早期の在宅療養移行及び療養継続支援における訪問看護による効果測定及び評価のための研究

文献情報

文献番号
202116008A
報告書区分
総括
研究課題名
早期の在宅療養移行及び療養継続支援における訪問看護による効果測定及び評価のための研究
課題番号
21GA1002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
山本 則子(東京大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 五十嵐 歩(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 目 麻里子(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 福井 千絵(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 角川 由香(東京大学大学院 医学系研究科)
  • ELTAYBANI SAMEH(エルタイバニ サメハ)(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 新田 國夫(医療法人社団つくし会)
  • 野口 麻衣子(渡邊 麻衣子)(東京医科歯科大学 保健衛生学研究科)
  • 小島 太郎(東京大学医学部附属病院 老年病科)
  • 柏原 康佑(東京大学医学部附属病院)
  • 北村 智美(一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
7,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、1)訪問看護提供による効果、サービスの充実度を測定するための標準化評価指標を開発すること(研究1)、2)看取り期を含む対象への前向き研究により、訪問看護の効果、サービスの充実度を可視化すること(研究2,3,5)、3)評価指標を活用したサービスの充実に向けた評価方法(PDCAサイクル)を提案することである(研究4)。
研究方法
本研究は5つの分担研究から構成される。[研究1]訪問看護提供による効果、サービスの充実度を測定するための評価指標の確立、[研究2]訪問看護提供による効果、サービスの充実度の文献検討、[研究3]既存コホートの観察継続による訪問看護提供による効果、サービスの充実度の評価、[研究4]評価指標を活用したサービスの充実に向けた評価方法(PDCAサイクル)の提案、[研究5]訪問看護提供に関する比較試験である。
結果と考察
訪問看護の評価指標について、再テスト信頼性、評価者間信頼性、表面妥当性が一定程度担保された(研究1)。訪問看護の効果に関するアンブレラレビューにより、訪問看護は機能状態の改善、地域での療養継続、予防接種率の向上など有益な効果があると報告されたことが明らかになった。一方、QOL維持などの主観的評価をアウトカムとした研究が少なく、今後研究の蓄積が必要である(研究2)。本レビューの成果をもとに、訪問看護の効果を検討するための比較試験の研究計画に活用することとした(研究5)。訪問看護利用群・非利用群における前向きコホート研究により、要介護高齢者への訪問看護提供による加齢とともに心身機能が低下する中でも、転倒転落の予防、希望するケアの実現、全身状態の悪化予防につながる可能性が見出された(研究3)。訪問看護師・介護支援専門員へのインタビュー調査により、ケアの質改善・向上のためには、評価のフィードバックにとどまらず、評価を次のActionへつなぐ外部の相談機能ならびに、具体的なケア方針の提案・事業所全体の課題の抽出など意思決定を助けるフィードバックの検討など、質改善への継続的な支援プログラムを構築する必要があることが明らかになった(研究4)。
結論
訪問看護提供による効果を測定するための評価指標について再テスト信頼性、評価者間信頼性、表面妥当性が一定程度担保された。今後、標準化された評価指標を用いて、比較試験を開始する。
訪問看護の効果に関するアンブレラレビューでは、訪問看護は、死亡率、入院、施設入所、利用者満足度、QOLに有意な影響を及ぼすという結果は得られなかった。一方、機能状態の改善、地域での療養継続、予防接種率の向上など有益な効果があるとの結果を得た。死亡と入院については広く検討されているが、利用者の満足度とQOLについてはほとんど検討されていない。日本における訪問看護の目的は本人らしい生活の維持であり、今後はQOLなどの利用者の主観的評価をアウトカムとした研究の蓄積が必要であると考える。本レビューで得た知見は、来年度からの比較試験の計画に反映させる。
また、訪問看護利用群・非利用群における前向きコホート研究においては、要介護高齢者への訪問看護提供による加齢とともに心身機能が低下する中でも、転倒転落の予防、希望するケアの実現、全身状態の悪化予防につながる可能性が見出された。今後、引き続き前向きコホート研究を継続し、より長期的な訪問看護の効果について検討する。
訪問看護師へのインタビュー調査により、ケアの質改善・向上のためには、評価のフィードバックにとどまらず、評価を次のActionへつなぐ外部の相談機能ならびに、具体的なケア方針の提案・事業所全体の課題の抽出など意思決定を助けるフィードバックの検討が必要であることが明らかになった。今後、質改善への継続的な支援プログラムを構築・実装する。

公開日・更新日

公開日
2022-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-03
更新日
2023-03-28

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202116008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,500,000円
(2)補助金確定額
9,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 156,957円
人件費・謝金 1,071,126円
旅費 0円
その他 6,079,917円
間接経費 2,192,000円
合計 9,500,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2022-06-10
更新日
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