医療放射線の安全確保に関する研究

文献情報

文献番号
200835029A
報告書区分
総括
研究課題名
医療放射線の安全確保に関する研究
課題番号
H19-医療・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
細野 眞(近畿大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 岡野 友宏(昭和大学 歯学部)
  • 成田 浩人(慈恵会医科大学 附属病院)
  • 山口 一郎(国立保健医療科学院 生活環境部)
  • 赤羽 正章(東京大学大学院 放射線医学講座)
  • 大場 久照(弘前大学大学院 保健学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療放射線の正当化と最適化を実現する過程において、国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication 103・Publication 105、国際原子力機関(IAEA)の基本安全基準に示されているように医科領域ならびに歯科領域の診断参考レベル、医療機器の品質保証・保守管理、機器使用に係る職員研修、患者との良好なコミュニケーションなどが重要な要素である。本研究はこれらについて指針となる資料を示すことを目的とした。
研究方法
診断参考レベル、品質保証・保守管理、職員研修、患者とのコミュニケーションなどの課題について、基礎的技術的な検討、国内の実態調査、既存の報告の解析、国際動向の考察などの手法を用いて研究を実施した。国際動向については、ICRP Publication 103、改訂中のIAEA基本安全基準の仮訳を行って解析した。診断参考レベルの基本的意義と最適化における機能を明らかにし、国内調査に基づいて診断参考レベルの具体的な数値を検討した。医療機器の品質保証・保守管理、職員研修、患者とのコミュニケーションについても実態調査を行って考察を加えた。近年需要が急増している非密封放射性同位元素(ヨウ素-131)による治療における退出や廃棄物管理についても検討した。
結果と考察
診断参考レベルは診断領域の最適化を進める重要な要素であり、これを確立して運用することが欠かせない。その一方で、診断参考レベルは独立して機能するものではなく、線量の評価方法を含めて機器の品質保証・保守管理と密接な関連があり、これらが一体となって最適化を実現すると考えられた。保守管理については、保守契約がかなり多くの機器で締結されていたり、多くの施設で始業・終業時点検を点検マニュアルに明記していたりするなど体制が整ってきているが、なお改善の余地のある実態がわかった。医療機器の機器使用に係る職員研修、患者との良好なコミュニケーションは診療従事者が対処すべき重要課題であることを確認し、実施に向けた基本的な指針を示した。非密封放射性同位元素(ヨウ素-131)による治療の退出や廃棄物管理についても課題を洗い出し、今後推進すべき具体的な方向性を示した。
結論
本研究で検討した放射線の正当化・最適化に係るこれらの要素は安全で有効な放射線診療に不可欠のものであり、医療機関で確実に実施されるよう啓発や環境整備を進めることが必要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2009-03-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-11
更新日
-