文献情報
研究課題名
中性脂肪蓄積心筋血管症の診療体制の構築
研究代表者(所属機関)
平野 賢一(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究報告書(概要版)
研究報告書(PDF)
研究報告書(紙媒体)
文献情報
研究課題名
中性脂肪蓄積心筋血管症の診療体制の構築
研究代表者(所属機関)
平野 賢一(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患政策研究
研究報告書(概要版)
研究報告書(PDF)
研究報告書(紙媒体)
行政効果報告
成果
専門的・学術的観点からの成果
中性脂肪蓄積心筋血管症 (TGCV)は、2008年、我が国に心臓移植待機症例から見いだされた新規疾患概念である (N Engl J Med. 2008)(Orphanet ORPHA code: 565612)。細胞内TG分解障害に起因して細胞内TG蓄積による細胞毒性と長鎖脂肪酸が供給されないためのエネルギー不全を来す。患者は、既存の治療に抵抗性の心不全、冠動脈疾患、不整脈等を呈する。異所的にTGが心筋細胞内や血管平滑筋細胞内に蓄積することが特徴で、肥満度や血清TG値は診断的価値がない。
臨床的観点からの成果
オールジャパンの研究組織を構築しTGCV診断基準2020、同重症度分類を策定、公開した。本診断基準を臨床現場で使用する事により、2023年12月時点で全国 97施設で診断可能となった。AMED難治性疾患実用化研究事業TGCV研究班が構築した本症のレジストリを用いたレトロスペクティブ解析を行った。3年及び5年生存率はそれぞれ80.1%、71.8%であった。2023.12月現在、累積診断数は812例、内、120例が既に死亡しており生命予後に直結する心臓難病である事が明らかとなった
ガイドライン等の開発
長鎖脂肪酸の放射性アナログであるBMIPPを用いた心筋シンチグラム 洗い出し率10%未満、心筋生検における心 筋細胞内脂肪蓄積、心臓CT/MRSによる心筋脂肪蓄積を必須項目、左室収縮率 10%未満、びまん性冠動脈硬化、典型的Jordans異常を大項目とする診断基準2020を策定した。軽症・中等症・重症からなる重症度分類を策定した。両者は、一般社団法人 中性脂肪学会、日本核医学会、日本冠疾患学会において学会承認された。
その他行政的観点からの成果
わが国の指定難病要件について研究班にて調査、本疾患の患者会と連携して以下の結果を得た。本資料は、2024年1月 指定難病検討委員会において資料として活用された。1.2023年12月現在の累積診断数は812例。2.発病の機構 不明。3.効果的な治療方法 未確立。4.長期の療養 必要。5.診断基準 あり。6.重症度分類 あり。中等症以上を対象とする。厚生労働省、日本医療研究開発機構の難治性疾患実用化研究事業として開発されたTGCV治療薬CNT-01が厚生労働省より希少疾病用医薬品に指定された。
その他のインパクト
2021.12月第4回、2022.10月第5回、2023年7月第6回の中性脂肪学会学術集会でTGCV患者会と連携しTGCV克服シンポジウムを開催。TGCV啓発HP公開(https://tgcv.org/)。2023.1.19 TGCV疾患啓発セミナーを実施。2023年10月、国際シンポジウム「中性脂肪と希少難病」を開催。TGCVの症状、診断について読売新聞 医なび/yomiDr、朝日新聞夕刊に掲載された。
発表件数
その他成果(普及・啓発活動)
5件
講演2件、シンポジウム開催2件、ホームページ1件
特許
主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)
収支報告書
支出
研究費 (内訳) |
直接研究費 |
物品費 |
1,523,247円 |
人件費・謝金 |
0円 |
旅費 |
60,760円 |
その他 |
610,403円 |
間接経費 |
692,000円 |
合計 |
2,886,410円 |