文献情報
文献番号
202117007A
報告書区分
総括
研究課題名
療養場所の違いに応じた認知症者のエンドオブライフケア充実に向けての調査研究-COVID-19流行の影響も踏まえて-
課題番号
21GB1001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 久幸(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 在宅医療・地域医療連携推進部)
研究分担者(所属機関)
- 葛谷 雅文(名鉄病院)
- 会田 薫子(東京大学 大学院人文社会系研究科)
- 大河内 二郎(社会医療法人 若弘会 介護老人保健施設 竜間之郷)
- 平原 佐斗司(東京ふれあい医療生活協同組合 研修・研究センター)
- 山中 崇(東京大学 医学部附属病院/大学院医学系研究科 在宅医療学講座)
- 平川 仁尚(名古屋大学医学部附属病院老年科)
- 石山 麗子(国際医療福祉大学 大学院 医療福祉経営専攻)
- 斎藤 民(国立長寿医療研究センター 老年社会科学研究部)
- 篠崎 未生(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部)
- 高梨 早苗(国立長寿医療研究センター 在宅医療・地域医療連携推進部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
9,777,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
当研究は、エビデンスに基づき、最期の療養の場の違い(病院、在宅、介護保険施設)に応じた認知症者へのエンドオブライフ・ケアの指針・手引きを作成することを目的とする。
エンドオブライフ・ケアについては療養の場の違いにより、提供可能な医療処置や介護サービスの内容・量共に異なるため、療養の場ごとの指針や手引きが必要である。
本研究では、これまで各研究で行ってきた、認知症者のエンドオブライフ・ケア(最多の死因である肺炎を含む)に関しての文献的エビデンス抽出、認知症者の意思決定支援を進める上での課題抽出、高齢者における意思決定支援推進に関わるこれまでの実績を基に、当該研究計画を立案した。
調査・手引き書作成においてはCOVID-19流行の影響を踏まえる。
療養の場の違いに応じた医療者・家族を含む介護者双方へのエンドオブライフ・ケアの手引きは国内では初めてである。
エンドオブライフ・ケアについては療養の場の違いにより、提供可能な医療処置や介護サービスの内容・量共に異なるため、療養の場ごとの指針や手引きが必要である。
本研究では、これまで各研究で行ってきた、認知症者のエンドオブライフ・ケア(最多の死因である肺炎を含む)に関しての文献的エビデンス抽出、認知症者の意思決定支援を進める上での課題抽出、高齢者における意思決定支援推進に関わるこれまでの実績を基に、当該研究計画を立案した。
調査・手引き書作成においてはCOVID-19流行の影響を踏まえる。
療養の場の違いに応じた医療者・家族を含む介護者双方へのエンドオブライフ・ケアの手引きは国内では初めてである。
研究方法
令和3年度は療養の場に共通した、認知症者への緩和ケア技術評価および意思決定支援プロセスについて、これまでの文献的エビデンスとexpert opinionを基に検討し、共通項を確定する。
さらに異なる療養場所(病院、在宅、介護保険施設)のスタッフへのフォーカスグループ・インタビューを行い、療養場所の違いに関わる因子を明確にする。
さらに異なる療養場所(病院、在宅、介護保険施設)のスタッフへのフォーカスグループ・インタビューを行い、療養場所の違いに関わる因子を明確にする。
結果と考察
認知症者の緩和ケア技術評価WG
1.苦痛評価指標の選定
a:文献的考察、expert opinionの収集
b:適正指標の選定
2.療養の場の違いに応じた緩和ケア技術評価
a:文献的考察
b:フォーカスグループ・インタビュー*
c:令和3年度の実態調査に向けての準備
意思決定支援プロセス評価WG
a:文献的考察、expert opinionの収集
b:フォーカスグループ・インタビュー*
c:令和3年度の実態調査に向けての準備
*フォーカスグループ・インタビューについては文献検索、expert opinionを基にインタビューガイドを作成した。倫理委員会承認後、在宅、有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホーム、老人保健施設、療養型病床群(精神科含む)、病院等に勤務する医師・看護師・介護職員・ケアマネジャー合計約40名を対象とし、実施した。現在、インタビュー内容を質的に解析している。
最も期待できる効果は、医療・介護現場の認知症の緩和ケア技術と本人の意向を尊重した意思決定支援技術の向上である。
認知症施策大綱(令和元年6月18日)では、(4)医療・介護の手法の普及・開発において「人生の最終段階にあっても本人の尊厳が尊重された医療・介護等が提供されることが重要である」としている。しかしながら、具体的にどのような医療・介護等が提供されるべきか、これまで明確となっておらず、本研究事業により、具体的な医療・介護等の内容が明示されることで、施策大綱の方針に沿った臨床実践が広がることが期待できる。
また、本研究事業では、認知症者における意思決定支援の手引き書作成を行う。「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(平成30年)では本人の意思決定能力が欠けている場合の、いわゆる「代理代行決定」のルールについては、このガイドラインの範囲外と位置付けられている。今回の手引き書の中では、意思決定能力が欠けている場合の、延命処置等の意思決定の在り方や成年後見人等の役割について、より具体的に明示することで、人生の最終段階における「代理代行」の適切な考え方を臨床現場に的確に伝えることができる。特に成年後見人による意思決定支援の在り方をより明確にすることで間接的に「成年後見の利用の促進に関する法律」(平成28年5月)にも寄与できる。
1.苦痛評価指標の選定
a:文献的考察、expert opinionの収集
b:適正指標の選定
2.療養の場の違いに応じた緩和ケア技術評価
a:文献的考察
b:フォーカスグループ・インタビュー*
c:令和3年度の実態調査に向けての準備
意思決定支援プロセス評価WG
a:文献的考察、expert opinionの収集
b:フォーカスグループ・インタビュー*
c:令和3年度の実態調査に向けての準備
*フォーカスグループ・インタビューについては文献検索、expert opinionを基にインタビューガイドを作成した。倫理委員会承認後、在宅、有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホーム、老人保健施設、療養型病床群(精神科含む)、病院等に勤務する医師・看護師・介護職員・ケアマネジャー合計約40名を対象とし、実施した。現在、インタビュー内容を質的に解析している。
最も期待できる効果は、医療・介護現場の認知症の緩和ケア技術と本人の意向を尊重した意思決定支援技術の向上である。
認知症施策大綱(令和元年6月18日)では、(4)医療・介護の手法の普及・開発において「人生の最終段階にあっても本人の尊厳が尊重された医療・介護等が提供されることが重要である」としている。しかしながら、具体的にどのような医療・介護等が提供されるべきか、これまで明確となっておらず、本研究事業により、具体的な医療・介護等の内容が明示されることで、施策大綱の方針に沿った臨床実践が広がることが期待できる。
また、本研究事業では、認知症者における意思決定支援の手引き書作成を行う。「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(平成30年)では本人の意思決定能力が欠けている場合の、いわゆる「代理代行決定」のルールについては、このガイドラインの範囲外と位置付けられている。今回の手引き書の中では、意思決定能力が欠けている場合の、延命処置等の意思決定の在り方や成年後見人等の役割について、より具体的に明示することで、人生の最終段階における「代理代行」の適切な考え方を臨床現場に的確に伝えることができる。特に成年後見人による意思決定支援の在り方をより明確にすることで間接的に「成年後見の利用の促進に関する法律」(平成28年5月)にも寄与できる。
結論
令和3年度は【療養の場に共通する、指針に入れるべき項目(共通項目)を明確化】するために①文献的考察や過去の発行物を参考に、班員のexpert opinionにより項目抽出、③フォーカスグループ・インタビュー(FGI)による質的調査(実施し、結果を解析中)を行った。さらに【療養の場の違いに応じた、指針に入れるべき項目の探索】については①文献的考察や過去の発行物により必要項目を抽出、②フォーカスグループ・インタビュー(FGI)による質的調査(実施し、結果を解析中)を行った。令和4年度は今年度の結果を基に、病院・施設・在宅におけるエンドオブライフ・ケア実態調査を行う計画である。
公開日・更新日
公開日
2022-08-23
更新日
-