新生児重症心疾患に対する予後向上のためのリアルタイム心エコー動画像による遠隔診断と新生児心疾患救急診療システム確立に関する臨床研究

文献情報

文献番号
200835024A
報告書区分
総括
研究課題名
新生児重症心疾患に対する予後向上のためのリアルタイム心エコー動画像による遠隔診断と新生児心疾患救急診療システム確立に関する臨床研究
課題番号
H18-医療・一般-029
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
越後 茂之(国立循環器病センター)
研究分担者(所属機関)
  • 石川 司朗(福岡市立こども病院 循環器科)
  • 賀藤 均(国立成育医療センター 循環器科)
  • 大月 審一(岡山大学 小児科)
  • 安河内 聰(長野県立こども病院 循環器科)
  • 富田 英(昭和大学 小児科)
  • 富松 宏文(東京女子医科大学 循環器小児科)
  • 花井 荘太郎(国立循環器病センター 研究所 脈管生理部)
  • 小林 俊樹(埼玉医科大学 小児循環器科)
  • 中村 好一(自治医科大学 公衆衛生)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
安価な既存のシステムとインターネットを使用して、新生児医療施設あるいは地域病院と小児循環器診療中核施設の間でリアルタイム心エコー動画伝送による新生児心疾患の遠隔診断を行い、迅速な初期診断、的確な初期治療がもたらす新生児重症先天心疾患の予後の改善、費用対効果、必要な器材と画像の質を分析し、遠隔診断による “新生児心疾患診療モデル”を提起すること。
研究方法
それぞれの診療圏に地理的な特色を持つ13小児循環器中核診療施設を中心とし、これらの施設と遠隔診断を行う新生児医療施設や地域病院を選定した。セキュリティーに十分配慮した既存の安価なシステムとインターネットを使用して、リアルタイム心エコー動画伝送による遠隔診断システムを構築し、遠隔診断に必要な器材の性能とリアルタイム伝送動画像のクオリティー、遠隔診断による診断と最終の確定診断の一致率などを検討する。
結果と考察
初年度と次年度で、研究プロトコルを作成し、倫理委員会の研究承認を得て遠隔診断システムを構築した。最終年度は先天性心疾患が疑われる131例の新生児に対して、リアルタイム心エコー動画像を用いた遠隔診断を試みた。通信が成立せず、遠隔診断ができなかった1例を除いた130例の日齢は0から58日(中央値3.5日)であった。全てインターネットによる動画像の送信であったが、通信速度の最低値325Kbpmの例も含めて全例において画像の乱れなどによる診断への影響はなかった。遠隔診断を実施した全ての患者について、小児循環器医による通常の心エコー検査をその後に行った。臨床的に先天性心疾患が疑われたが、遠隔診断で心臓に異常がないとされた症例を含めて、誤った遠隔診断が行われた症例は皆無であった。但し、非常に複雑な先天性心疾患においては、初期治療には全く影響を与えないレベルの細部の診断が、その後に追加されることが極少数例にみられた。
結論
本研究で有用性が確認された、リアルタイム心エコー動画像を用いた新生児重症心疾患患者に対する遠隔診断とそれに基づく初期治療と専門施設への搬送によって、患者の予後は大きく改善すると考える。また、本システムは、高額な専用通信回線は不要であり、コンピュータシステムも通常のパーソナルコンピュータを使用しているため、高額の初期投資は不要で維持費も少額であり、“新生児心疾患救急診療システム”として全国に広めて行くことが可能である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-

文献情報

文献番号
200835024B
報告書区分
総合
研究課題名
新生児重症心疾患に対する予後向上のためのリアルタイム心エコー動画像による遠隔診断と新生児心疾患救急診療システム確立に関する臨床研究
課題番号
H18-医療・一般-029
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
越後 茂之(国立循環器病センター)
研究分担者(所属機関)
  • 石川 司朗(福岡市立こども病院 循環器科)
  • 石澤 瞭(国立成育医療センター 循環器科)
  • 磯田 貴義(国立成育医療センター 循環器科)
  • 賀藤 均(国立成育医療センター 循環器科)
  • 大月 審一(岡山大学医学部 小児科)
  • 里見 元義(長野県立こども病院 循環器科)
  • 安河内 聰(長野県立こども病院 循環器科)
  • 富田 英(昭和大学医学部 小児科)
  • 富松 宏文(東京女子医科大学 循環器小児科)
  • 花井 荘太郎(国立循環器病センター 調査課)
  • 小林 俊樹(埼玉医科大学 小児循環器科)
  • 中村 好一(自治医科大学 公衆衛生学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
安価な既存のシステムとインターネットを使用して、新生児医療施設あるいは地域病院と小児循環器診療中核施設の間でリアルタイム心エコー動画伝送による新生児心疾患の遠隔診断を行い、迅速な初期診断、的確な初期治療がもたらす新生児重症先天心疾患の予後の改善、費用対効果、必要な器材と画像の質を分析し、遠隔診断による “新生児心疾患診療モデル”を提起すること。
研究方法
それぞれの診療圏に地理的な特色を持つ13の小児循環器中核診療施設を中心とし、これらの施設と遠隔診断を行う新生児医療施設や地域病院を選定した。セキュリティーに十分配慮した既存の安価なシステムとインターネットを使用して、リアルタイム心エコー動画伝送による遠隔診断システムを構築し、遠隔診断に必要な器材の性能とリアルタイム伝送動画像のクオリティー、遠隔診断前後の診断ならびに最終の確定診断の一致率、遠隔診断とこれに基づく初期治療後の安定した状態での専門医療施設への搬送がもたらす新生児重症先天心疾患の予後改善の有無、費用対効果などを検討する。
結果と考察
先天性心疾患が疑われる130例の新生児に対して、リアルタイム心エコー動画像を用いた遠隔診断を実施した。全てインターネットによる動画像の送信であったが、画像の乱れなどによる診断への影響はなかった。通信速度の最低値は325Kbpmであった。遠隔診断を実施した全例について、小児循環器医による通常の心エコー検査をその後に行った。遠隔診断において、主要診断を誤った症例は皆無であった。これまでの検討で小児循環器医が少ない地域では、正確な診断が得られず早期に適切な治療実施されていない場合が少なくなかった。早期に正確な遠隔診断による適切な初期治療がなされれば、予後が向上する可能性が大きい。
結論
本研究で有用性が確認された、小児循環器科医によるリアルタイム心エコー動画像を用いた新生児重症心疾患患者に対する迅速な遠隔診断とそれに基づく的確な初期治療、また治療施設への搬送によって、患者の予後は大きく改善すると考える。さらに、正確な診断によって不要な緊急搬送が減少する可能性もある。また、本システムは、高額な専用通信回線は不要であり、コンピュータシステムも通常のパーソナルコンピュータを使用しているため、高額の初期投資は不要で維持費も少額であり、“新生児心疾患救急診療システム”として全国に広めて行くことが可能である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200835024C