文献情報
文献番号
202111017A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性大腿骨頭壊死症の医療水準及び患者QOL向上に資する大規模多施設研究
課題番号
20FC1010
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
菅野 伸彦(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科運動器医工学治療学)
研究分担者(所属機関)
- 久保 俊一(京都府立医科大学)
- 馬渡 正明(佐賀大学医学部)
- 山本 謙吾(東京医科大学 整形外科)
- 帖佐 悦男(宮崎大学 医学部 感覚運動医学講座 整形外科学分野)
- 須藤 啓広(三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座 運動器外科学・腫瘍集学治療学)
- 田中 栄(東京大学医学部附属病院 整形外科)
- 尾崎 誠(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 医療科学専攻展開医療科学講座 整形外科学)
- 伊藤 浩(旭川医科大学 整形外科学講座)
- 高木 理彰(山形大学医学部)
- 松田 秀一(京都大学大学院医学研究科整形外科)
- 秋山 治彦(岐阜大学医学研究科整形外科学)
- 名越 智(札幌医科大学 生体工学・運動器治療開発講座)
- 小林 千益(諏訪赤十字病院 整形外科)
- 福島 若葉(大阪市立大学大学院医学研究科公衆衛生学)
- 稲葉 裕(横浜市立大学 附属病院)
- 山本 卓明(福岡大学医学部整形外科)
- 中島 康晴(九州大学大学院医学研究院整形外科)
- 神野 哲也(獨協医科大学埼玉医療センター 整形外科)
- 兼氏 歩(金沢医科大学 医学部)
- 坂井 孝司(山口大学大学院医学系研究科 整形外科学)
- 三島 初(筑波大学医学医療系 整形外科)
- 加畑 多文(金沢大学附属病院リハビリテーション部)
- 上杉 裕子(神戸大学大学院 保健学研究科 国際保健学領域)
- 三木 秀宣(国立病院機構 大阪医療センター 整形外科)
- 関 泰輔(名古屋大学 医学部 整形外科)
- 仲宗根 哲(琉球大学医学部 附属病院 整形外科)
- 高橋 大介(北海道大学病院 整形外科)
- 安藤 渉(大阪大学 医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
発性大腿骨頭壊死症(ONFH)は、青・壮年期に好発し、股関節機能障害をきたし歩行困難となる重篤な疾患である。好発年齢が青・壮年期と勤労世代であるが、股関節障害による歩行障害・生活機能低下、就労制限は社会経済学的に大きな損失となる。本疾患の疫学研究により病因病態・治療・就労状況を明らかにでき、対策を検討する上で重要である。
本研究は、費用対効果の高い治療体系の確立と根治的な骨壊死再生治療開発の礎として、1)特発性大腿骨頭壊死症(ONFH)に対する疾患データベースである全国規模の定点モニタリング、人工物置換登録、臨床調査個人票による疫学調査とその解析 2)診断基準の検証と改訂 3)病型・病期分類に基づくQOL評価・就労調査 4)策定した診療ガイドラインの国内外への普及と改訂に向け残された課題の検討を目的とした。
本研究は、費用対効果の高い治療体系の確立と根治的な骨壊死再生治療開発の礎として、1)特発性大腿骨頭壊死症(ONFH)に対する疾患データベースである全国規模の定点モニタリング、人工物置換登録、臨床調査個人票による疫学調査とその解析 2)診断基準の検証と改訂 3)病型・病期分類に基づくQOL評価・就労調査 4)策定した診療ガイドラインの国内外への普及と改訂に向け残された課題の検討を目的とした。
研究方法
1.大規模データベースを活用した疫学研究
本研究班での全国疫学調査による推計年間新患数は2100人程度で、45年間継続してきた定点モニタリングでその40%を捉える体制であり、疫学像の経年変化の鋭敏な把握が可能である。難治性疾患研究班中、このような大規模定点モニタリングを行う研究班は他になく、臨床個人調査票からの疫学情報との整合性も検証でき、本疫学研究は世界的にも注目される。
2.精度の高い診断基準の検証と標準化
日本整形外科学会で承認された精度の高い診断基準を確立しているが、その運用を含めた検証を行い、ONFHと他股関節疾患との鑑別診断の標準化を目指す。また、更なる早期診断法の確立に取り組む
3.病型・病期分類に基づくQOL評価と就労状態調査
病型・病期分類と、QOLや就労能力との関連を探る研究は他になく、本指定難病の社会経済学的影響を明らかにする独創的な研究である。
4.診療ガイドラインの普及と検証
2019年に日本整形外科学会から出版した診療ガイドラインの英文化を通じ国内のみならず海外への発信、普及を行い、骨壊死骨循環国際学会(ARCO)との連携を図り診療ガイドラインの国際化に取り組む。また、本研究より得られた情報により5年後の改訂に向けた診療ガイドラインの検証を行う。
本研究班での全国疫学調査による推計年間新患数は2100人程度で、45年間継続してきた定点モニタリングでその40%を捉える体制であり、疫学像の経年変化の鋭敏な把握が可能である。難治性疾患研究班中、このような大規模定点モニタリングを行う研究班は他になく、臨床個人調査票からの疫学情報との整合性も検証でき、本疫学研究は世界的にも注目される。
2.精度の高い診断基準の検証と標準化
日本整形外科学会で承認された精度の高い診断基準を確立しているが、その運用を含めた検証を行い、ONFHと他股関節疾患との鑑別診断の標準化を目指す。また、更なる早期診断法の確立に取り組む
3.病型・病期分類に基づくQOL評価と就労状態調査
病型・病期分類と、QOLや就労能力との関連を探る研究は他になく、本指定難病の社会経済学的影響を明らかにする独創的な研究である。
4.診療ガイドラインの普及と検証
2019年に日本整形外科学会から出版した診療ガイドラインの英文化を通じ国内のみならず海外への発信、普及を行い、骨壊死骨循環国際学会(ARCO)との連携を図り診療ガイドラインの国際化に取り組む。また、本研究より得られた情報により5年後の改訂に向けた診療ガイドラインの検証を行う。
結果と考察
(1)定点モニタリングの2019年11月から2020年10月の報告症例(新患:541例; 手術:612例)について、男性は40代に女性は50代に1峰性のピークを認め、女性は30代と60代に2峰性のピークを認めていた平成27年度の全国疫学調査結果とは異なっていた。手術治療について、人工物置換術の登録監視システムの調査結果について報告された。
(2)診断基準に関して、診断項目の一つである骨シンチとして、SPECT/CT所見の特徴が明らかとなった。
(3)QOL評価と就労状態評価について、ONFH患者の術前から術後2年の就業実態の調査を行った。術後123名のうち、術後も就業していたのは68名であり、術前無職が術後就業ありになったのは8名であった。
(4) 2019年10月に発刊したONFH診療ガイドラインについて、その検証を行った。また、ONFH診療ガイドラインの英文化を行い、Journal of Orthopaedic Scienceにaccept され、令和3年1月に公開された
(2)診断基準に関して、診断項目の一つである骨シンチとして、SPECT/CT所見の特徴が明らかとなった。
(3)QOL評価と就労状態評価について、ONFH患者の術前から術後2年の就業実態の調査を行った。術後123名のうち、術後も就業していたのは68名であり、術前無職が術後就業ありになったのは8名であった。
(4) 2019年10月に発刊したONFH診療ガイドラインについて、その検証を行った。また、ONFH診療ガイドラインの英文化を行い、Journal of Orthopaedic Scienceにaccept され、令和3年1月に公開された
結論
ONFHの疾患特性変化を明らかとするために、今後も継続的調査が必要である。
公開日・更新日
公開日
2023-05-12
更新日
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