文献情報
文献番号
202111056A
報告書区分
総括
研究課題名
神経変性疾患領域の基盤的調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20FC1049
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
中島 健二(独立行政法人国立病院機構松江医療センター)
研究分担者(所属機関)
- 祖父江 元(愛知医科大学)
- 長谷川 一子(独立行政法人 国立病院機構 相模原病院 臨床研究センター 脳神経内科 神経難病研究室・脳神経内科)
- 斎藤 加代子(東京女子医科大学 医学部)
- 矢部 一郎(北海道大学大学院医学研究院)
- 能登 祐一(京都府立医科大学 脳神経内科医局)
- 戸田 達史(東京大学 医学部附属病院)
- 坪井 義夫(福岡大学 医学部脳神経内科学教室)
- 青木 正志(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科 神経内科)
- 桑原 聡(国立大学法人千葉大学 大学院医学研究院神経内科学)
- 高橋 良輔(京都大学 大学院医学研究科・臨床神経学)
- 辻 省次(東京大学 医学部附属病院 )
- 古和 久典(独立行政法人国立病院機構松江医療センター 脳神経内科)
- 服部 信孝(順天堂大学大学院医学研究科)
- 武田 篤(独立行政法人国立病院機構仙台西多賀病院 統括診療部)
- 中島 孝(独立行政法人国立病院機構新潟病院 脳神経内科)
- 磯部 紀子(黒木 紀子)(国立大学法人九州大学)
- 梶 龍兒(国立大学法人徳島大学 大学院医歯薬学研究部 臨床神経科学分野)
- 森田 光哉(自治医科大学 医学部 内科学講座 神経内科学部門)
- 望月 秀樹(大阪大学大学院医学系研究科)
- 保住 功(岐阜薬科大学・大学院 (薬物治療学))
- 花島 律子(鳥取大学 医学部 医学科 脳神経医科学講座 脳神経内科)
- 埜中 正博(関西医科大学 医学部 )
- 中村 雅之(鹿児島大学)
- 柿田 明美(新潟大学 脳研究所)
- 高橋 祐二(国立精神・神経医療研究センター・病院・神経内科)
- 小島原 典子(静岡社会健康医学大学院大学)
- 小久保 康昌(三重大学 大学院地域イノベーション学研究科)
- 小野寺 理(国立大学法人新潟大学 脳研究所脳神経内科学分野)
- 和泉 唯信(徳島大学病院 脳神経内科)
- 池内 健(国立大学法人新潟大学 脳研究所)
- 岩崎 靖(愛知医科大学 加齢医科学研究所 神経病理部門)
- 齊藤 祐子(東京都老人医療センター剖検病理科)
- 下畑 享良(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野)
- 饗場 郁子(国立病院機構 東名古屋病院 臨床研究部)
- 野中 雄一郎(東京慈恵会医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
神経変性疾患領域の、①筋萎縮性側索硬化症(ALS)、②脊髄性筋萎縮症(SMA)、③原発性側索硬化症(PLS)、④球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、⑤進行性核上性麻痺(PSP)、⑥Parkinson病(PD)、⑦大脳皮質基底核変性症(CBD)、⑧Huntington病(HD)、⑨神経有棘赤血球症(NA)、➉Charcot-Marie-Tooth病(CMT)、⑪特発性基底核石灰化症(IBGC)、⑫脊髄空洞症、⑬脊髄髄膜瘤、⑭遺伝性ジストニア、⑮脳内鉄沈着神経変性症(NBIA)、⑯Perry病、⑰前頭側頭葉変性症(FTLD)、⑱紀伊筋萎縮性側索硬化症/Parkinson認知症複合(紀伊ALS/PDC)、⑲家族性本態性振戦(重症)(ET)の19疾患を対象として政策研究を行った。疫学調査による実態把握、患者レジストリ、診断基準・重症度分類の改訂について検討し、診療ガイドライン(GL)・診療マニュアル・診療の手引きの作成・改訂により神経変性疾患医療の均てん化や療養の改善を図り、診療体制の整備も検討し、我が国における診療向上と厚生行政施策に貢献することを目的として、研究を進めた。
研究方法
1)神経変性疾患領域の診断基準・重症度分類、診療GL・診療マニュアル・診療の手引きの作成・改訂について、関連学会・関連研究班と連携して検討した。
2)指定難病神経変性疾患である17疾患の疾患名、診断基準や重症度分類の修正を行い、修正した場合には関連学会である日本神経学会から学会承認を得た。
4)各疾患について患者レジストリを構築し、患者・疫学調査、患者・自然歴調査と共に生体試料・ゲノムの収集を進め、治験実施も想定したレジストリ構築の検討も進めた。
5)診断・重症度評価に関連する臨床評価法、生化学的・神経画像的・遺伝子検査などの検討を行った。
6)神経変性疾患は臨床診断と病理診断が解離する例が少なくないところから、両者を比較検討した。
7)いまだ治療法が少ない神経変性疾患における患者・家族への説明時の注意点を確認した。
8)速やかな診断が可能な医療体制とそれによる早期の治療開始などにおける課題を検討した。
9) 遺伝子診断体制、神経難病診療・療養体制や支援体制、リハビリテーションについても検討した。
10)遺伝子診断に際しては倫理的配慮も重要で、発症前診断・出生前診断などについての倫理的側面についても検討した。
2)指定難病神経変性疾患である17疾患の疾患名、診断基準や重症度分類の修正を行い、修正した場合には関連学会である日本神経学会から学会承認を得た。
4)各疾患について患者レジストリを構築し、患者・疫学調査、患者・自然歴調査と共に生体試料・ゲノムの収集を進め、治験実施も想定したレジストリ構築の検討も進めた。
5)診断・重症度評価に関連する臨床評価法、生化学的・神経画像的・遺伝子検査などの検討を行った。
6)神経変性疾患は臨床診断と病理診断が解離する例が少なくないところから、両者を比較検討した。
7)いまだ治療法が少ない神経変性疾患における患者・家族への説明時の注意点を確認した。
8)速やかな診断が可能な医療体制とそれによる早期の治療開始などにおける課題を検討した。
9) 遺伝子診断体制、神経難病診療・療養体制や支援体制、リハビリテーションについても検討した。
10)遺伝子診断に際しては倫理的配慮も重要で、発症前診断・出生前診断などについての倫理的側面についても検討した。
結果と考察
1) 新たな診断技術の登場や治療薬の開発により診断基準の見直しも必要であり、それらにも配慮した指定難病診断基準・重症度分類の検討を行った。
2) 診断基準や重症度分類について、次の改訂に向けてデータ収集を継続した。
3) ALS多施設共同コホートJaCALS、SMAレジストリ、PDの早期診断や治療開発などに向けてのレジストリ、PSP・CBDに関するJALPAC、HDレジストリの設立、FTLDのレジストリ組織FTLD-J、CMTレジストリCMTPR、遺伝性ジストニア・IBGC・紀伊ALS/PDC・脊髄髄膜瘤などのレジストリ研究を進めた。神経変性疾患領域の複数の疾患が神経変性疾患として難病プラットフォームに参加することになった。
4) 臨床診断と病理診断の対比により、臨床診断の妥当性やより適切な診断基準の作成について検討した。
5) 遺伝子診断実施体制の整備、薬物療法とサイバニクス治療HALとの複合療法に関する検討、神経病理診断体制の整備、全国の難病コーデイネータに対する検討を行った。
6) 診療GLに関して、日本神経学会と連携して作成したPD、遺伝性ジストニア、FTLDの診療GLの周知を行った。ALSの改訂に向けて作成作業を進めた。公開したPSP-GL、HD診療の手引きの周知を図った。SMA診療の手引きの原稿を作成した。CBD診療マニュアルを研究班Hpに掲載した。脊髄髄膜瘤では日本小児神経外科学会と連携してGLの作成を進めた。
2) 診断基準や重症度分類について、次の改訂に向けてデータ収集を継続した。
3) ALS多施設共同コホートJaCALS、SMAレジストリ、PDの早期診断や治療開発などに向けてのレジストリ、PSP・CBDに関するJALPAC、HDレジストリの設立、FTLDのレジストリ組織FTLD-J、CMTレジストリCMTPR、遺伝性ジストニア・IBGC・紀伊ALS/PDC・脊髄髄膜瘤などのレジストリ研究を進めた。神経変性疾患領域の複数の疾患が神経変性疾患として難病プラットフォームに参加することになった。
4) 臨床診断と病理診断の対比により、臨床診断の妥当性やより適切な診断基準の作成について検討した。
5) 遺伝子診断実施体制の整備、薬物療法とサイバニクス治療HALとの複合療法に関する検討、神経病理診断体制の整備、全国の難病コーデイネータに対する検討を行った。
6) 診療GLに関して、日本神経学会と連携して作成したPD、遺伝性ジストニア、FTLDの診療GLの周知を行った。ALSの改訂に向けて作成作業を進めた。公開したPSP-GL、HD診療の手引きの周知を図った。SMA診療の手引きの原稿を作成した。CBD診療マニュアルを研究班Hpに掲載した。脊髄髄膜瘤では日本小児神経外科学会と連携してGLの作成を進めた。
結論
令和3年度は、研究期間3年間の2年目として政策研究の検討を進め、概ね計画を達成できた。
1) 関連学会や関連AMED実用化研究班などと連携し、神経変性疾患全体、並びに、担当各疾患に関する政策研究に関して検討を進めた。
2) 指定難病神経変性疾患の診断基準や重症度評価法の見直しを行い、意見を提出した。修正した疾患名や診断基準・重症度分類については学会承認を得た。
3) 診療GLや診療の手引き・マニュアルの作成を進め、作成してきたGLの普及を進めた。
4) 神経変性疾患の各疾患に関するレジストリ研究も進めた。
5) 遺伝子診断体制、発症前遺伝子診断の問題、HAL医療用下肢タイプの長期使用データ収集、リハビリテーション、難病診療支援体制などについても検討した。
1) 関連学会や関連AMED実用化研究班などと連携し、神経変性疾患全体、並びに、担当各疾患に関する政策研究に関して検討を進めた。
2) 指定難病神経変性疾患の診断基準や重症度評価法の見直しを行い、意見を提出した。修正した疾患名や診断基準・重症度分類については学会承認を得た。
3) 診療GLや診療の手引き・マニュアルの作成を進め、作成してきたGLの普及を進めた。
4) 神経変性疾患の各疾患に関するレジストリ研究も進めた。
5) 遺伝子診断体制、発症前遺伝子診断の問題、HAL医療用下肢タイプの長期使用データ収集、リハビリテーション、難病診療支援体制などについても検討した。
公開日・更新日
公開日
2022-10-26
更新日
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