運動失調症の病態解明と治療法開発に関する研究

文献情報

文献番号
200834029A
報告書区分
総括
研究課題名
運動失調症の病態解明と治療法開発に関する研究
課題番号
H20-難治・一般-014
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
西澤 正豊(新潟大学 脳研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 辻 省次(東京大学 神経内科)
  • 佐々木 秀直(北海道大学 神経内科)
  • 貫名 信行(独立行政法人理化学研究所)
  • 鈴木 康之(岐阜大学医学部)
  • 祖父江 元(名古屋大学 神経内科)
  • 小野寺 理(新潟大学 脳研究所)
  • 山田 光則(新潟大学 脳研究所)
  • 黒岩 義之(横浜市立大学 神経内科)
  • 糸山 泰人(東北大学 神経内科)
  • 和田 圭司(国立精神神経センター 神経研究所)
  • 吉田 邦広(信州大学 第3内科)
  • 高嶋 博(鹿児島大学 神経病学講座)
  • 中島 健二(鳥取大学 脳神経内科)
  • 永井 義隆(大阪大学 医学系研究科)
  • 加藤 俊一(東海大学医学部)
  • 吉良 潤一(九州大学大学院)
  • 加我 牧子(国立精神神経センター 精神保健研究所)
  • 加藤 剛二(名古屋第一赤十字病院 小児医療センター)
  • 瀧山 嘉久(自治医科大学 内科学講座)
  • 水澤 英洋(東京医科歯科大学 大学院)
  • 今中 常雄(富山大学 大学院)
  • 宮井 一郎(特定医療法人大道会森之宮病院)
  • 中田 力(新潟大学脳研究所)
  • 平井 宏和(群馬大学 大学院)
  • 岡澤 均(東京医科歯科大学)
  • 二村 直伸(国立病院機構兵庫中央病院)
  • 池田 佳生(岡山大学 医学部)
  • 山海 嘉之(筑波大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
44,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臨床的に運動失調症を共通の主症状とする脊髄小脳変性症SCD、多系統萎縮症MSAおよび副腎白質ジストロフィーALDを対象として、その病態を解明し、臨床経過を反映するバイオマーカーを確立すること、およびこれらに基づいて病態の進行を阻止できる治療法を開発することにより、患者総数が約2万人に及ぶこれらの難治性神経疾患を克服することを目的とする。
研究方法
以下のプロジェクトを設定し、チームとして取り組む体制を構築した。①臨床治療研究:臨床経過を反映する代理マーカーを開発し、併せて運動失調症に対して最も有効なリハビリテーションの手法を確立する。②基礎研究:病態の解明と小脳への遺伝子導入法の検討など、臨床応用を目指した基礎研究を推進する。③自然歴研究:臨床調査個人票に基づくSCDの自然歴に関する前向き研究を継続する。MSAと家族性痙性対麻痺FSPはそれぞれJAMSAC、JASPACによる多施設共同研究によって症例登録と遺伝子解析を継続する。④責任遺伝子同定研究:遺伝子が不明のSCDの原因遺伝子同定を目指す。⑤ALD治療研究:小児大脳型の早期診断と造血幹細胞移植治療の実施体制を確立する。
結果と考察
①MRI画像などの代理マーカーの有用性について検討した。また運動失調症に対する短期集中リハビリの効果を検証する臨床治験を開始し、中間解析では有望な結果を世界で初めて得ることが出来た。装着型ロボットの臨床応用にも取り組んだ。②ポリグルタミンオリゴマーの細胞障害性に関する検討や蛋白質分解系の機能解析を進めるとともに、小脳への新たな遺伝子導入法を開発した。③臨床治験に向けて、各病型について全国規模で症例登録を行うことにより、自然歴の解析と遺伝子解析を継続した。④わが国に多発する第16染色体長腕に連鎖する純粋小脳型優性遺伝性SCDの原因遺伝子同定に重点的に取り組み、候補遺伝子の同定まで到達した。⑤小児大脳型ALDに対する造血幹細胞移植療法の普及に向けた諸活動に取り組んだ。
結論
CDの各病型について、病態の解明を進めて進行阻止治療を行うための分子標的の同定を目指すとともに、小脳への遺伝子導入を可能とした。臨床治験に向けてバイオマーカーの開発を進め、各病型について症例登録を進めた。併せて小脳機能維持を目的としたリハビリ方法の確立を目指した。原因遺伝子の同定を進め、小児大脳型ALDの早期治療体制を構築しつつある。

公開日・更新日

公開日
2009-05-29
更新日
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