文献情報
文献番号
202112004A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性腎臓病(CKD)患者に特有の健康課題に適合した多職種連携による生活・食事指導等の実証研究
課題番号
20FD1003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
要 伸也(学校法人杏林学園 杏林大学 医学部 腎臓・リウマチ膠原病内科)
研究分担者(所属機関)
- 柏原 直樹(学校法人川崎学園 川崎医科大学 医学部)
- 岡田 浩一(埼玉医科大学 医学部 腎臓内科)
- 猪阪 善隆(大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学)
- 阿部 雅紀(日本大学 医学部)
- 金崎 啓造(島根大学医学部)
- 内田 明子(聖隷横浜病院 看護部)
- 石川 祐一(茨城キリスト教大学 生活科学部)
- 木村 健(兵庫医療大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 腎疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、わが国における、慢性腎臓病(CKD) 患者に特有の健康課題に適合した多職種連携とチーム医療によるCKD療養指導の実態を 把握した上で、多職種 連携によるCKD療養指導の有効性と有効な運用方法を実証研究によって示し、エビデンス に基づいた課題解決への提言を行うことである。最 終的には、多職種連携の強化による治療目標の達成 率向上、さら にCKD重症化予防とQOL改善を目指す。
研究方法
上記の研究目的を達成するため、関連学会よりCKDの療養指導および多職種連携に精通するメンバーを招集し、職種横断的な研究体制を整え、1 ) 多職種連携の実態調査と取りまとめ、 2 ) 多職種連携の有効性に関するエビデンス実証研究の実施、 3 ) ホームページによる成果の公表、 4 ) 課題解決への提言の作成、5 ) マニュアルの作成と普及、の 5 つの課題について取り組んで行く。初年度はまず 1 ) のチーム医療に関する実態調査を行い、同時に2 ) エビデンス実証研究の開始にあたり、研究デザインとアウトカムの設定について検討を行う。2年目は、実態調査の結果に基づいてアウトカム設定と研究デザインを立案し、エビデンス構築のための実証研究(二次調査)を実施する。同時に既存のエビデンスの収集も行う。最終年度にはこれらの結果を取り纏め、エビデンスに基いた多職種連携のマニュアルと課題の提言を取りまとめる。
結果と考察
(結果)
1) CKDにおける多職種連携の実態調査:日本腎臓学会認定教育施設および腎臓病療養指導士(3職種)を対象にアンケート調査を実施した。認定教育施設704施設からのアンケート回収率は40.9%であった。その結果、75%の認定施設で多職種によるCKD療養指導が実施され、40%で何らかの効果検証を行い、30%で研究発表を行っていることが明らかになった。検証項目としては、教育前後のGFR変化が最も多く(30.1%)、蛋白尿減少効果(23.9%)、減塩持続効果(15.3%)、理解度チェック(12%)などが評価されていた。また、約60%の施設から、二次調査への協力の意向が示された。一方、療養士からの回収率は43.8%であり、看護師の78%、管理栄養士の48%が多職種によるCKD療養指導に関わっていた。
2) 多職種連携の有効性に関するエビデンス構築:実態調査の結果をふまえ多職種連携のエビデンス実証研究の立案・準備を進めた。具体的には、さまざまな患者基礎情報とともに、多職種介入による評価指標(前後のeGFR変化量および尿蛋白量の変化)を見ることとし、協力可能施設に回答を依頼した。2022年3月末までに25施設から回答があり、合計3,272例についての調査データが登録されており、解析の準備中である。
3) 多職種連携に関する既存のエビデンス集積:CKDの多職種連携に関するCQが設定されている関連学会のガイドラインから、文献データベースを入手した。ハンドサーチによる文献も加え、データベースを作成している。
4) 特定健診データの解析(保健師介入の実証研究):大阪府特定健康診査実施率を調査を進め、保健師介入がCKD受診率、あらにはCKD診療水準の向上に資する可能性が示された。
5) ホームページによる成果の公表:研究班のホームページを作成した。
6) マニュアルの作成と普及:マニュアルの章立て項目の素案を作成した。
(考察)
研究計画が概ね予定通りに進行中であり、CKD診療における多職種連携の実態が明らかになった。実証研究やマニュアルの準備も進行中であり、今後は、多職種連携の有効性に関するエビデンスが得られ、有効な多職種連携のアプローチ方法やチーム医療における指針・重点項目を示すことができると期待される。
1) CKDにおける多職種連携の実態調査:日本腎臓学会認定教育施設および腎臓病療養指導士(3職種)を対象にアンケート調査を実施した。認定教育施設704施設からのアンケート回収率は40.9%であった。その結果、75%の認定施設で多職種によるCKD療養指導が実施され、40%で何らかの効果検証を行い、30%で研究発表を行っていることが明らかになった。検証項目としては、教育前後のGFR変化が最も多く(30.1%)、蛋白尿減少効果(23.9%)、減塩持続効果(15.3%)、理解度チェック(12%)などが評価されていた。また、約60%の施設から、二次調査への協力の意向が示された。一方、療養士からの回収率は43.8%であり、看護師の78%、管理栄養士の48%が多職種によるCKD療養指導に関わっていた。
2) 多職種連携の有効性に関するエビデンス構築:実態調査の結果をふまえ多職種連携のエビデンス実証研究の立案・準備を進めた。具体的には、さまざまな患者基礎情報とともに、多職種介入による評価指標(前後のeGFR変化量および尿蛋白量の変化)を見ることとし、協力可能施設に回答を依頼した。2022年3月末までに25施設から回答があり、合計3,272例についての調査データが登録されており、解析の準備中である。
3) 多職種連携に関する既存のエビデンス集積:CKDの多職種連携に関するCQが設定されている関連学会のガイドラインから、文献データベースを入手した。ハンドサーチによる文献も加え、データベースを作成している。
4) 特定健診データの解析(保健師介入の実証研究):大阪府特定健康診査実施率を調査を進め、保健師介入がCKD受診率、あらにはCKD診療水準の向上に資する可能性が示された。
5) ホームページによる成果の公表:研究班のホームページを作成した。
6) マニュアルの作成と普及:マニュアルの章立て項目の素案を作成した。
(考察)
研究計画が概ね予定通りに進行中であり、CKD診療における多職種連携の実態が明らかになった。実証研究やマニュアルの準備も進行中であり、今後は、多職種連携の有効性に関するエビデンスが得られ、有効な多職種連携のアプローチ方法やチーム医療における指針・重点項目を示すことができると期待される。
結論
研究成果を通じて、わが国のCKD診療における多職種連携の実態と課題が明らかになり、最終的には、課題解決へ向けた戦略案を策定・提言するとともに、具体的な成果目標を公開し、CKD多職種連携マニュアルを作成してゆく。これらにより、チーム医療の質向上とCKD診療の浸透および水準向上、最終的にはCKD重症化予防とCKD患者のQOL改善、医療費節減につながると期待される。
公開日・更新日
公開日
2022-05-27
更新日
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