新たな診断・治療法開発のための免疫学的手法の開発

文献情報

文献番号
200834051A
報告書区分
総括
研究課題名
新たな診断・治療法開発のための免疫学的手法の開発
課題番号
H20-難治・一般-036
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小池 隆夫(北海道大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 畠山 鎮次(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 渥美 達也(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 山本 一彦(東京大学 大学院医学研究科)
  • 住田 孝之(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
  • 三森 経世(京都大学 大学院医学研究科)
  • 山村 隆(国立精神・神経センター 神経研究所)
  • 上阪 等(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 千住 覚(熊本大学 大学院医学薬学研究部)
  • 桑名 正隆(慶應義塾大学)
  • 坂口 志文(京都大学再生医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
38,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性全身性自己免疫疾患は自己免疫現象がその発症機序といわれるが、その分子機構は未だ明らかではない。本研究では、自己免疫疾患の発症機序を分子レベルで明らかにし、その分子をマーカーにした診断法や、それをターゲットとした特異的治療法の開発を目的としている。
研究方法
自己免疫の機序解明:樹状細胞、Th17細胞、制御性T細胞、NKT細胞等の免疫担当細胞の機能と自己免疫における意義を解析する。自己免疫疾患成立の機序解明:自己抗体の産生機序と自己抗体の病原性の検討を行う。治療法開発:新規自己免疫疾患動物モデルでの疾患発症や増悪にかかわる分子の検討、および抗原特異的T細胞や転写因子に関与する新規分子を用いた疾患発症制御の検討を行う。
結果と考察
自己免疫の機序解明; ①合成レチノイドAm80の 病態抑制メカニズムの詳細を、Th17細胞、制御性T細胞、抑制性サイトカインIL-10の挙動が解明された。②制御性T細胞の免疫抑制機能の分子メカニズムに着目して、病的状態における制御性T細胞の機能評価方法の確立および制御性T細胞の機能制御による自己免疫反応の制御法を解明した。③新しくCD4陽性CD25陰性LAG3陽性T細胞を同定し、この細胞のIL-10産生機序を明らかにした。④関節リウマチにおけるNKT細胞の機能を検討した。⑤マウスのES細胞をin vitroにおいて樹状細胞(ES-DC)へ分化させる技術、さらに遺伝子導入したES細胞をES-DCに分化させることにより、任意の遺伝子を発現するES-DCを作製する技術を開発した。自己免疫疾患成立の機序解明 ①ホスファチジルセリン依存性抗プロトロンビン抗体(aPS/PT)の病原性を検討する為、モノクローナルaPS/PTを作成し(231D)、その内皮細胞への効果を明らかにした。②SLE患者末梢血中の抗dsDNA抗体産生細胞を直接検出するアッセイを確立し、その診断や疾患活動性評価に対する有用性を解明した。治療法開発 ①多発性筋炎の新規マウスモデルであるC蛋白誘導性筋炎の特性を解析し、多発性筋炎の新治療法を開発した。②RAの罹患関節病変局所における侵潤細胞動態を詳細に解析し,IL-17がヒトRAの治療ターゲットに成り得るのか検証した。③ユビキチン化に関与する酵素であるA20の上流の制御分子及び下流の基質分子を網羅的に同定し、分子レベルでのNF-Bシグナルにおける抑制機序を解明した。
結論
難治性の全身性自己免疫疾患に対する診断法および先端的新規治療法の確立と開発を共同的かつ相乗的に遂行している。

公開日・更新日

公開日
2009-04-13
更新日
-