強皮症における病因解明と根治的治療法の開発

文献情報

文献番号
200834044A
報告書区分
総括
研究課題名
強皮症における病因解明と根治的治療法の開発
課題番号
H20-難治・一般-029
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 伸一(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 桑名 正隆(慶応義塾大学 医学部)
  • 藤本 学(金沢大学 大学院医学系研究科)
  • 尹 浩信(熊本大学 大学院医学薬学研究部)
  • 川口 鎮司(東京女子医科大学 附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 遠藤 平仁(北里大学 医学部)
  • 石川 治(群馬大学 大学院医学系研究科)
  • 山本 俊幸(福島県立医科大学 医学部)
  • 後藤 大輔(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
  • 高橋 裕樹(札幌医科大学 医学部)
  • 小川 文秀(長崎大学 医学部・歯学部附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 全身性強皮症(以下、強皮症)は皮膚および肺、腎、消化管、心をはじめとする内臓諸臓器を系統的に侵す慢性疾患であり、膠原病に分類される。本研究の目的は、実績のある本邦の強皮症の専門家を集め研究チームを編成することによって、強皮症の病因解明、そして根治的治療法の開発を行うことである。
研究方法
 基礎研究である病因・病態解明プロジェクトでは、(1) 自己免疫と免疫学的異常、(2) コラーゲン産生亢進を誘導する線維芽細胞異常、(3) 強皮症動物モデルを用いた薬剤の有効性のスクリーニングを行った。臨床研究では、(1) 重症型の強皮症早期例の登録および経過観察プロジェクトの解析、(2)既存の治療薬で、本症に有効と考えられるいくつかの薬剤の有効性の検証、(4)ダーモスコピーによる早期診断法の開発などを行った。
結果と考察
1. 基礎研究—病因・病態解明プロジェクト
(1) 免疫系の異常として、細胞浸潤に必須の細胞接着分子の関与、T細胞の活性化に必要なICOS/ICOSLの関与、単球におけるMCP-1産生増加、IRF5の遺伝子多型を明らかにした。
(2) 線維芽細胞異常として、collagen遺伝子の転写活性部位の同定、CTGFの遺伝子多型を明らかにした。
(3) 動物モデルを用いた薬剤のスクリーニングによって、TGF-β1 latency associated peptide、ヒストン・デアセチラーゼ阻害剤、lipoxin A4産生酵素15-LOXの有効性が示された。
2. 臨床研究
(1) 重症型の強皮症早期例の登録事業にて、予後因子候補としてMCP-1やIL-6などが同定された。
(2) 肺線維症に対するシクロホスファミド療法の後療法として、ミゾリビンやシクロスポリンの有効性、エンドセリン受容体拮抗薬の、指尖部潰瘍、レイノー症状、末期間質性肺疾患に対する有効性、皮膚潰瘍に対する高圧酸素療法の有効性などが明らかにされた。
(3) ダーモスコピーの強皮症診断に対する有用性が確立された。
(4) 強皮症診療医リストを完成した。
結論
 病因の一端に迫る基礎研究における成果をあげたのみならず、マウスを用いた実験より今後有効性が期待される薬剤や、既存のもので有効性が期待される薬剤をいくつかリストアップすることができた。

公開日・更新日

公開日
2009-03-18
更新日
-