ウイリス動脈輪閉塞症の診断・治療に関する研究

文献情報

文献番号
200834033A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイリス動脈輪閉塞症の診断・治療に関する研究
課題番号
H20-難治・一般-018
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 信夫(国立循環器病センター)
研究分担者(所属機関)
  • 宝金 清博(札幌医科大学)
  • 冨永 悌二(東北大学)
  • 宮本 享(国立循環器病センター)
  • 永田 泉(長崎大学)
  • 鈴木 則宏(慶応義塾大学)
  • 野川 茂(東京歯科大学)
  • 北川 一夫(大阪大学)
  • 小泉 昭夫(京都大学)
  • 黒田 敏(北海道大学)
  • 菊田 健一郎(京都大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
23,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新規3年間の研究主題としては [1] 病因究明 [2] 進行症例の解析と従来の診断治療の検証、[3] 新規治療法の開発、[4] 日常生活における患者の重要問題の解決 とした。
研究方法
[1] 家族性もやもや病の感受性遺伝子を同定し弧発例でも検討する。 [2]研究班データベースに画像情報を追記して充実させ、内科的治療やバイパス術の有効性を検証し、進行例の頻度と特徴を明らかにする。出血危険因子として明らかにされた微小出血の大規模調査を行う。また片側および類もやもや病の全国調査の資料を解析しこれら類縁疾患ともやもや病との関係を明らかにし、治療方針を確立する。 [3] 多施設間前向きランダム化研究であるJAM trialを継続し直接バイパス術の再出血予防効果を検証する。 [4] 頭痛、妊娠出産管理、高次能機能障害について深く掘り下げる。
結果と考察
家族性もやもや病25家系の遺伝解析により17番染色体長腕(17q25-ter)に強い連鎖領域を認めた。片側もやもや病は2峰性の年齢分布を示し約8割に病側の脳血流低下を認め、半数に血行再建術が行われていた。3T MRIと3次元造影CTAでも良好な診断ができできると考えられた。3テスラMR磁化率強調画像は微小脳出血をより鋭敏に検出できた。頚動脈超音波検査はもやもや血管の有無を鑑別する上で有用な手段になると考えられた。JAM trialは80名の登録が終了し2013年には結果が出ることとなった。もやもや病の頭痛は45%が緊張型、33%が前兆のない片頭、11%が前兆のある片頭痛であった。妊娠出産については、もやもや病と既に診断されている妊婦の状態は良好であった。高次脳機能障害の評価についてはIMZ SPECTにより両側前頭葉内側の神経細胞脱落が高次脳機能障害と相関しやすいことが分かった。
結論
2008年度は本研究班からもやもや病に直接関連する論文報告が英文・邦文があわせて38本なされれた。11/23には大阪、千里ライフサイエンスセンターにおいて「もやもや病 診断と治療の最前線」と題した市民公開講座を行い、240名余りの参加者を得て盛況であった。ガイドラインは来年度出版される。

公開日・更新日

公開日
2009-04-13
更新日
-