログラムを実施するセンターは増加していた。コロナウイルス感染拡大によりプログラムの中止や延期といった影響を認めた。
3.「民間団体の活動についての紹介」冊子を作成した。入所型回復施設の利用者では、重篤な事例の割合が高いが、利用期間が長い群では、ギャンブル衝動などの症状が軽減し、認知の歪みの改善を認めた。
4. GSASおよびGRCSの再検査信頼性を確認した。PNFの有効性について検討したところ、GSAS及びGRCSにおいては軽度の効果が示されたが、ギャンブル日数やギャンブルに費やされた金額、及び援助・支援希求行動に対する効果は認められなかった
5.ギャンブル障害と診断された60名を対象とした。精神科疾患の併存は58.3%にみられ、うつ病26.7%、行動嗜癖16.7%、不安障害11.7%などであった。治療の継続率は12ヶ月で57.7%、ギャンブルを止めている割合は、12ヶ月で45.8%であった。
6.ギャンブル障害に対するウェブを用いた簡易介入プログラムとして、スマートフォンで実施可能なPNFシステム及び、認知行動理論に基づいたチャットボットプログラム(GAMBOT2)を開発した。2021年3月より被験者募集を開始した。
7.GDの標準的治療プログラムを普及させるための研修プログラムを作成し、次年度に研修を実施する。
8.事例検討会によって、地域の連携体制が強化され、医療者、支援者に根強い忌避感情やスティグマの解消にもつながると考える。
結論
1)202名のギャンブル障害者を調査にエントリーして受診6カ月後調査まで報告した。
2)研修会を実施することで精神保健福地センターにおけるGDの相談の技術支援向上に役立ち、回復の一助になる。
3)入所施設の調査から回復への有効性を確認し、調査所見をもとに民間団体と医療機関などとの連携を進める一つの試みとして、「ギャンブル問題の当事者や家族への民間団体を紹介する冊子」を作成した。
4)GSASおよびGRCSの再検査信頼性を確認した。
5)併存疾患の調査を開始し、追跡調査を行っている。精神科併存疾患は77.1%にみられた。
6)開発したプログラムの効果検証を経て、低コストの介入の実用化を目指す。
7)GDの標準的治療プログラムを普及させるための研修プログラムを作成した。
8)問題解決をしない事例検討会マニュアルを作成した。

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202118006B
報告書区分
総合
研究課題名
ギャンブル等依存症の治療・家族支援に関する研究
課題番号
19GC1016
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
松下 幸生(独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 白川 教人(横浜市こころの健康相談センター)
  • 森田 展彰(国立大学法人筑波大学大学院人間総合科学研究科)
  • 神村 栄一(新潟大学 人文社会科学系)
  • 宮田 久嗣(東京慈恵会医科大学 精神医学講座)
  • 宋 龍平(岡山県精神科医療センター 臨床研究部)
  • 佐久間 寛之(独立行政法人国立病院機構さいがた医療センター 精神科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害者政策総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)専門外来を受診するギャンブル障害(GD)の治療効果や予測因子を検討する、2)精神保健福祉センター職員を対象とした研修効果を検証し支援状況を調査する、3)自助グループや民間支援団体への支援のための課題抽出を行う、4)PNFの効果の検証を行う、5)GDの精神科併存疾患の実態を調査し、治療への影響を検討する、6)スマートフォンを利用した簡易介入プログラムの効果を検証する、7)治療プログラムの研修会を実施して普及を図る。8)連携マニュアルを作成する。
研究方法
1)対象者登録および追跡調査を開始した。効果判定にはギャンブル行動、治療の継続等を用いる。
2)SAT-Gプログラムの研修を実施し、アンケートや評価尺度により効果を検証した。また、全国の精神保健福祉センターに、相談件数、指定相談機関の選定、治療プログラムの実施等について調査した。
3)GAおよびギャマノンのスタッフ、利用者にインタビューを実施した。また、民間回復施設入所者を対象に自記式のアンケート調査を行い、入所時、就労や職場復帰への移行時、その後3ケ月の3回の変化を追跡する。
4)ウェブ調査によりPGSIスコア3点以上の参加者を募集し、ランダムにPersonalized normative feedback (PNF)を受ける介入群と評価のみの対照群に割り付けて効果を評価する。
5)専門医療機関の受診患者を対象に、受診時の調査と追跡調査を行う。調査項目はギャンブル行動、精神科併存症の有無などであり、併存疾患がGDの治療におよぼす影響、GDの治療に特別な修正を必要としたか調査する。

6)スマートフォンによる簡易介入プログラムを作成し、PNFおよび認知行動理論に基づいたチャットボットプログラムを設計、開発する。その効果をスクリーニングテストによるギャンブル問題で何らかの問題が疑われるものを対象に評価する。
7)GDの治療プログラムの研修会を実施して治療プログラムの普及と均霑化を図る。
8)各地域でのギャンブル障害の連携を調査し、実現可能な連携マニュアルを作成する。
結果と考察
1.ギャンブル外来を有する20施設の協力を得て、外来受診者の調査への組み入れを開始した。200名を超える対象者が登録され、6カ月後調査まで報告した。
2.支援技術の向上を認めた。ギャンブル依存の相談件数や回復プログラムを実施するセンターは増加していた。コロナウイルス感染拡大によりプログラムの中止や延期といった影響を認めた。
3.「民間団体の活動についての紹介」冊子を作成した。入所型回復施設の利用者では、重篤な事例の割合が高いが、利用期間が長い群では、ギャンブル衝動などの症状が軽減し、認知の歪みの改善を認めた。
4. GSASおよびGRCSの再検査信頼性を確認した。PNFの有効性について検討したところ、GSAS及びGRCSにおいては軽度の効果が示されたが、ギャンブル日数やギャンブルに費やされた金額、及び援助・支援希求行動に対する効果は認められなかった
5.ギャンブル障害と診断された60名を対象とした。精神科疾患の併存は58.3%にみられ、うつ病26.7%、行動嗜癖16.7%、不安障害11.7%などであった。治療の継続率は12ヶ月で57.7%、ギャンブルを止めている割合は、12ヶ月で45.8%であった。
6.ギャンブル障害に対するウェブを用いた簡易介入プログラムとして、スマートフォンで実施可能なPNFシステム及び、認知行動理論に基づいたチャットボットプログラム(GAMBOT2)を開発した。2021年3月より被験者募集を開始した。
7.GDの標準的治療プログラムを普及させるための研修プログラムを作成し、次年度に研修を実施する。
8.事例検討会によって、地域の連携体制が強化され、医療者、支援者に根強い忌避感情やスティグマの解消にもつながると考える。
結論
1)202名のギャンブル障害者を調査にエントリーして受診6カ月後調査まで報告した。
2)研修会を実施することで精神保健福地センターにおけるGDの相談の技術支援向上に役立ち、回復の一助になる。
3)入所施設の調査から回復への有効性を確認し、調査所見をもとに民間団体と医療機関などとの連携を進める一つの試みとして、「ギャンブル問題の当事者や家族への民間団体を紹介する冊子」を作成した。
4)GSASおよびGRCSの再検査信頼性を確認した。
5)併存疾患の調査を開始し、追跡調査を行っている。精神科併存疾患は77.1%にみられた。
6)開発したプログラムの効果検証を経て、低コストの介入の実用化を目指す。
7)GDの標準的治療プログラムを普及させるための研修プログラムを作成した。
8)問題解決をしない事例検討会マニュアルを作成した。

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2023-01-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202118006C

収支報告書

文献番号
202118006Z