神経免疫疾患のエビデンスに基づく診断基準・重症度分類・ガイドラインの妥当性と患者QOLの検証

文献情報

文献番号
202111037A
報告書区分
総括
研究課題名
神経免疫疾患のエビデンスに基づく診断基準・重症度分類・ガイドラインの妥当性と患者QOLの検証
研究課題名(英字)
-
課題番号
20FC1030
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
桑原 聡(国立大学法人千葉大学 大学院医学研究院神経内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 和泉 唯信(徳島大学病院 脳神経内科)
  • 河内 泉(新潟大学 脳研究所・医歯学総合病院)
  • 吉川 弘明(金沢大学 保健管理センター)
  • 三澤 園子(千葉大学医学部附属病院神経内科)
  • 中島 一郎(東北大学大学院 医学系研究科 神経内科学分野)
  • 磯部 紀子(黒木 紀子)(九州大学 大学院医学研究院)
  • 鵜沢 顕之(千葉大学 附属病院 脳神経内科)
  • 荻野 美恵子(北里大学 医学部)
  • 神田 隆(山口大学 大学院医学系研究科神経内科学)
  • 楠 進(近畿大学 医学部(神経内科))
  • 小池 春樹(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 佐藤 泰憲(慶應義塾大学)
  • 清水 優子(東京女子医科大学 医学部 神経内科)
  • 園生 雅弘(帝京大学 医学部)
  • 田原 将行(国立病院機構宇多野病院 臨床研究部)
  • 中辻 裕司(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 中西 恵美(金沢医科大学 脳神経内科)
  • 中原 仁(慶應義塾大学医学部内科学教室(神経))
  • 新野 正明(国立病院機構北海道医療センター 臨床研究部)
  • 藤原 一男(東北大学大学院医学系研究科多発性硬化症治療学寄附講座)
  • 村井 弘之(国際医療福祉大学医学部神経内科学)
  • 本村 政勝(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 山村 隆(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究部)
  • 横田 隆徳(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 脳神経病態学分野(神経内科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
18,460,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では指定難病である7疾患を対象として政策研究を行う:1)重症筋無力症(MG)、2)多発性硬化症/視神経脊髄炎(MS/NMO)、3)慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー(CIDP/MMN)、4)クロウ・深瀬症候群、5)アトピー性脊髄炎、6)アイザックス症候群、7)、ビッカースタッフ脳幹脳炎。これらの疾患の病態解明、治療の進歩、行政・社会的支援の整備により予後は改善しているものの、未だ難治例は多く、また寛解の維持に高額医療が必要であり医療経済を効率化する問題点も残されている。本研究では各疾患において診断基準・重症度分類・診療ガイドラインの策定・改定を行うのみならず、全国調査による疫学・病態変遷、治療による疾患アウトカムの変化の評価・検証、難病プラットホームを利用した疾患レジストリの構築、関連学会・患者会との連携、関連するAMED研究班との合同班会議を行うことにより、厚生労働省の政策が、患者の予後や経済的負担を含めたQOLにどのような変化をもたらしているかをオールジャパン体制で多方面から明らかにすることを目的とする。
研究方法
各疾患において、全国調査(アイザックス症候群、CIDP、MOG抗体関連疾患)、診療ガイドラインの作成(MG、MS、CIDP/MMN、クロウ・深瀬症候群、ビッカースタッフ脳幹脳炎、免疫介在性脳症)、レジストリ構築(MG、MS、CIDP/MMN、クロウ・深瀬症候群)、診断基準と重症度分類策定(LEMS、クロウ・深瀬症候群、ビッカースタッフ脳幹脳炎、免疫介在性脳症、アイザックス症候群、スティッフパーソン症候群)、追加指定難病申請(LEMS、免疫介在性脳症、特発性肥厚性硬膜炎)を行った
結果と考察
MG等:MGの全国調査は本グループによりR元年に行われており、研究成果を公表予定である。診療ガイドラインの改定作業を進めており、R4年5月に発刊予定となった。また、難病プラットホームを利用した疾患レジストリの立ち上げについて検討を進めている。ランバート・イートン症候群(LEMS)の疾患概要・診断基準・重症度を確立し、R2年度に追加指定難病として申請した。
 MS等:MS、NMOの全国調査の解析結果を公表予定である。全国調査により有用性が明らかになったものについては保険収載すべき検査項目として提言する。難病プラットホームを利用した疾患レジストリの立ち上げを進めている。抗MOG抗体関連疾患については、新規難病申請を目指して、全国疫学調査、診断基準・重症度分類作成を進めている。
 CIDP/MMN:診療ガイドラインの改訂を進めている。CIDPの全国調査を実施した。現在、解析に向けて、データの整理とデータセットの作成を進めている。また疾患レジストリを構築して症例の収集と実態把握の横断研究を行っていき、自然歴、治療法の変化、長期予後についての縦断研究を進める予定である。
クロウ・深瀬症候群:すでに立ち上げた全国レジストリ体制を拡充し、臨床的分析に有用なデータ収集を行う。この結果に基づき診断基準と重症度分類の妥当性を検証し、診療ガイドライン改訂の準備を進めている。Cochrane Reviewのreview teamを編成し、ロンドン大と共同でシステマティックレビューのプロトコールを作成した。国内ガイドライン作成のため、血液学会と神経学会合同の委員会を結成する方針を立てた。
ビッカースタッフ脳幹脳炎、免疫介在性脳症等:自己免疫性脳炎・脳症、特発性肥厚性硬膜炎はR2年度に新規難病申請を行った。R4年度中に自己免疫性脳炎の全国調査を行うべく準備を進めており、最終的には診断基準と重症度分類を確定し、診療ガイドライン作成を行う。
 アイザックス症候群、スティッフパーソン症候群:アイザックス症候群に関しては、R3年度に全国調査を行い有病率を明らかにし、結果をまとめており、診断基準・重症度分類の検証を行う準備を進めている。スティッフパーソン症候群に関しては、H30年に施行した全国調査の結果をまとめ公表準備を進めている。指定難病の要件を満たすと考えられるため、学会等と連携し申請を検討する。
本研究には疫学・生物統計学、医療経済担当が参加し、厚生労働省の政策が予後や医療経済を含めたQOLにもたらした変化を多面的に明らかにできる。また、全国調査の内容は、難病全般に応用可能なアウトカムメジャーとして、広く利用される可能性がある
結論
対象とする神経免疫疾患の診療実態、問題点を解決することにより診療ガイドラインが作成・改訂される。高額医療(生物学的製剤・免疫グロブリン療法)の適応が明確化し、医療経済の改善につながる。患者QOLの向上が達成される。AMED実用化研究班との連携により病態解明・治療法確立が達成され、疾患の克服につながる。

公開日・更新日

公開日
2023-05-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-11-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202111037Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
23,998,000円
(2)補助金確定額
23,998,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 9,669,399円
人件費・謝金 1,593,699円
旅費 101,840円
その他 7,177,112円
間接経費 5,538,000円
合計 24,080,050円

備考

備考
自己資金82,050円

公開日・更新日

公開日
2022-05-24
更新日
2022-10-07