診療ガイドラインによる診療内容確認に関する研究

文献情報

文献番号
200835026A
報告書区分
総括
研究課題名
診療ガイドラインによる診療内容確認に関する研究
課題番号
H18-医療・一般-031
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小野木 雄三(国際医療福祉大学三田病院 放射線医学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 廣瀬 康行(琉球大学医学部附属病院 医療情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療従事者の診療行為が診療ガイドラインに即していることを確認することのできる環境、患者が受けている診療がガイドラインに則していることを自ら確認することのできる環境を実現するための手法構築を目標として、特に診療スレッドに関する検討、および判断に必要な情報が欠落している場合に関する検討を行い、実用的な応用場面の導出を目的とした。
研究方法
診療行為を意図実現過程モデルの観点から分析した臨床思考過程&診療経過モデルをもとに診療モデル、特に診療手順の全体を目的ごとに幾つかの小手順に分けた診療スレッドに関する検討を行った。診療ガイドライン手順の電子化については、Minds(財団法人日本医療機能評価機構)で公開されている高血圧診療ガイドライン(2004年版)から前年度までに構築した電子的知識表現形式の反省点を元に改善し、診療スレッド導入の検討を行った。応用システムの開発はAllegro Common LISPとn-tripleを利用した。
結果と考察
臨床思考過程&診療経過モデルを発展させ、診療スレッドについて定式化を行い、実運用されている診療パスとの比較を通じてその有用性を確認した。次に診療ガイドラインの手順の電子的知識表現について、診療スレッドのサブセットである診療ブロックを導入し、n-triple形式を採用して可読性と汎用性の向上を図り、プログラム言語としてLISPを選択して具体的な関数を記述し、欠落情報を明示的に扱い、必要十分と可能性や共起との違いに注意して判断条件を区別できるようにした。この知識記述を使い、欠落情報の存在を許容しながら対話的に診療データを入力することによって診療ガイドラインの手順を可視化するアプリケーションを構築した。これは実診療だけではなく、仮想的に診療手順を試すことも可能であり、診療ガイドラインの内容理解や患者による診療内容確認にも資すると考えられた。
結論
診療スレッドの考え方の有用性を確認した。次に診療ガイドラインから診療手順の内容を抽出した電子的な知識表現形式に対して、欠落情報の存在を前提とした知識記述、診療ブロックの導入、前提と帰結における必然・可能性・共起などの区別など、改善を行った。これにより診療データを入力することによって、診療ガイドライン手順との合致を対話的に確認するアプリケーションを構築し、実用的な応用場面の導出を行った。

公開日・更新日

公開日
2009-04-14
更新日
-

文献情報

文献番号
200835026B
報告書区分
総合
研究課題名
診療ガイドラインによる診療内容確認に関する研究
課題番号
H18-医療・一般-031
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小野木 雄三(国際医療福祉大学三田病院 放射線医学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 廣瀬 康行(琉球大学 医学部附属病院 医療情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
診療ガイドラインに即した診療は、質の底上げとコスト抑制に貢献する。しかし紙に印刷・配布される診療ガイドラインは普及しにくく、診療ガイドラインを判断支援システムとして活用することが有用とされている。そこで本研究は診療ガイドラインの手順内容を電子的に記述することにより、電子カルテなどの診療情報参照や患者自らのデータ入力によって診療ガイドラインに則しているか否かを確認することのできる環境を実現するための手法を構築することを目的とした。
研究方法
診療行為を意図実現過程モデルの観点から分析した臨床思考過程&診療経過モデルをもとに診療モデル、特に診療手順の全体を目的ごとに幾つかの小手順に分けた診療スレッドに関する検討を行った。診療ガイドライン手順の電子化については、財団法人日本医療機能評価機構で公開されているガイドラインを材料として、情報要素の抽出、推奨される診療手順のフローチャート形式への変換、用語の曖昧性の解決、電子的知識表現形式への変換などを通じて知識表現形式に関する検討を繰り返した。知識表現には推論エンジンのRacerProやAllegro Common LISP、n-triple形式などを利用した。
結果と考察
診療ガイドラインから抽出した手順知識を電子的知識表現として記述した。判断に必要な情報は診療情報システム上には十分には存在せず、条件判断の際に情報欠落が生じて判断不能となる。まず情報欠落がない対象には禁忌処方だけにとどまらず禁止医療行為・非推奨医療行為を検出可能である。次に情報欠落の存在を前提として知識記述を改善し、診療スレッドの考え方を取り入れて診療ブロックを導入し、「AならばB」における必然・可能性・共起などの区別を導入した。これを利用して、情報欠落を許容しながら対話的に診療ガイドラインの手順を可視化するアプリケーションを開発した。これは実診療での診療内容確認に加えて仮想的な診療手順試行も可能であり、診療ガイドラインの内容理解や患者による診療内容確認にも資すると考えられた。
結論
診療ガイドラインに記載された推奨手順を電子的な知識表現形式に変換する手法を示した。これを利用すれば薬剤に限らず広く禁止医療行為の検出に利用可能である。次に臨床思考過程の検討を行い、情報欠落、診療スレッド、判断における必然・可能性・共起の区別に関する検討などを通じて知識表現形式を改善し、情報欠落を許容しながら対話的に診療ガイドラインの手順を可視化するアプリケーションを開発した。

公開日・更新日

公開日
2009-04-14
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200835026C