神経皮膚症候群に関する調査研究

文献情報

文献番号
200834046A
報告書区分
総括
研究課題名
神経皮膚症候群に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-031
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大塚 藤男(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 中山 樹一郎(福岡大学 医学部)
  • 佐谷 秀行(慶應義塾大学 医学部)
  • 倉持 朗(埼玉医科大学 医学部)
  • 中川 秀己(東京慈恵会医科大学)
  • 川内 康弘(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
  • 大西 五三男(東京大学大学院 医学系研究科)
  • 齋藤 清(名古屋大学大学院 医学系研究科)
  • 古村 南夫(島根大学 医学部)
  • 吉田 雄一(鳥取大学 医学部)
  • 樋野 興夫(順天堂大学 医学部)
  • 片山 一朗(大阪大学大学院 医学系研究科)
  • 大野 耕策(鳥取大学 医学部)
  • 水口 雅(東京大学大学院 医学系研究科 )
  • 縣 俊彦(東京慈恵会医科大学)
  • 錦織 千佳子(神戸大学大学院 医学系研究科)
  • 森脇 真一(大阪医科大学)
  • 林 雅晴(東京都神経科学総合研究所)
  • 苅田 典生(神戸大学大学院 医学系研究科)
  • 田中 亀代次(大阪大学大学院 生命機能研究科)
  • 菅澤 薫(神戸大学 バイオシグナル研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1990年代に神経線維腫症1(NF1)、神経線維腫症2(NF2)、結節性硬化症(TS)、色素性乾皮症(XP)各亜群の原因遺伝子がクローニングされ、それぞれの遺伝子の生化学的機能に関する研究は飛躍的に進み、各疾患の病態に対する理解も格段に進歩している。しかしながら、まだ各疾患の病態が明らかにされたとは言い難く、特に治療は対症療法のレベルにとどまっており、根本的治療法の開発にはほど遠い状況で、患者ならびに家族の新治療法の開発に対する要望や社会的要請も強い。本調査研究の目的は、各対象疾患の疫学、病態を明らかにし、新しい疾患診断法、治療法を開発することを目的とする。
研究方法
NF1の全国疫学調査を解析、患者QOLの動向とともに過去の全国調査や定点調査と比較検討する。XPの全国調査を推進し本邦患者数を推定し、実態を把握する。その解析とともに疑診、未確定診断患者を各種細胞学的、遺伝子検索によって確定診断し、個人情報保護を前提に患者登録システムを確立する。NF1,NF2,TS,XPの各疾患群に対して発症予防・新治療の開発を目指して、分子生物学的に遺伝子レベルでの病態研究を推進した。
結果と考察
NF1、XPの全国疫学調査を解析、患者QOLの動向とともに過去の全国調査や定点調査と比較検討した。RNAiによるNF1,NF2ノックダウンで細胞表現型の変化から関連遺伝子を同定した。脳腫瘍幹細胞の起源をエピジェネティクス的に解析した。TSの遺伝子産物の相互作用、結合蛋白などの解析により遺伝子産物の新しい機能を明らかにして病変形成機序を解明した。TSC2モデルラット(Eker rat)の腎腫瘍、大脳皮質結節の形成に関与する遺伝子発現調節機構を蛋白、分子レベルで比較したXP患者データベースを元にXPのgenotype-phenotypeの相関性を調べた。XP-C群患者由来培養細胞から同定された新たなXPC遺伝子の変異を報告した。
結論
当該年度に得られた成果として、基礎研究ではRNAi法の遺伝子ノックダウンを用いた細胞内シグナル解析により、神経皮膚症候群(NF1、NF2、TS)の多彩な症候の分子病態の機序が徐々に明らかとなり、新治療法開発に向けた準備が着実に進行した。また、臨床研究ではNF1の先天性脛骨偽関節症の偽関節部骨癒合判定用プローブの開発、血清IgEおよびヒスタミンと病勢との相関、NF1に合併した悪性腫瘍に対する化学療法、神経線維腫の拡散強調画像の評価法確立などを行い、これらの臨床応用に対する道筋が開かれた。

公開日・更新日

公開日
2009-03-31
更新日
-