医療圏における地域疾病構造および患者受療行動に基づく地域医療の評価のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200835008A
報告書区分
総括
研究課題名
医療圏における地域疾病構造および患者受療行動に基づく地域医療の評価のあり方に関する研究
課題番号
H18-医療・一般-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
伏見 清秀(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 医療情報システム学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域保健医療計画では、疾病特性、地域特性等を考慮した医療圏の設定や医療需要の推計等、客観的な地域医療の評価等が求められている。本研究では、地域疾病データベースを構築し、新たな医療圏の設定や医療需要の推計を含めた地域医療の評価方法を明かとすること、データに基づく透明性の高い地域医療評価に資する情報ツールを提供することを目的とした。
研究方法
平成14年度と平成17年度の患者調査データと我が国で開発されたDPC診断群分類を用いて、全国二次医療圏別のDPC分類別、手術有無別、在院日数階級別の年間退院患者数のプロファイルデータを作成し、地域疾病構造の可視化を行った。
結果と考察
昨年度までの研究で、患者調査等の統計データから地域疾病構造の可視化し、患者受療行動の病態や地域による差異、マーケッティング理論に基づく地域における各医療機関の機能の評価手法、地域急性期必要病床数の推計、人口構造変化による医療需要の変化等を明らかとした。最終年度は、①患者動態の視点から、地域疾病構造と傷病別地域診療圏構造の総合的分析により都道府県診療圏構造の類型化を行い、「一極集中型」、「多極集中型」、「二次医療圏型」、「県外流出型」等の差異を明らかとした。また、②地域における医療機関の機能の視点から、病態別の患者数と二次医療圏内シェアの2軸に基づく分析から個々の医療機関を評価し、患者数およびシェアがともに一定数以下の機能未分化医療機関を受療する患者数割合を地域医療機関機能分化指標として評価したところ、機能分化に関する総合評価では、新潟県がもっとも高く香川県がもっとも低いことが示された。さらに、③地域における医療資源必要度の推計手法の視点からの評価として、急性期病床数、回復期リハビリテーション病床数、医師数、看護職員数の充足率の都道府県別比較を示した。また、都道府県担当者とともに分析手法と分析ツールに関する評価を実施し、このような分析と評価が実現可能であり地域医療の実態の評価に大変有効であることが示された。
結論
本研究により、科学的・具体的な地域医療の評価方法が明らかとなり、具体的客観的な医療計画の策定などによる地域医療施策の推進と医療の質と効率化の確保に寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200835008B
報告書区分
総合
研究課題名
医療圏における地域疾病構造および患者受療行動に基づく地域医療の評価のあり方に関する研究
課題番号
H18-医療・一般-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
伏見 清秀(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 医療情報システム学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域保健医療計画では、疾病特性、地域特性等を考慮した医療圏の設定や医療需要の推計等、客観的な地域医療の評価等が求められている。本研究では、地域疾病データベースを構築し、新たな医療圏の設定や医療需要の推計を含めた地域医療の評価方法を明かとすること、データに基づく透明性の高い地域医療評価に資する情報ツールを提供することを目的とした。
研究方法
平成14年度と平成17年度の患者調査データと我が国で開発されたDPC診断群分類を用いて、全国二次医療圏別のDPC分類別、手術有無別、在院日数階級別の年間退院患者数のプロファイルデータを作成し、地域疾病構造の可視化、患者受療行動より見た疾病別実医療圏や地域における医療機関機能の評価、地域医療資源必要量の推計、医療圏分析ツールの開発を行った。
結果と考察
①患者者動態の視点から、病態により実質的な診療圏の構造が異なること、即ち患者の移動は待機可能な高度手術で大きく、高齢者や救急疾患では小さいこと、および地域疾病構造と傷病別地域診療圏構造の総合的分析により都道府県診療圏構造の類型化を行い、「一極集中型」、「多極集中型」、「二次医療圏型」、「県外流出型」等の差異とその地域要因を明らかとした。②地域における医療機関の機能の視点から、病態別の患者数と二次医療圏内シェアの2軸に基づく分析から個々の医療機関の専門性と地域貢献を評価し、患者数およびシェアがともに一定数以下の機能未分化医療機関を受療する患者数割合を地域医療機関機能分化指標として考案した。都道府県別の機能分化度の評価では、新潟県が高く香川県が低いことが示された。③地域における医療資源必要度の推計手法の視点から、急性期病床数、回復期リハビリテーション病床数、医師数、看護職員数の充足率の都道府県別比較を示した。さらに、都道府県担当者とともに分析手法と分析ツールに関する評価を実施し、このような分析と評価が実現可能であり地域医療の実態の評価に大変有効であることが示された。
結論
本研究によって明らかとなった医療圏の設定や医療需要の推計等を含む科学的・具体的な地域医療の評価方法等は、具体的客観的な医療計画の策定などによる地域医療施策の推進、および地域医療資源配分の適正化や医療機関機能連携の強化による医療の質と効率化の確保に寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-06-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200835008C