進行性腎障害に関する調査研究

文献情報

文献番号
200834048A
報告書区分
総括
研究課題名
進行性腎障害に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-033
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
松尾 清一(名古屋大学 大学院医学系研究科(腎臓内科学))
研究分担者(所属機関)
  • 富野 康日己(順天堂大学 医学部(腎臓内科学))
  • 山縣 邦弘(筑波大学 大学院人間総合科学研究科(腎臓内科学))
  • 今井 圓裕(大阪大学 大学院医学系研究科(腎臓内科学))
  • 堀江 重郎(帝京大学 医学部(泌尿器科学))
  • 渡辺 毅(福島県立医科大学 医学部(腎臓内科学))
  • 城 謙輔(国立病院機構千葉東病院(腎臓病理学))
  • 川村 哲也(慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科(腎臓内科学))
  • 槇野 博史(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科(腎臓内科学))
  • 東原 英二(杏林大学(泌尿器科学))
  • 湯澤 由紀夫(名古屋大学 大学院医学系研究科(腎臓内科学))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、難治性ネフローゼ(NS)、多発性嚢胞腎の克服のために調査研究を行う。最終目標は日本人に適した診療指針の作成と時代に即応した診療指針の改訂作業である。
研究方法
疫学WGは対象4疾患に関するアンケート調査を実施。腎病理WGはJRBRとリンクし臨床診断、病理診断1(病因分類)、病理診断(病型分類)などを解析。IgA腎症分科会:2つの全国的臨床研究を推進。RPGN分科会:MPO-ANCA関連血管炎の再発抑制への免疫抑制薬ミゾリビンの有効性検討の前向き試験を実施。難治性NS分科会:原発性NS症候群の全国的なコホート(日本NS症候群コホート)を作成し、JRBRを使用して、2009年より登録を開始。このために必要な倫理審査用の資料を作成した。多発性のう胞腎分科会:無作為割付多施設臨床試験「高血圧を伴う多発性嚢胞腎患者の降圧治療薬としてARBで十分な降圧効果が得られない場合に、CCBを追加することの臨床的意義」のプロトコールを作成し、臨床試験を開始した。
結果と考察
疫学WG:2008年3月末現在受療患者実数はIgAN 31000~48000人、RPGN 3800~5800人、難治性NS 3100~4700人、PKD 3600~5500人、2007年度の新規受療患者数はIgAN 5000~7600人、RPGN 1200~1800人、難治性NS 1100~1700人、PKD 800~1300人と概算された。腎病理WG:疫学調査によりどの様な臨床病理情報が必要かを検討することができた。IgA腎症分科会:「IgA腎症に対する扁桃摘出術とステロイドパルス療法の有効性に関する多施設共同研究」参加施設は23施設、登録患者数47例。尿蛋白排泄量は両群いずれも治療前に比し有意な減少を示し、両群間に有意差は認められていない。RPGN分科会:2008年度におけるRPGNの診療指針の改訂版(案)を作成した。
難治性NS分科会:15年ぶりに日本腎臓学会のJRBRを使用し、全国でNS症候群症例を前向きに調査する体制が整えられた。多発性のう胞腎分科会:本研究班において無作為割付による臨床試験を行い、ARB(candesartan)はCCB (amlodipine)と比較し、高血圧を有するADPKD患者の腎機能悪化を緩和する腎保護作用が優れているとするエビデンスを創出した。
結論
日本腎臓学会と密接な連携体制の構築ができたことが、初年度の活動の大きな成果である。日本腎臓学会の腎臓病総合レジストリーシステム(JRBR, JKDR)と連携し、調査研究を推進しデータを蓄積する。

公開日・更新日

公開日
2009-04-08
更新日
-