難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
200834040A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究
課題番号
H20-難治・一般-025
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
坪内 博仁(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 健康科学専攻・人間環境学講座 消化器疾患・生活習慣病学)
研究分担者(所属機関)
  • 中沼 安二(金沢大学大学院 医薬保健研究域医学系 形態機能病理学)
  • 石橋 大海(国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター)
  • 恩地 森一(愛媛大学大学院 医学系研究科 先端病態制御内科学)
  • 國土 典宏(東京大学大学院 医学系研究科 臓器病態外科学)
  • 持田 智(埼玉医科大学 消化器・肝臓内科)
  • 廣石 和正(昭和大学医学部 内科学講座消化器内科学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
33,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
目的:自己免疫性肝炎(AIH)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、劇症肝炎(FH)、肝内結石症に関する全国調査をもとに最適な診断および治療指針を作成する。難治例の背景因子に関する臨床および基礎研究を通じて、新しい治療法の開発、肝移植医療の向上に取り組む。
研究方法
方法:1) 全国調査結果に基づき従来の診断基準をより適正に改訂し、重症化例、治療抵抗性例に対する診断、治療指針を作成する。2)新しい肝移植適応ガイドラインを作成し、その有用性を検証する。3)疾患モデルマウスなどを用いた病態解析を行う。
結果と考察
結果:AIHでは全国調査が進行中である。3つのワーキンググループ(WG)により、①診断基準の見直しと国際基準との整合性の検討、②劇症化・重症化例の解析、③新たな診断と治療法のガイドライン作成が行われている。AIHの中にIgG4関連自己免疫性肝炎という概念が提唱され、HLAと治療反応性、組織学的変化との関連性が示された。PBCではWGで、①新しい病理学的病期、 活動度分類の提唱、②罹患者実数の把握、自然経過、肝不全死の実態、肝炎型PBC、ANA陽性PBCの予後調査、③疫学班による全国調査登録症例データベースによる診療ガイドラインの作成、④オーバーラップ症候群の実態調査研究が行われた。PSCでは血縁ドナー由来の肝移植での再発の可能性が高く、移植不適応例は予後不良であった。FHでは全国調査でHBV再活性化によるde novo B型肝炎が増加傾向であることが報告され、「免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン」が作成された。WGⅠでは新しい肝移植適応ガイドライン、データマイニング解析による予後予測アルゴリズムが作成された。WGⅡではB型肝炎ウイルスキャリアの急性増悪による重症肝炎の劇症化予防に対する早期免疫抑制療法の有効性を評価する臨床試験が実施される。肝内結石症では疫学予後WGで2006年度の新規発生症例数が年間120-130例程度と推計された。診断治療WGでは新規の診断モダリティを用いたより実践的な診療ガイドライン策定、画像WGでは肝内胆管癌合併例の診断、発癌WGでは、肝内胆管癌の発癌機序の解明、早期発見スクリーニング法の確立のための多施設共同研究が開始された。
結論
考察:各疾患に対する全国調査結果が集積され、難治例の解析と新たな診断、治療ガイドライン作成が進行している。

公開日・更新日

公開日
2009-04-13
更新日
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