文献情報
文献番号
202113003A
報告書区分
総括
研究課題名
アレルギー疾患患者(乳幼児~成人)のアンメットニーズとその解決法の可視化に関する研究
課題番号
20FE1002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
藤澤 隆夫(独立行政法人国立病院機構三重病院 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
- 福永 興壱(慶應義塾大学 医学部 内科学(呼吸器))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫・アレルギー疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
5,350,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
アレルギー疾患は、小児から成人までライフステージを通して、罹患者の生活の質に大きな影響を与える。アレルギー疾患対策基本法の下、医療提供体制の整備が進められているが、患者数は多く、アンメットニーズが知られないまま対策から取り残されている可能性がある。本研究ではアンメットニーズを可視化して適切なサポートにつなげるために、小児と成人において広く利用可能なツール・アプリを開発することを目指した。
研究方法
1. 乳幼児期アレルギー疾患による養育者負担評価質問表開発
初年度に作成した候補質問から、質問表を構成する質問を統計学的に選び出すためにロジスティック回帰解析を用いるが、まず、解析におけるアウトカムとなる既存尺度を選定した。対象はアレルギー疾患治療中の乳幼児の養育者(受診群)、アレルギー疾患発症のリスクあるいはすでに発症しているが未だ医療機関を受診していない乳幼児の養育者(未受診群)である。それぞれ400名、合計800名を目標として、同意を得た上で、サーベイモンキーウェブアンケートフォームを利用して、背景情報、候補質問、既存尺度への回答を依頼した。
2.食物アレルギー診断支援アプリの開発
食物アレルギーが疑われる成人患者の診療に際して、標準化された診断プロセスを経て、適切な管理に導く医師向けアプリケーションを開発した。このアプリの妥当性を検証する臨床試験プロトコールを作成した。
3.「小児のアレルギー疾患保健指導の手引き」の効果判定と改訂
「手引き」活用状況と現場でのニーズを明らかにするため、アレルギー疾患の保健指導の実施状況、保健指導をする疾患、指導マニュアル(独自のものも含む)の整備状況、「手引き」の利用状況、要望事項等を問う調査票を作成して、自治体に送付することとした。
初年度に作成した候補質問から、質問表を構成する質問を統計学的に選び出すためにロジスティック回帰解析を用いるが、まず、解析におけるアウトカムとなる既存尺度を選定した。対象はアレルギー疾患治療中の乳幼児の養育者(受診群)、アレルギー疾患発症のリスクあるいはすでに発症しているが未だ医療機関を受診していない乳幼児の養育者(未受診群)である。それぞれ400名、合計800名を目標として、同意を得た上で、サーベイモンキーウェブアンケートフォームを利用して、背景情報、候補質問、既存尺度への回答を依頼した。
2.食物アレルギー診断支援アプリの開発
食物アレルギーが疑われる成人患者の診療に際して、標準化された診断プロセスを経て、適切な管理に導く医師向けアプリケーションを開発した。このアプリの妥当性を検証する臨床試験プロトコールを作成した。
3.「小児のアレルギー疾患保健指導の手引き」の効果判定と改訂
「手引き」活用状況と現場でのニーズを明らかにするため、アレルギー疾患の保健指導の実施状況、保健指導をする疾患、指導マニュアル(独自のものも含む)の整備状況、「手引き」の利用状況、要望事項等を問う調査票を作成して、自治体に送付することとした。
結果と考察
1 乳幼児期アレルギー疾患による養育者負担評価質問表開発
育児負担の指標として、育児ストレスインデックスショートフォーム(PSI-SF)、ヘルスリテラシーの指標として、HLS-14(14-item health literacy scale)を選定した。約500名から回答を得て、中間解析を行ったところ、育児負担を強く感じていると判定される養育者は、医療情報を適切に選択することができない、医療者とのコミュニケーションがうまくできない、などといった傾向をもつことが明らかとなった。医療者側が養育者の思いを真に理解しているかを確認しながら、わかりやすく伝えていくことが必要と考えられた。さらに、未受診者で負担を感じている人は標準治療以外への依存傾向があることも見いだした。インターネットには情報が溢れているが、必ずしも正しくない情報に惑わされないように、行政からの正しい保健指導が重要と考えられた。
2.食物アレルギー診断支援アプリの開発
妥当性検証試験に用いる模擬症例問題を熟練医の見解が80%以上一致するものとして7題選定して、試験プロトコールを確定した。プロトコールは模擬症例への対応を、アプリ使用前と使用後で比較するものである。
3.「小児のアレルギー疾患保健指導の手引き」の効果判定と改訂
「手引き」利用状況に関する調査用紙の送付先として、全国の自治体の中から、無作為に529箇所を選定して、調査用紙を送付した。
育児負担の指標として、育児ストレスインデックスショートフォーム(PSI-SF)、ヘルスリテラシーの指標として、HLS-14(14-item health literacy scale)を選定した。約500名から回答を得て、中間解析を行ったところ、育児負担を強く感じていると判定される養育者は、医療情報を適切に選択することができない、医療者とのコミュニケーションがうまくできない、などといった傾向をもつことが明らかとなった。医療者側が養育者の思いを真に理解しているかを確認しながら、わかりやすく伝えていくことが必要と考えられた。さらに、未受診者で負担を感じている人は標準治療以外への依存傾向があることも見いだした。インターネットには情報が溢れているが、必ずしも正しくない情報に惑わされないように、行政からの正しい保健指導が重要と考えられた。
2.食物アレルギー診断支援アプリの開発
妥当性検証試験に用いる模擬症例問題を熟練医の見解が80%以上一致するものとして7題選定して、試験プロトコールを確定した。プロトコールは模擬症例への対応を、アプリ使用前と使用後で比較するものである。
3.「小児のアレルギー疾患保健指導の手引き」の効果判定と改訂
「手引き」利用状況に関する調査用紙の送付先として、全国の自治体の中から、無作為に529箇所を選定して、調査用紙を送付した。
結論
アレルギー疾患児の養育者が抱える疾患関連の負担感を可視化ツール作成は順調に進んだ。その中で、アンメットニーズの一端も明らかとなった。乳幼児のアレルギー疾患に関わる保健指導の実態調査も行い、アンメットニーズに的確に対応できるための手引き作成への準備を整えた。
成人食物アレルギーの有病者が著しく増加しているにも関わらず、正しい診断と管理が行われていない現状を解決するため、食物アレルギー診断支援アプリの検証も順調であり、普及に向けた最終段階となった。
成人食物アレルギーの有病者が著しく増加しているにも関わらず、正しい診断と管理が行われていない現状を解決するため、食物アレルギー診断支援アプリの検証も順調であり、普及に向けた最終段階となった。
公開日・更新日
公開日
2022-05-27
更新日
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